福岡を中心に展開する「どんどん亭」
【Q】事業内容について教えてください。
常務取締役 有延 真氏(以下、有延氏):当社の創業は1970年です。2020年には創業50周年を迎えることができました。常に創業者の「人々の食生活を豊かにしたい」という思いを念頭に、さまざまなサービスを提供し続けてきました。
創業当初から当社の柱となっているのが、福岡県を中心に九州で45店舗を展開しているお好み焼きレストランの「どんどん亭」です。専門店のこだわりと、バラエティ豊富なメニューでたくさんのお客様からご支持いただいています。
そのほか、ショッピングセンター内でお好み焼きや焼きそばなどを販売するファーストフード店の「どんどんまるや」、自家製牛すじを生地に使ったお好み焼きが人気の「牛すじ葱丸」など、全業態あわせて71店舗(2023年12月末時点)を運営しています。
店舗におけるタスクが見えない状況の解消が急務
【Q】多くの店舗を運営するなかで、どのような課題を感じていましたか。
有延氏:課題はいくつもありました。大きな課題は日々の業務のなかで、やるべきことをしっかりとやれている店舗、やれていない店舗があったことです。やっている店舗であっても仕上がりにばらつきもありました。
ばらつきというのは、例えば掃除1つとっても、どこまで実施するのかであったり、フェアが始まる場合に本部側が求める準備を100%できている店と半分ぐらいしかできていない店があったりといった状況です。
当社の業態では、店舗運営はアルバイトさんやパートさんが中心となって行いますが、店長が常に作業指示を出せるわけではないため、“何をしていいかわからない”時間帯がどうしてもできてしまいます。つまり、タスクができない・見えない状況です。
新人のアルバイトさんへの教育でも、各店舗の店長によって教え方、手法にムラがありました。また、基本的に店舗にいる社員は店長1名のため、店長が休みの日などには指示系統が目に見えて鈍くなるという状況もありました。
【Q】日々のタスクのほかにも課題はありましたか。
有延氏:もう1つの課題が、各店舗から本部に提出する紙の帳票類の多さです。必ず1店舗から毎日1枚、売上と勤怠の報告が日報としてFAXで送られてきます。そのほかにも、月末提出の車のメーターを記録した車両管理表、ユニフォームの在庫管理表、スタッフの休暇申請書など、多岐にわたります。枚数を月換算すると1店舗につき毎月50枚程度、それが「どんどん亭」だけで44店舗ですから、およそ2000枚以上にものぼります。
生産性を高めることの重要性から導入へ
【Q】そうした課題に対して、システム化による解決を図ったということでしょうか。
有延氏:はい、その通りです。人手不足ですし、人件費もこれからまだ上がっていきます。うまくIT化をして生産性を高めていくことは、とても重要度が高いと認識しています。
最初に『V-Manage』を知ったのは、当社の代表取締役社長である松石からの一言でした。「オペレーションの効率化を図れる、こういうシステムがある」ということで、見てみたところ串カツ田中さんでの導入効果もあり、導入に向けて興味を持ちました。
タスクの達成率の上昇と、店舗によるばらつきを解消
【Q】『V-Manage』導入後の効果はいかがですか。
有延氏:日々の業務を管理する日次タスク機能を活用しています。1日の仕事の流れが時系列になっているので使いやすいです。オープン作業、準備・仕込みから、営業中の掃除も含めて、トイレチェック、ドリンクバーチェックなどの中間チェック機能まで細かく設定できるので漏れがなく、誰でも簡単に使えます。発注業務の漏れがないかの確認もできますし、クローズ作業、片付け作業まで1日の流れを網羅できるので、使いやすいと思います。
以前は店長任せの部分があり、タスクの達成率も店長によってバラつきがありました。例えばオープン作業でも、10時から10分間はトイレ掃除、それが終わったら10時15分までテーブルを拭くなど、几帳面にやることリストを準備する店長もいれば、口頭だけで「こうしてね」と伝えて、あとは個人に任せるという店長もいました。店長の方針によって発生するタスクの達成率のムラがかなり減りました。
また、タスクが全店舗で統一されたことで、店長が異動時に感じるストレスの軽減が期待できます。異動すると以前の店舗とやり方が全然違うことがあり、それでストレスを抱える店長が少なくありません。『V-Manage』を導入したことで、どこの店舗でも同じフォーマットとなるため、そのストレスは軽減されていくと思います。
【Q】日次業務のほかに、効果を感じていることはありますか。
