定型の事務作業を見直して、ストレス・長時間作業から解放~FOODCROSS conference 2025 DXアワード卸・メーカー部門

特集記事2026.01.16

定型の事務作業を見直して、ストレス・長時間作業から解放~FOODCROSS conference 2025 DXアワード卸・メーカー部門

2026.01.16

定型の事務作業を見直して、ストレス・長時間作業から解放~FOODCROSS conference 2025 DXアワード卸・メーカー部門

  • 汎用bnr_side_juhacchu_eatery_202509.png
  • 汎用bnr_v-manage_202512.jpg

食品卸や製造の現場において、FAXや電話による受注処理は長年の課題であった。早朝からの長時間労働や業務の属人化が常態化し、企業の成長を妨げる要因となっていた。

このようなアナログな状況からシステムへの運用を推進し、作業時間の削減やミスの撲滅を達成した企業がある。従業員を過度な事務作業から解放し、生産性を向上させた4社の業務改革と成果を紹介する。

目次

電話・FAX注文75%削減で働き方改革を実現

立川臓器(食肉卸・東京都国分寺市)

東京多摩地区の飲食店向けに食肉・内臓肉を卸売する立川臓器は、長年の課題であった長時間労働と属人化された受注業務の解決に踏み切った。同社では、FAXや留守番電話、ラインメッセージ、メールなどから、月間約4,000件の注文を受けていた。これにより、「ひき肉」などあいまいな商品名の確認作業が発生し、朝3時出社で5時間を要する受注処理と、平均30分の作業ロスが生じていた。

この課題を解決するため、受発注システム『TANOMU』を導入。顧客に合わせた段階的な発注切り替え計画と、細かな注文に対応する事前準備を入念に実施した結果、導入から6カ月でアナログ注文の約75%にあたる3,000件をシステムによる受発注へ移行させた。

この取り組みにより、受注関連の作業時間は5時間から2時間へと短縮され、担当者の出社時間が繰り下げられた。また、手書き作業の削減やミスの撲滅による30分のロス解消も実現。得意先に発注方法の切り替えを促した際、丁寧な顧客対応で取引を終了した得意先は1件も発生しなかった。同社は今後、この成功を業界全体の課題解決に活かしていく方針を示している。

食品卸売事業の成長戦略:データが示す労働生産性と売上向上の秘訣

天辺ダッシュカンパニー(製造卸・茨城県つくば市)

天辺ダッシュカンパニーは、ラーメン店の運営に加え、自社工場で製造したスープや麵などの卸売事業を立ち上げ、約10年で取引先を1200店舗まで拡大した。しかし、コロナ禍以降に売掛金の貸し倒れが増加。さらに、受注方法は電話・FAXに依存し、紙への転記や販売管理システムへの入力が煩雑化した。その結果、1日80~100件の注文処理に約6.5時間を要し、1件あたりの作業単価が390円(時給1500円換算)という高コストな業務が課題となっていた。

この解消にあたり、ラインを活用した受発注システム『TANOMU』を導入。システムの利用に不慣れな得意先も含め、ウェブ受発注への移行率は3カ月で90%に達した。その結果、受注作業の時間は6.5時間から4時間へと短縮され、注文1件あたりの作業単価は170円に抑えられた。

さらに、売掛取引による貸し倒れリスクを解消するため、EC機能を備えたオリジナルアプリを開発。支払い方法をクレジット決済と代引きに限定することで、売掛のリスクを根絶した。これにより新規契約獲得スピードが大幅に加速し、同社の売上はコロナ禍以降、毎年125%の成長を達成している。

業績拡大の壁を打破!FAX受注処理デジタル化戦略

アリスタ フードソリューションズ ジャパン(ベーカリー製造・東京都新宿区)

ヨーロッパの業務用冷凍ベーカリー市場で最大シェアを誇るアリスタ フードソリューションズ の日本法人は、ホテルや飲食店など約2000社からのFAX注文が引き起こす手入力と返信作業の非効率性に直面していた。特に、10年後の売上倍増計画達成のため、属人化し限界を迎えた受注体制の改革が急務であった。

同社は、得意先のFAX発注運用を変えずに導入できる『発注書AI-OCR』を採用し、この課題を解決した。FAX発注書の自動データ化と商品紐付けにより、スタッフの作業は内容確認のみに削減。特に、画面上から大量の受注確認書を一括送信できるFAX返信機能が、人的ミスと工数削減に大きく貢献した。

導入の結果、受注スタッフを増員せずに受注件数増に対応し、作業合計時間を約3分の1に削減した。具体的には、月平均2000枚の処理で、月間約130時間の作業時間削減を実現。この時間短縮により、数値では測りきれないスタッフの心のゆとりが生まれ、これが業務効率化で得られた最大の成果であるとしている。同社は、発注書AI-OCRの活用を通じて、会社の成長と働きがいの向上を両立させている。

受注業務を最大50%削減に学ぶ受注・販促システム活用戦略

三本珈琲(飲料卸・神奈川県横浜市)

高品質なコーヒー卸売の三本珈琲は、過去、受注の70%がFAX・電話という非効率な体制に直面していた。これにより受注業務に1日約6時間を要し、事務部門の圧迫と属人化した業務が課題であった。

同社は解決策として『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』を導入。全国34支店へ展開したが、利用率に支店間で差が生じたため、利用率40%未満の支店へのフォローを強化した。しかし、「顧客へのシステム案内が困難」という営業現場からの声に対応が必要となった。

これを受け、同社は得意先のデジタル発注メリットを訴求する専用案内チラシを作成し、ウェブ発注利用者への商品プレゼントキャンペーンと組み合わせた。この集中的な取り組みの結果、全社的なシステム導入率は約20%上昇し、ある支店は利用率が27%から57%へ上昇した。

最終的に、受注業務は1日あたり6時間から3時間の時短を達成。この削減効果により、内勤社員が見積り作成や倉庫作業支援などの営業フォローに時間を充てられるようになり、営業部門は本来の活動に集中できる体制が整った。今後はこの成功施策を定期的に展開し、さらなる利用促進を目指す。

注目のキーワード

すべてのキーワード

業界

トピックス

地域