「売れるわけない」営業からブーイングの問題作
サヴァ缶は第1弾「 国産さばのオリーブオイル漬け」が2013年9月に発売されて以来、売上累計は2018年3月に300万缶、2019年1月時点では500万缶を突破。近年は、テレビなどのメディアがブームを取り上げた影響も大きく、需要に製造が追いつかない状態だという。
従来の鯖缶のイメージを覆す、鮮やかな黄色にスタイリッシュなロゴが目をひくパッケージ。インパクトのある「洋風おしゃれ鯖缶」は、東日本大震災で 大きな打撃を受けた三陸の水産業や食の復興支援プロジェクトとして企画された。
商品企画は被災地の食品産業の復興支援を目的とする一般社団法人「東の食の会」のコンセプトに基づく。原料になる鯖は東日本近海で安定した漁獲量があるものの、これまでの鯖の缶詰の平均小売価格は100~200円程度。製造コストを考えると、大量生産しなければ大きな収益にはならなかった。
「いいものを作っても安く扱われる缶詰に、『東の食の会』 は疑問をもっていたそうです。生産者や流通がしっかり利益を得られ、消費者も満足感が得られる商品を作らなければと考えたのです。
海外では、缶詰を開けただけでも一品メニューとして、バルなどで楽しまれています。味噌煮や水煮といった和風の味付けしかない鯖缶を、オイルサーディンのような洋風の味付けにすれば、他社との差別化も図れ、対価に見合う付加価値になるのではと、たどりついたのがサヴァ缶です」
震災で壊滅的な被害を受けていた三陸地域の工場の中、かろうじて稼動が可能だった岩手缶詰に製造の白羽の矢が立つ。県産品の卸販売を行う岩手県産には販売の依頼がきた。ところが、その条件は最低ロットが1200ケース、売価にすると2,000万円弱を引き受けてほしいというものだった。