おいしい話を断ってでも…町田・相模原にこだわる理由
キープ・ウィルダイニングのはじまりは、2004年のこと。経営者というより、地元を愛するひとりの無邪気な青年の思いがベースになっている。
「町田は駅周辺にお店も多く、ローカル駅の人も集まってくるので、とても活気がある街です。ただ、ナショナルチェーンばかりで、都内にあるようなお洒落な店や個性的な店があまりない。地元で済ませたくても、結局は都心に出ないといけないことが多いんです」(保志社長)
若い頃は女性とのデートで都心まで足を延ばし、最後におしゃれなバーでいい雰囲気を作っても、終電で帰らないといけなかった。笑いながら話すそんなエピソードもきっかけの1つだ。
「わざわざ都心に出なくていいようにしたい、地元をもっと楽しい街にしたい、というのがはじまりでした」(保志社長)
起業後は、町田・相模原を中心に、カフェ、ダイニング、居酒屋など、「自分が地元にほしい店」を作り続けてきた保志社長。事業が軌道に乗った頃、のちの経営方針を大きく左右する出来事があったという。
「4年ほど前に、東京の麻布でブライダル関連のお話をいただいたんです。投資額も少なく、当時の事業規模が倍になるような素晴らしいお話でした。最初は受けるつもりで準備を進めていたのですが、どこか情熱を注げなかった。自分たちを育ててくれたのは地元のお客様なのに、顔も見えない街の人たちのために全力を尽くせないな、と思ったんです。それで出店を断ったら、完全に町田・相模原エリアでやっていこうと腹が決まって。この街の問題を解決したいとか、もっと盛り上げたい、みたいな気持ちが強くなったんです」(保志社長)
あらためて進むべき道を確かめた保志社長は、『マチサガ』(町田・相模原エリアを指す造語)という魅力あふれるエリアへと昇華させる「ローカルブランディング」をまい進していく。