しかし、入れ物の缶については製造工場の設備面から、昨今よく目にするような、缶詰の上面まで印刷できるデザイン缶は採用できなかったという。昔ながらのプルトップ型の空け口を採用したため、パッケージデザインは側面の紙ラベルにしかできない。
そこで店頭で積み重ねられても、横から見て目立つようにと、パッケージのテキストはあえて縦書き、写真の面積も減らし、その分商品名を大きく打ち出した。制約の多さが、結果的にインパクトが強いパッケージを生み出すことにつながったのだ。
「ちなみに、商品名の“かんかん”というのは、西日本地方の方言で缶詰のことです。愛着を持ってもらいたくて、この名前に決まりました」
予想外の大ヒットで月間の生産数を急遽5倍に拡大
2015年3月、『めんツナかんかん』がふくやの直営店の店頭に並んだ。お土産品としての価値を決める要素、長期保存(3年間)、手頃な値段(1缶300円)、珍しさが注目を集め、発売からわずか2カ月で10万個が売れ、一時期は品薄状態が続いたという。実はめんツナかんかんは、開発当初それほど量産する体制を考えていなかったという。
「期待はしていましたが、まさかここまでヒットするとは思ってもいませんでした。当初は月間2万缶程度の生産を予定していましたが、それでは全然追いかず、工場に無理をお願いして、生産量を一気に10万缶近くまで増やしてもらいました」
レギュラーとなる『めんツナかんかん』の発売開始から半年後には、ラインナップも拡大。2種類の唐辛子で辛みを増した『めんツナかんかん 辛口』(税込み300円)と、明太子を20%増量した粒入りの豪華な『めんツナかんかん プレミアム』(税込み400円)も開発。新たに商品ラインナップに加えた。
「レギュラー、辛口、プレミアムを合わせた“3缶食べ比べセット”が追加されたことで、これまで博多のお土産としてひとつずつ買われていた方も、食べ比べセットを購入してくれるようになり、お土産需要もさらに加熱しました」
また、めんツナかんかんは商品の中身を変えずとも、通常のお土産需要以外の層を取り込むことにも成功している。