多様なニーズを献立に反映
【Q】御社の給食事業について教えてください。
フードサービス事業本部 ヘルスケア部 次長 駒田 猛 氏(以下、駒田氏):当社は給食・中食に関連したさまざまな事業を行っています。具体的には官公庁や民間企業、学校、病院、社会福祉施設などの食堂・売店業務を委託運営しているほか、家庭向けの宅配事業や事業所への弁当デリバリー、学校給食事業なども手がけています。拠点は北海道から九州まで26ヶ所あり、全国635ヶ所のお取引先様に対し、毎日29万食の食事をお届けしています。
フードサービス事業本部 ヘルスケア部 3地区栄養士 平川 美桜 氏(以下、平川氏):私は栄養士として、病院や老健施設などの利用者様向けに献立作成、調理などを手がけています。毎日の食事は心の健康にも関わってくる大切な営みです。ただ栄養価だけを満たせばいいわけではありません。ひとりあたり1カ月の給食利用料金が決まっていて、その範囲を守りながらやりくりしているのですが、食事に飽きないよう定期的に新しい食材を仕入れたり、年間行事やイベントに合わせた献立にしたり、楽しんでいただける工夫をしています。
そのほかにも病院の給食サービスでは一般食や患者食など、利用者様ごとにエネルギーといった栄養成分の基準量に合わせて献立を作成し、彩りや量のバランスなどを調整しています。食を通じて健康維持のお手伝いができるのは大きなやりがいです。
規格書の入力ミスをシステム化で解消
【Q】栄養成分の計算はどのようにされていますか?
駒田氏:一般食や患者食などの献立を作成する際、仕入れ品の規格書※を参考に、献立ソフトで計算しています。当社では『BtoBプラットフォーム規格書』を献立ソフトと連携させ、エネルギーなど20項目の栄養成分を自動で取得しています。法改正で診療報酬や栄養価の基準が変わることもありますから、人の手ではなくシステムで管理してミスを徹底的になくしています。
※食品の栄養成分やアレルギーなどの仕様を記録した書類
栄養成分の計算にミスは許されないので、献立ソフトと規格書を連動させたことで入力ミスがゼロになり、安心感が生まれました。入力の手間もそうですが、システムを利用して正確性が改善されたことは良かったと思います。
受発注システムでコストカットを目指す
【Q】そのほかに食材の仕入れでは受発注システムをご利用されています。
駒田氏:事業所の従業員に仕入れ品の価格帯をしっかり把握してコスト意識を持ってほしいと思い、2014年に発注業務のITツールを導入しました。それまではFAXで発注しており、品物が来て納品書を見てから価格を知ることもしばしばありました。1日にどれほど食材費がかかっているかを把握できていなかったのです。
さらには事業を拡大していく中で、マネジメント層が自分の拠点にいながら、他の店舗もサポートできるようにしたいという思いもありました。発注業務がシステム化されれば、金額把握や計算にかけている時間が短縮され人材教育もやりやすくなり、人手不足も解消されると考えたのです。
【Q】システム導入時、社内の反応はいかがでしたか?
駒田氏:当初はFAXからの切り替えに反発もあり、受発注システムの利用はなかなか浸透しませんでした。その後、私が千葉エリアのマネージャーになった際に千葉県をモデルケースとしてシステム化を進め、その成果を全国へ広めていったのです。
平川氏:私もリーダーとして店舗に赴き、パソコン作業に慣れていないスタッフに指導をしていました。やり始めてしまえば難しいところはありませんし、今までFAXの発注にかかっていた作業時間がどんどん減ってきます。「使いにくい」という声もほぼありませんでした。
仕入れ金額の把握で食材原価を10%削減
【Q】発注業務のシステム化で、どのような成果がありましたか?
