大手食肉メーカーからの転職を経て辿り着いた、“食”業という仕事
【Q】2012年の起業以前は、どのようなお仕事を?
大学を卒業して、地元の沼津にある食肉加工の「米久」に入社しました。3年ほど配送業務を経験した後、本社の輸入セクションでバイヤーを担当しました。海外出張を繰り返しながら、大きなお金と商品を動かせる。自分の中でイメージする理想のサラリーマン生活でした。
一方で、30歳を前に自分の将来について冷静に考え、「このまま、食肉しか知らないサラリーマンとして歳を重ねるのはどうなのかな?」と自問していました。
【Q】そんな自問に対し、どんな結論を出したのですか?
2005年前後は世の中でベンチャー企業が台頭していた頃で、密かにサラリーマンとは異なる生き方に、強い憧れを抱いていました。それで、知人が名古屋で立ち上げた、店舗のリースやファイナンスのベンチャーに転職したんです。
ベンチャーの世界に飛び込んで、自分がいかに狭い世界で働いてきたかを痛感しました。店舗周りの仕事を通じて、飲食店経営者とお会いしても、私が話せることは肉のことしかありませんでしたから・・・。
店舗リースの仕事からすると、肉の知識は全く畑違いの分野でした。それでも肉の専門家としていろいろな人に、肉の知識をアドバイスしていくうちに、「俵は肉バカだ」みたいな評価が徐々に広まり、名古屋の飲食業界でも存在を認めてもらえるようになりました。
食肉卸の強みを生かした、直売所併設の焼肉店
【Q】どのようにして飲食の道を歩み始めたのでしょう?
店舗リースの仕事を続けながら、色々な経営者の方とお話をしている内に、今の飲食業界の肉の仕入れというのは、なんて効率が悪いのだろうと気づきました。特に経験のある中間流通の部分でそれを感じることが多かったですね。