有延氏:フェアやメニューの切り替え、月末の処理業務などは、臨時タスク機能を使って行います。月末処理については書類を撮影してもらい、写真付きで報告してもらうようにしています。
それから、店舗と本部が直接やりとりするツールが今まではなかったため、チャット機能も活用しています。例えば、日報などの書き間違いがある場合、チャットで知らせるイメージです。相手の時間を奪うことなく、お互いにストレスなくやり取りができるようになりました。
デジタル戦略室 豊福 聡一郎氏(以下、豊福氏):他にも、『V-Manage』の導入によって、今までできていなかったことが実現できており、大いに感動しているところです。1つ挙げるとすれば、飲食店ですのでレジのマスタ更新を店舗で行います。ボタンを押す簡易的な作業なのですが、1つ間違うと更新がされないといったことがありました。その点、『V-Manage』では、作業が間違っていたら知らせてくれますし、正しい操作ができていれば承認されるので、更新ミスや漏れがなくなりました。そこは大きな恩恵を感じています。
【Q】FAXで送られてきた紙の帳票類は削減されたでしょうか。
有延氏:削減効果で言えば、導入前の90%は削減できています。導入から2カ月で、この削減率ですからかなりの効果だと思います。まだ、休暇申請が『V-Manage』に完全には移行できていないので、どうしても各店舗で10枚前後は残ってしまっています。
ただ、それについても申請書を撮影してもらい、チャット機能で送ってもらうように移行しているところです。まだ写真の写りが悪いなどで投稿し直してもらうということを繰り返していますが、精度が高くなっていけば、完全移行もできると思います。
マニュアルを紐付け、新人教育にも活用
【Q】マネジメント層での活用についてはいかがでしょうか。
有延氏:各エリア長が店舗に行った際に、商品や接客といった面で指導にあたりますが、その際の業務確約書を店長とエリア長の間で『V-Manage』でやり取りしています。
具体的には、接客の際には立ち止まって一礼をするといった細かな指導ですが、そういった業務指示の内容も記載しています。業務確約書もタブレットで撮影して写真報告するようにすることで、すべて『V-Manage』の中で一体化しようと作業を進めています。
スタッフの人材教育では、例えばトイレ掃除のやり方についても、マニュアルが紐づいていますので、『V-Manage』の日次タスクからマニュアルを見ることができます。新人スタッフにもわかりやすいですし、タスクの進捗管理はもちろん、教育に費やす時間の削減という点でも効果は出ています。これらの多岐にわたる業務を1つひとつ効率化していくことで、生産性を高めていき、本来時間をかけるべきである、対お客様、対従業員への仕事に集中して時間を使えるようになってきています。
生産性を高めてくれるのが「ITシステム」という意識の浸透を図る
【Q】現場で『V-Manage』を利用されているスタッフの方々の反応はいかがですか。
有延氏:導入からまだ2カ月ですが、飲み込みの早い人とそうでない人はいます。その時間の差は仕方がないことです。
それよりも大事なことは、我々本部側がIT システムを使うことの重要性をしっかりと説明し、理解してもらうことだと思います。さらに、システムそのものが使いやすいものであることが大事なポイントです。
現場からは、『V-Manage』が使いやすいという声もありますが、エリア長や店長からは、もっとこうしてはどうかという意見もあります。そうした意見に耳を傾け、より使いやすくしていけるようにしたいと思います。
【Q】今後の展開について教えてください。
豊福氏:今後のDXを進めるにあたり課題と感じているのは、店長やスタッフによって大きな差のあるITリテラシーの平準化です。なかなか慣れない人をベースにした教育ツールなどで、従業員みんながより効率化を実感できるようにしたいと考えています。
有延氏:ITシステムを導入することで、従業員の業務がぶれることなく、生産性を高めていくことができます。その目的があるからこそ、IT システムを導入して、活用していくんだという意識を浸透させていくことが、我々本部の使命だと思っています。
Miコーポレーション株式会社
設立:1970年3月
本社所在地:福岡県福岡市博多区山王1丁目1番34号
事業内容:お好み焼きレストラン「どんどん亭」、ファーストフード「どんどんまるや」、お好み焼き専門店「牛すじ葱丸」、鶏料理専門店「トリヤ マルハチ」の経営
公式ホームページ:https://www.matsuishi.com/