お客様の目線になって、求めているものを提供したい。
【Q】飲食業で独立された理由は何でしょうか?

当社の設立は2013年です。私は鹿児島県指宿市出身で、大阪の飲食大手企業に就職して店長、マネージャー、部長を経験しました。大阪の飲食店での経験を通して、自分の生まれ育った九州のポテンシャルの高さを実感していました。九州という土地にはパワーがある。一方で、地元に帰るたびに街の活気が失われつつあることも感じていました。
九州の若者たちが地元で夢を叶えて、地元の良いものを伝える場でありたいと考えて立ち上げました。前職のときに九州で4店舗出店した経験もあったので、飲食店運営に関する情報はある程度把握できていたことも有利だったと思います。
【Q】飲食店を運営するにあたり、大切にされていることは?

自分がやりたいことをやるのではなく、求められていることをやるというシンプルな考え方を大切にしています。私は、お客様は何を求めているのかを、常に想像しながら店づくりをしてきました。
お客様が最低限求められていることをクリアした状態からスタートし、その上で、少しずつ料理で自分たちのやりたいことにチャレンジして、表現しています。基本はしっかり押さえる、そしてお客様の期待を超えるのです。

店舗へのご要望などは、店舗にアンケートを設置するほか、抜き打ちの覆面調査を外部業者に依頼したり、取引先が店舗をご利用されたときの感想を教えていただいたりすることもあります。また、従業員には「身内割」という制度を設け、割引をする代わりにしっかりアンケートを記入してもらいます。現場の目線とお客様の目線の両方から、リアルな意見を集めています。
創業12年になりますが業態変更せずに10年以上続く店がほとんどです。求められることを素直にやるということが、長く続ける秘訣でもあると感じています。
社内での分業化を徹底し、働きやすい環境を整える。
【Q】飲食業界では人材不足が深刻です。
私自身16年ほど飲食業に携わっていますが、人材不足にはずっと悩まされています。世の中の変化に応じて労働条件なども改善していますが、働く人たちが何を求めているかを会社として柔軟に合わせるようにしています。毎年、求職者の方々が求めるものをしっかり提供できているか、常に自問自答しています。
また、働く環境を整えるため、現場の「考えること」を減らしていくべきだと考えています。昔は店長に売上の責任を負わせていましたが、立地や業態、メニューを含めて、設計しているのは本部ですから、店長の責任ではない。店長の仕事は、アルバイトの管理とお客様の満足度向上、店舗のQSCを守ること。それに集中させられる環境を本部が作らないと、私は店舗展開できないと思っていますし、みんなが辛くなってしまう。
そこで、本部と現場でしっかり分業することにしました。本部としてもメニューの内容など、クオリティーの高いものをきちんと提供します。現場から突っ込まれるような仕事をしていたら、本部は不要ですから。お互いにプロの仕事をしていきましょう、というスタイルを取っています。
この考え方に変わったのは、店舗展開を行う上で「30億円の壁」にぶち当たったことがきっかけです。30億円規模の組織体制のまま、50億円以上になっていたら、間違いなく壊れていただろうと思います。現在45億円、今期は48億円を目指していますが、その時々に合わせた組織作りが重要だと痛感しています。
同じ指示が現場に伝わるよう、指示系統を整理。
【Q】店長教育はどのようにされていますか?

多店舗展開をする場合、店長の力量が大きく影響します。そのため、店長教育はここ1、2年で改めて本格的に向き合っています。今までは教育者が複数いて、教え方に無駄や差が生まれる体制でした。会議で話したことが現場まで伝わらない、ということがずっと課題でした。そのため、店長が変わると売上が急落するといったこともありました。

