花王がFAX注文の手間を削減。送信エラーがなくなり得意先の負担も減った受発注のIT化~花王プロフェッショナル・サービス

卸・メーカー2019.10.18

花王がFAX注文の手間を削減。送信エラーがなくなり得意先の負担も減った受発注のIT化~花王プロフェッショナル・サービス

2019.10.18

花王がFAX注文の手間を削減。送信エラーがなくなり得意先の負担も減った受発注のIT化~花王プロフェッショナル・サービス

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洗剤製品のトップメーカー花王。その業務用品や衛生管理サービスを事業者向けに提供する、花王プロフェッショナル・サービス株式会社は、取引案件が増える一方、1日1400枚に及ぶFAXの受注処理に課題を抱えていました。

手作業での入力という非効率な業務に悩む中、2017年に中小企業庁が公募・実施した受発注データを企業間で通信する実証事業に参加。システムによる自動化に取り組みました。顧客の課題を総合的に解決するプロは、どう挑んだのでしょうか。

目次

現場における衛生管理のお悩みをトータルサポート

【Q】沿革と、事業概要を教えてください。

経営企画部 統括部長 成願 直志氏

花王の歴史は明治時代の末期に遡ります。その頃は、石けんといえば舶来物の贅沢品で、国産品は廉価で質の劣るものがほとんどでした。そこで、洋小間物商を営んでいた創業者が試行錯誤の末に、手ごろな価格の高級化粧石けん「花王石鹸」を発売したのです。

以来、清潔で豊かな生活文化への貢献を一貫して目指し、洗剤・サニタリー製品のトップメーカー花王グループとして成長してきました。ビューティケアやヘルスケアなど事業領域も拡大し、消費者の快適な暮らしを支えています。

花王プロフェッショナル・サービス株式会社は、厨房衛生用品や洗剤、アメニティ用品といった花王の業務用品の製造、販売を専門としています。食品工場やホテル、病院といった高度な衛生管理が求められる現場の、ソリューションサービスの提供が事業の主軸です。製品を通じて従業員教育や美観、衛生の向上、コスト削減などをトータルでサポートしています。(経営企画部 統括部長 成願直志氏。以下、成願氏)

【Q】顧客企業の現場は、どのような課題をお持ちなのでしょうか。

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弊社商品のご利用先は大きく分けて、レストランや食品加工工場などのフード業界、病院などのメディカル・介護業界、ホテルやアミューズメント施設などレクリエーション業界の3部門です。いずれも、日々行う洗浄や清掃の衛生レベルは一般家庭とはまったく異なります。

感染への注意など衛生管理を怠ると、消費者の安心・安全を脅かし、ブランド価値の低下につながってしまいます。製品やサービスには、プロユースに耐えうる高い専門性が求められます。 

一方で、近年の飲食業界などの大きな課題は人手不足です。経験もスキルもばらばらのアルバイトが短期間に入れ替わる上、忙しくて教育に手がまわらない現場は少なくありません。誰が使ってもプロレベルに仕上がる製品が求められます。思わぬ誤使用を防ぐため、誰にでも使いやすい製品の開発と、オペレーションのアドバイスといったご提案も重要になっています。(成願氏)

【Q】販売とコンサルティング、あわせたお取引をされているのですね。

昨今では、食品衛生法の改正で制度化が決まったHACCPに関するご相談は、とても増えています。弊社の製品を使って、今のオペレーションを変えずにHACCPを導入するにはどうすればといったお問い合わせです。自社で課題を把握されている取引先もあれば、何からはじめたらいいのか手探り状態という方もいらっしゃいます。

※すべての食品等事業者が、2021年6月(制度施行日から1年後)までにHACCPの考えを取り入れた衛生管理を実施するよう求められている。

基準が決まっているわけではなく、お悩みは企業ごとに違います。ただ、人手不足の中、HACCP導入に新たな人手がかけられないのは業界全体の共通課題です。たとえばITによる効率化で解決できないかというニーズの高まりは、非常に感じています。(成願氏)

FAX受注にかかる見えないコストをデータ受注で解決

【Q】効率化に関して、御社は共通EDI(電子データ交換)連携の実証実験を行うなど、積極的に取組まれているようです。

2017年に中小企業庁の委託を受けて、業務品の卸・小売業界における共通EDI連携の実証実験を行いました。合言葉は“どこからの受注も、どこへの発注も、ひとつの仕組みで繋げる”です。インターネットを通して受注するシステム『BtoBプラットフォーム 受発注』を利用し、飲食店や卸、弊社以外のメーカーともシームレスにつながる基盤づくりの促進をはかるというものです。(成願氏)

カスタマートレードセンター
統合オペレーショングループ部長
依田 健治氏

実は、『BtoBプラットフォーム 受発注』は2007年に導入していました。しかし、本格的に使いこなすには至らず、受注全体の約4割を取引先のEOS(電子発注システム)で受け、残りの約6割をFAXで受けている状態でした。

FAX受注は1件ずつ人の手で社内システムに入力する必要があり、弊社では外部企業にデータ入力を委託していました。取引先数が増えるにつれ、FAXの受信枚数も1日あたり約1400枚に及んでいたのです。(カスタマートレードセンター統合オペレーショングループ部長 依田 健治氏。以下、依田氏)


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