駒田氏:まず、人材が育成できました。『BtoBプラットフォーム受発注』を使うことで、マネジメント層の全員がどこにいても食材コストをすぐに把握でき、食材費だけでなく、人件費や応援にかけていた出張交通費なども減りました。全体的にボトムアップして作業改善が進んだのです。システムを起点に全体のオペレーションを作り直したので、FAX発注時には4人必要だった人員が丸々1人減りましたし、別の業務に時間を割けるようになりました。毎月の棚卸にかかる手間も『棚卸機能』で大きく削減できました。こうした細部にいたる業務改善の結果、全体的なコストカットにつながったと思います。
平川氏:食材原価の改善は、非常に大きかったです。単品ごとの価格を現場に教えていった結果、献立を作る際に「これは高いから、なるべく入れないようにしよう」とか「これは安いから比較的多めに入れよう」といった考え方が浸透し、献立の原価が少しずつ下がっていきました。年間では10%以上、削減できたのです。
駒田氏:『BtoBプラットフォーム受発注』を使うことで発注時にコストがすぐにわかるので、原価や予算感などの知識が自然と身につきます。施設でイベントを開催する際などは、予算などを含め利用者様にしっかり提案できるようになりました。従業員が育った成果は大きいですね。
行政対応もシステム化で盤石に
【Q】『部門別発注機能』『検収記録簿機能』もお使いです。
駒田氏:病院や老健施設などへ給食サービスを提供している場合、朝昼晩や職員・患者様などに分けて発注する『部門別発注機能』は欠かせません。施設から書類の提出依頼があったり、年に一度は自治体や保健所からも行政確認が入ったりします。その際に、きちんと朝昼晩で利用者様・職員ごとに分けて予算などを管理しているかという証明書類は必須です。『BtoBプラットフォーム受発注』の『部門別発注機能』で印刷した納品書に数字を入力して手間を省いています。
平川氏:また給食サービスでは、自治体や保健所に、日々の仕入れの検収記録簿を提出する必要があります。この作業も『検収記録簿機能』で対応しています。仕入れ品の温度や期限表示、鮮度、異物、包装といった管理項目を会社で統一して、事業所でしっかり保管しています。安心安全に食を提供するためにも、書類管理のシステム化は不可欠です。
利用者と向き合う時間を充実させ、ハーベストのファンを増やしたい
【Q】今後の展望をお聞かせください。
駒田氏:これからもハーベストのファンを増やし、たくさんの食事を全国さまざまな場所へ届けていきたいと考えています。その中で当社が最も大切にしているのが、“利用者様に寄り添った給食サービスを実現していく”ことです。自動化によって一括仕入れや、一括調理を実現するのではなく、システム化により空いた時間で、お客様とのコミュニケーションや、栄養士が厨房で創意工夫をこらす時間など「本来やるべき業務」を充実させていきたいと思っています。
そのために、今後は献立ソフトとインフォマートさんの『BtoBプラットフォーム受発注』、『BtoBプラットフォーム規格書』を連携させて一元管理し、発注を自動化していくことを考えています。システム化によって献立の管理や発注が自動化できれば、栄養士がパソコンに向き合っている時間をさらに減らせるでしょう。その時間をご利用者様の声を伺う時間や現場の栄養士さんと献立について話す時間に充て学びを得ることで、お客様の喜びにつなげていく。おいしい食事を提供することが当社の使命ですから、その使命を実現するためのシステム化を進めていきたいですね。
ハーベスト株式会社
設立:1960年10月29日
代表者:代表取締役社長 脇本 実
事業内容:
(1)官公庁、オフィス、工場、銀行、学校、ゴルフ場等のフードサービス
(2) 病院、有料老人ホーム及び社会福祉施設でのフードサービス
(3)レストラン及びファーストフード事業
(4)惣菜(夕食材料)宅配事業
(5)給食弁当デリバリー事業
(6)観光庁、オフィス、工場、学校等での商品販売
(7)ビルメンテナンス、特定人材派遣事業
本社所在地:神奈川県横浜市保土ケ谷区岩間町2-120
公式ホームページ:http://www.harvest-corp.co.jp/