「目指したのは女性が手にとれる商品です。以前は、ハブ酒といえば、体力の衰えを感じはじめた中高年男性のお客様が、疲労回復のために購入することがほとんどでした。しかし近年では働く女性が増えて、女性のお客様からの注文も目立つようになり、ニーズを感じていたのです。興味をもったお客様が抵抗を感じないように、缶のデザインはシンプルにしました。さらに、シークヮーサー果汁で風味づけして沖縄らしさを強調し、すっきりした飲み口に仕上げています。“ハブ酒で作ったハイボール”でハブボールですが、むしろ、ウィスキーで作ったものよりも飲みやすいと思います」
国内で缶入りのエナジードリンクが浸透し、ハイボールがブームだったのも追い風になった。都市圏に展開する小売店や沖縄県内の百貨店・コンビニの店頭に並んだハブボールは次々と売れ、定番商品化した。
飲食店のニーズに応え、缶商品と同時に業務用源酒を開発
ハブボールは、商品化を提案した小売店だけでなく、全国に販路を広げ、外食業にも売り込んでいった。すると、飲食店からあがってきた声は、「缶ではなく原液が欲しい」というものだった。
「ハイボールやサワー類を提供するために、炭酸はすでに店舗にあります。飲食店では、原液で仕入れて炭酸で割るほうが原価をおさえられるのです。そこで、店舗で炭酸と氷を混ぜて出せる、1.5リットルのペットボトル入り業務用源酒を開発して、県内外の飲食店に提案していきました。
沖縄ならではのドリンクメニューとして、沖縄料理店で取り扱っていただくことが多いです。 個店だけでなくチェーン展開する株式会社ティーケーエス(株式会社サブライム子会社)の沖縄料理業態、『ナンクルナイサ きばいやんせ』などに入れていただいています」
ハブ酒のハイボールという他にない珍しさで、採用は沖縄料理店だけにとどまらない。たとえば、高級中華の「過門香」(株式会社ラムラ)や、居酒屋「九州自慢」(株式会社オーイズミフーズ)、立ち飲み業態の「晩杯屋」(株式会社トリドールホールディングス)といった他業態のチェーン店でも人気が高い。