『料亭の粉しょうゆ』の主力となるのは、小さな陶器の壺が付いたギフトセットで、8g入り3袋1620円、7袋2700円、10袋3240円など。自宅用なら、8g入り単品303円、3袋864円、2g入り12袋1080円というラインナップだ。
老舗料亭が手がけたということで、味の良さは疑う余地もないが、価格は決して安くない。にも関わらず売れている要因は、商品としての目新しさもさることながら、作り手が粉しょうゆならではの明確な意義を見出しているという点だろう。
例えば粉末という性質上どうしても湿気には弱いため小容量にせざるを得ず、その分コストもかかって価格も高くなってしまう。しかし、小容量ならではの使い勝手の良さや粉末ゆえの持ち運びやすさは活用シーンの拡大に繋がっている。
「発売当初は8g入りだけだったのですが、3~4回分の量で使いにくいというお声をいただいて2g入りも作りました。液漏れを気にせず気軽に持ち歩けて1回で使い切れる醤油として、出張や旅行などの際に利用されるリピーター様も多いですね」
食感や味も液体とは違うということ
もちろん中身の調味料としての魅力も忘れてはならない。一番わかりやすいのが、食感だろう。液体の醤油とは異なり、食材を濡らさないので揚げ物や焼き物などの食感をそのまま楽しむことができる。
そして、味についても液体のあるデメリットを解消している。
「日本人の食にとって無くてはならない醤油は、世界の料理人も認める優れた調味料です。ただ、時間とともに劣化して味や香りが落ちてしまうというデメリットもあるんです。今では、空気に触れさせず劣化を防ぐものも市販されていますが、それでも限度はあります。でも、フリーズドライで水分を飛ばした粉しょうゆなら、いつでも新鮮な醤油の味と香りを楽しんでいただけるはずです」
しかも、液体と粉末では形状の違いから味の感じ方も驚くほど違うという。