私は、日ごろから意識して外食を食べ歩き、経営者目線だけでなく顧客感覚も磨いています。そのため、この立地でこの価格、こんな店があればうまくいく、というイメージが物件から浮かびあがってくるのです。そのため、今までやったことがない業態でも思い切って取り組むことができます。
とはいえ、串焼きの経験はまったくなかったので、店作りと同時進行で、焼き鳥屋に修行に行って三日三晩焼き続け、調理やオペレーションのノウハウを体得しました。
【Q】未経験の新業態でも、谷脇社長自ら現場に立たれるのですか?
今はメニュー開発部もあるし、運営本部もありますが、その頃は、仕込みも発注も経理も求人受付も全部私がやって、1人本部のような状況で、とにかく先頭に立ってやるしかありませんでした。
それにやはり、その業態をきちんと知る必要がありますから。東京、五反田に焼肉・ホルモン業態の「五反田ホルモン まるみち」を出店したときも、まずは自分ですべてのホルモンの部位を仕入れてみました。
そして専門家の指導を受けながら、腸も色々あるとか、牛の胃は4つもあるのかとか、そんな初歩から覚えていきました。ホルモンは臭みをとるために下処理でしっかり水洗いする必要があるのですが、これも私が全部洗っていました。ちょうど長女がうまれたばかりだったので、おんぶしながらホルモンを洗っていた思い出がありますね。
地域にあわせた業態づくりで愛される店をめざす
【Q】「そば道」という蕎麦の業態でも出店されていますね
蕎麦居酒屋業態の「そば道」は、弊社初の和食だったこともあり、軌道にのせるまではかなり苦労しました。店舗のある大井町は創業地です。地域密着の店づくりを理念に掲げる弊社にとって、地域の特性がわかっていて業態戦略を立てやすいエリアで、実際に駅前で競合もすくない立地を選んだつもりでした。しかし条件は悪くないのに売上は伸びませんでした。
【Q】困難な状況をどのように乗り越えられたのでしょうか
お客様が求めていることと、店が提供するものがマッチしていれば繁盛店になれる。だから、うまくいかない時は必ず「原因」があるはずなんです。
とにかくやると決めたことは、自分がやり尽くしたと思うまで諦めることができない性分なので、考えられる理由を全部あげて、それを全部潰していきました。
お客様からアンケートをいただいたり、ユニフォームを変えてみたり、トライ・アンド・エラーを繰り返して、ニーズを探っていきました。