今は、指示系統を整理してコーチを1人に絞り、そのコーチが同じことを5人の店長に教える体制にしています。これにより、会社としての考え方や指示がそのまま現場に伝わるようになりました。コーチングをするメンバー構成は、大手飲食企業を経験した人や、小さい会社から大きくなる過程を経験した人が中心となっています。
当社では、統括会議という店舗運営部のトップが行う会議を毎月しています。これとまったく同じ資料で、エリアマネージャー会議、店長会議、店舗会議を行っています。この方法によって課題や決まったことが下まで伝わるようにしています。
また、アルバイトのなかでも役職や階層を設けて、一定程度の役職を持つアルバイトの方には、先述の会議に参加していただきます。社員たちと同じ内容を共有することで、チーム感が生まれ、「自分たちもそこに関わっている」と感じてくれています。
【Q】アルバイトの育成についても教えてください。
飲食店として絶対に避けるべきことは、属人化だと考えています。人によって料理の味や、接客の質がブレないように、誰でも質の高いサービスが提供できる店作りを常に心がけています。
私が最もアルバイト教育で大切にしているのは、責任感です。知識や経験、テクニックももちろん大事ですが、どう責任感を付けていくかに重きを置くべきだと思います。仕事に対する責任が、まず第一歩です。責任なきものに成長はありませんから。
他には、教育マニュアルを整えたことで、アルバイトから社員になる人が増えました。社員になってもいいかな、と安心して感じられる会社になってきているのかもしれません。
私自身、採用にはコストがかかるので、採用に経費を使うよりも育成に使おうという考え方に変わりました。以前は人に投資したい気持ちはあっても、どう投資したらどういう形で返ってくるのか、イメージできませんでした。今は人材への投資が具体的な成果として表れていると実感しています。
例えば、今日も店舗を訪れた際に厨房がとても清潔で「これが投資した結果だな」と思います。この投資が誰に還元されるかというと、まずはお客様です。安心・安全な環境で食事を提供できます。そして、従業員にも還元されます。誰でも汚い厨房の飲食店で社員にはなりたくない。きれいな環境で働いていれば「この会社はしっかりしている」と感じて、働いてみようかな、信用できるなと、意識が変わっていくと感じています。
【Q】具体的にどういったことに投資されていますか?

スタッフに、日々のワークスケジュールを書くというタスクを課しています。この作業は時間を使うので人件費が発生します。これが投資です。毎日行うことなのでスタッフが着実に成長していく。この人件費なら使える、という判断です。各自が記入した用紙をエリアマネージャーが現場に足を運び、目視で確認するようにしています。メールなどにせずあえてアナログにしたのは、エリアマネージャーに「現場をしっかり見なさい」という思いと、店舗にも「自立してほしい」という思いがあるからです。

「見られるからやる」「言われるからやる」では、本当の意味での自立とは言えません。たとえば、ガスの元栓を締めるというタスクを言われてからやるのではなく、これをしなかったときに、たくさんの人に迷惑がかかるかもしれない、大事故が起こるかもしれない。そういった危機意識がなければ、本当の意味での自立ではない。行動する意味をしっかり理解することが必要です。この感覚をもっていなければ、ルールの意味を理解できません。当たり前のことを当たり前にできるような思考を身に付けてほしいと思っています。
従業員が誇りをもてる、九州を代表する企業を目指す。
【Q】今後の展開や展望について教えてください。
5年後くらいには九州の飲食を代表する企業になりたいですね。首都圏や海外の企業に負けないくらいの飲食企業を九州に作りたいです。九州だから賃金が低いとか、その他さまざまな劣等感を全部私たちで消し去りたい。
従業員も誇りを持てる、「うちの会社は負けてないぞ」とみんなが言えるような企業を目指したい。お客様への対応、そのすべてに関して負けていない企業を、この九州でつくるぞ、という強い気持ちで臨みたいですね。
株式会社Be BLOOM
本社所在地:福岡県福岡市中央区舞鶴1-4-31舞鶴コーポラス2F
設立:2013年9月
代表者:代表取締役社長 物袋 栄一
公式ホームページ:https://bebloom.co.jp/












