失敗から誕生した「台湾まぜそば」
「麺屋はなび」は、塩ラーメンを主力とした店舗だったが、2008年の開業から半年経った頃から新商品の開発にも力を入れ始めた。元々中華料理店で働いていた新山社長は、名古屋で有名な後引く辛さが台湾ミンチと、塩ラーメンと合わせる商品開発に挑戦していた。しかし……。
「台湾ミンチの濃い味つけと、繊細な塩味のスープが合わず、ラーメンが台無しになっちゃって。これは失敗したぞと思って捨てようとしたら、女性スタッフが“もったいないので茹でた麺にそのままかけて食べたい”と言うんです。それを味見したら意外といける。これは面白い発想だと思い、刻みネギ、ニラ、卵黄、魚粉などを加えて、商品として販売できるレベルにまで引き上げました」
こうして誕生したのが『台湾まぜそば』である。その後も試行錯誤を繰り返し、麺を押しつぶしながら混ぜることで、ねばりを出して旨みを増す手法を発見。完成形になるまで3年もの時間を要した。
愛されるための黄金比“味2割、接客8割”とは?
美味しい『台湾まぜそば』は出来上がったが、それだけで繁盛店になったわけではない。「麺屋はなび」がお客から強く支持されている理由はどこにあるのだろうか。
「僕が一番気にしている数字は、顧客満足度です。回転率や利益率を考える前に、“目の前のお客様をどれだけ満足させられるか”を考えています。飲食業として、美味しいものを作るのは当たり前すぎて、そこで勝負はしていません。僕がスタッフにいつも言っているのは、“味2割、接客8割”です」