DXで実現する「人への想い」と顧客価値の最大化:サンドライブの持続的成長戦略
会津馬刺 おいだれ焼鳥 彦酉(サンドライブ・千葉県市川市)

株式会社サンドライブ(「会津馬刺 おいだれ焼鳥 彦酉」など11店舗展開)は、パート・アルバイト従業員を経営の重要要素と位置づけ、「パートナー」と呼び。生産者交流などを通じて食材理解を深めている。この活動でパートナーは主体的な接客をするようになったが、社員とのコミュニケーション不足が課題だった。店長が改善案に対応しなかったり、運営方法が一方的に変更されたりすることで、パートナーが積極性を失うことが経営課題となっていた。
同社はこの解決のため、目標設定・育成ツール『ボットー』を全店舗に導入した。業務の可視化とフィードバックのデジタル化を実現し、AIによる貢献度評価スコアを時給決定の要素として試験運用している。
ボットー導入後の効果は顕著だ。正社員の離職率は10%から8%へ、アルバイトの離職人数は105人から47人へと改善した。結果、売上高に対する採用コストは1%から0・2%に低下した。
また、店長からのフィードバックコメント数が約2倍に増え、業務に関する会話が活性化。売上高は100%から110%で推移している。サンドライブはDX推進により、地域に不可欠な店舗を目指す。
「教えるから動く」へ転換させた、飲食店組織マネジメント
大衆酒泉テルマエ(BIRCH・東京都品川区)

株式会社BIRCH(バーチ)は、大衆酒泉テルマエを17店舗運営している。年商10億円を目前に、多店舗展開による人材マネジメントの属人化と情報伝達の不全という課題に直面。現場から「言われてない」「知らない」という声が上がっていた。
同社は、従業員に正解を提示するため、ラインを通じた社内情報DXプラットフォーム『コネット』を導入した。『コネット』で従業員がラインから即座にマニュアルにアクセスできるようになったため、店長による口頭説明が削減された。また、ESアンケートで最も低かった「長期間働き続ける制度の充実」の設問について、制度を認知させるため制度内容を『コネット』から発信したところ、次回の結果で改善された。
次に、店舗オペレーション管理アプリ『V-Manage』を導入し、店舗運営の属人化を解消した。タスク機能に写真付きの業務手順を示して、アルバイトが「見たら誰でもできる」スキームを構築した。さらに、チェックシート機能を応用したアルバイト教育制度では、教育履歴を記録に残すこと評価制度と連動させ、現場のモチベーション向上に繋げた。バーチはDXの推進で年商10億円を突破し、さらに高品質なFC展開を目指す。
店舗運営の省力化で高収益・高再現性のFCモデルを構築
四川麻辣湯 星星倶楽部(三匠・東京都豊島区)

マーラータン専門店「星星(シンシン)倶楽部」を直営とFCで運営する株式会社三匠は、デジタルツールを活用して高収益かつ高再現性のFCモデルを構築した。
モバイルオーダーシステム『エニデリ』により、注文から決済までを客のスマホで完結させ、完全キャッシュレス化で現金管理業務を全廃した。その結果、飲食業未経験の社員1名で店舗運営が可能になったほか、新人アルバイトの即戦力化、月商1400万円の渋谷店をホール1名で運営可能にした。
また、店舗オペレーション管理アプリ『Vマネージ』でチェックシート類をクラウド管理した。これにより、本部が店舗のタスク実施状況を随時確認できるようになり、現場に良い緊張感が生まれ運営品質が向上した。
さらに、『BtoBプラットフォーム受発注』FC管理機能を活用し、新規加盟店がすぐに参加できる共通インフラとして整備した。三匠はこのDXパッケージにより、アルバイト中心で高収益・高品質なFCモデルを提供し出店を加速する方針だ。
アレルギー管理を半自動化し、効率化と信頼を獲得
東京ステーションホテルなど(日本ホテル・東京都豊島区)

JR東日本グループの日本ホテル株式会社では、ホテルごとに提供するブッフェ、レストラン、婚礼、宴会、外販商品、おせち、クリスマスケーキなど様々な場面でアレルギー管理を実施している。
従来の管理体制では、年間8千枚に及ぶアレルギー情報の書類を目視チェックするのに、1日あたり1人1・5時間を要し、メニュー承認までに約2・5カ月かかっていた。
この負担を軽減するため、同社はインフォマートの『BtoBプラットフォーム 規格書』プレミアム版、『食品大目付そうけんくん』、自社開発の新食材チェックシートをデータ連携させるDXを推進。アレルギーチェックが半自動化され、書類作業を2・5カ月から20分に短縮させた。
さらに、ブッフェの料理カードへのアレルギーピクトグラム表示や、外販商品の食品表示ラベル出力が容易になったほか、ハラル、コーシャ、ヴィーガンなど食の多様性にも対応している。
同社は、2026年度からAIによる音声入力の導入も計画しており、さらなる業務効率化と食の安全管理の徹底を両立させる。











