「商品そのものにスポットをあてるのではなく、雑穀市場を大きくすることを目指しました。第一次ブームである程度シェアを獲得できていたので、市場全体が盛り上がれば我々にもプラスになると確信していました。
例えば、原宿のカフェにお願いして、メニューに十六穀ごはんを取り入れてもらいました。これもはくばくの商品としての販促よりも、流行に敏感で情報発信力のあるエリアで、雑穀ごはんというのは、おいしくておしゃれなものなんだと認識してもらうためです。わかりやすく言えば女性誌やメディアに“あの店にいくと雑穀ごはんがあるよ”と紹介してもらえるように、いくつもタネをまきました。
お客さんたちはそれがはくばくの十六穀ごはんだとは知らずに食べているのですが、それでいいんです。カフェで雑穀ごはんが流行っていると知っていただいた後、スーパーに行けば、はくばくの十六穀ごはんが売られているわけですから」
一時停滞しかけた雑穀市場も2008年までには250億円に届く勢いにまで息を吹き返す。売上が安定期に入った現在でも、はくばくの十六穀ごはんはミックス雑穀カテゴリの約3割を占めるトップシェアを保ち続けている。
業務用に冷凍タイプを開発。広がる可能性
はくばくは今後、業務用としての大麦・雑穀のシェアも広げていきたいとしている。現在、社内における業務用商品の売上は全体の2割程度にとどまっているが、これを5割まで引き上げたいというのが目下の目標だ。
「業務用は市販品とは違う課題があります。混ぜて炊く形では、時間もかかるし食品ロスも発生してしまいます。そこで、業務用は、炊きあげたものをIQF凍結で凍らせて、解凍して混ぜてもらうだけで1食からだけでも麦ごはんにできるように開発しました。今は自前の冷凍設備はないので、雑穀をはじめたころのように、委託してやってもらっています。
※IQF凍結:急速冷凍で一粒一粒バラバラの状態で凍らせる技術
ただ、ものを作っただけでは今の時代は売れません。どうすればお客様に喜んでいただけるか、どんな場面で使っていただけるかと考えた時に、業務用にはまだ様々な可能性があると思います。時間も人手もない中でどうやって使っていただくか、そのストーリーを描きながら今後も市場開拓していきたいと思っています」
株式会社はくばく
本社:〒409-3843 山梨県中央市西花輪4629 電話:055-274-8989
事業内容:精麦、雑穀、和麺、麦茶、穀粉、米、飼料の製造・販売
お話:市場戦略本部 商品戦略部市場開拓グループ グループ長後藤和之様
公式HP:http://www.hakubaku.co.jp/