ポジティブに!あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」とは?

最新ニュース2024.03.14更新:2024.06.17

ポジティブに!あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」とは?

2024.03.14更新:2024.06.17

ポジティブに!あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」とは?

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2020年以降、新型コロナウイルスの影響を受け外食や飲み会が減り、人やお酒との向き合い方について考える人が増えた。また、近年の健康志向への関心の高まりから、世界中でお酒を控える傾向が広がっている。そうした傾向の中、あえてお酒を飲まないことを選択している人々のライフスタイル「ソバーキュリアス」が注目を集めている。

本記事では、ソバーキュリアスが流行している背景やメリット、飲食業界の対応策など詳しく解説する。

目次

「ソバーキュリアス」とは?

ソバーキュリアス(ソーバーキュリアス)とは、「お酒は飲めるが、あえて飲まない」という新しいライフスタイルを指す言葉。由来はSober「しらふ」、Curious「好奇心」からきており、「しらふになりたい好奇心」といった意味が込められている。厳しく「禁酒」するといった考えではなく、あえて飲まず、時と場合によっては飲んでもいいという考え方だ。

ソバーキュリアス のことを「ソバキュリ」と略すこともあり、実践する人のことを「ソバキュリアン」と呼ぶ。

「ソバーキュリアス」を実践するメリットとは?

ソバーキュリアスを実践することで、アルコール摂取の抑制による身体への負担を減らし、不眠や不安の緩和、肌トラブル解消、人間関係の改善など様々なメリットがあるとされている。

また、アルコールの影響を受けずにクリアな状態でイベントやアクティビティに参加ができるため、心身の調子を最適に保つことができるのも大きなメリットだ。飲み会のあとに、趣味を楽しむ、残った仕事を片付けることも可能だ。日常生活や仕事においても、二日酔い等を気にせず、集中力や生産性の向上も期待できる。

さらに、ソバーキュリアスを実践することはかっこいいという価値観も生まれている。

ソバーキュリアスが流行している理由・背景とは?

近年、健康への関心は更に高くなり、アルコールが健康に及ぼす影響に対する意識が一層増している。アルコールの過剰摂取は健康問題を引き起こす可能性があり、「ソバーキュリアス」を通した健康的なライフスタイルが注目を集めているのだ。

また、特に欧米のZ世代(1990年代半ば以降生まれの世代)を中心に、従来の価値観にとらわれず、自分らしい生き方を求める傾向が強まりを見せており、誰かに同調し飲酒するのではなく「自分で選択し飲酒しない」ことをかっこいいと感じていることもソバーキュリアスが流行している大きな背景だ。

アルコールを摂取しないこと自体も、新しい形の自己表現やアイデンティティの一環となっており、SNS上で「♯sober」のタグと共に発信する若者が増加している。このような発信が広がりを見せ、他の世代にも影響を与えている。

かつての日本では「飲みニケーション」という概念が根強く、プライベートも仕事の集まりなどでも、人との付き合いには「お酒が当たり前」という風潮があった。しかし、健康や他の理由から、「あえて」お酒を選ばない生き方であるソバーキュリアスは、若者を中心に、お酒の飲み方に対する新しいアプローチと言える。

お酒の飲み方の多様性が普及しつつある

従来の「飲み会=アルコールを飲む」という概念にとらわれず、アルコールを含まないノンアルコールドリンクや低アルコールドリンク、カクテル、モクテル(ノンアルコールのカクテル)など、飲み会や居酒屋などの飲み物も多様化しつつある。

特に若い世代(Z世代やミレニアル世代)では、伝統的なお酒のイメージにとらわれず、新しい飲み物の楽しみ方を求めている。SNSやインフルエンサーの影響もあり、ユニークで洗練されたノンアルコールドリンクやカクテルが受け入れられつつある。

酒類業界を取り巻く動き

お酒の飲み方が多様化する中、酒類業界もその対応に迫られている。こうした流れに対応するべく、飲み物メーカーやバーなどは、ノンアルコール製品の開発や提供に力を入れている。
さらに、従来のアルコール飲料に加えて、アルコールを含まないオプションや低アルコールの選択肢を提供することで、お酒を飲まない人々も含めた多様な好みに対応し、より柔軟で個々の好みやライフスタイルに合わせた選択が可能になっている。

酒類業界に対して行われた調査結果

国税庁が発行した「酒のしおり」によれば、高齢化と人口減少の影響で、成人一人当たりの酒類消費量は1992年の101.8リットルをピークに減少している。平成元年以降、消費量および国内出荷数量も減少傾向にあり、酒の消費において長期的な低下が確認されている。

そうした傾向の中、ノンアルコール飲料の市場は拡大している。サントリーホールディングス株式会社が実施したノンアルコール飲料市場についての調査によると、2022年のノンアルコール飲料市場は、前年比102%増の4,084万ケースと推定され、約10年前の市場規模の約1.4倍に。新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して、自宅でのノンアルコール飲料の飲用頻度が増加しており、日常生活の中でノンアルコール飲料がより一層浸透したと言える。

サントリーホールディングスより「ノンアルコール飲料市場の推移(2009年~2023年)」グラフ
サントリーホールディングス株式会社より「ノンアルコール飲料市場の推移(2009年~2023年)」グラフ

<参照>
サントリーホールディングス「ノンアルコール飲料に関する消費者飲用実態・意識調査 サントリー ノンアルコール飲料レポート2023
 

ノンアルを提供している飲食店事例

健康志向やアルコールを控える傾向が高まる中、ノンアルコールを提供する飲食店も増えている。以下では、ノンアルコールを提供している飲食店2つをご紹介する。

TOUMIN

レストラン「TOUMIN」東京・西麻布にあるレストラン「TOUMIN」。名だたるフランス料理店で修行した井口和哉氏が手がける、旬の素材と発酵を掛け合わせたモダンフレンチ料理は、身体に配慮したオリジナルな味わいが特徴です。
日本の食材を酵母や菌を使って調理。「冬眠」した素材のエネルギーと自然の恵みを感じられる月替わりのおまかせコースを提供しており、アルコールとノンアルコールのペアリングも用意。12席のカウンターレストランで、目の前で料理が仕上げられるプレゼンテーションも楽しめる。

詳しくはこちら>>

Sake Cafe にじみ

カフェビストロ「Sake Cafe にじみ」敷嶋の酒蔵で有名な伊東合資がオープンした、愛知県半田市にあるカフェビストロ「Sake Cafe にじみ」。「Restaurant gnaw」監修のもと、ペアリングランチ、カフェタイム、そしてビストロのディナータイムを提供しており、アルコールはもちろん、ノンアルコールのペアリングも楽しめる。時と手しごとの温かみが感じられる空間で、味わい深いひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。

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まとめ

健康に対する意識の高まりやアルコール消費の減少傾向が顕著になる現代、お酒を飲まないことをポジティブなライフスタイルとして捉えるソバーキュリアスは、多様性を受け入れる新しい社会の潮流になりつつある。

このような動きの中で、飲食業界はノンアルコールドリンクやヘルシーオプションを増やし、アルコールを控える人々が集まる場やイベントに対応することで、顧客獲得やリピーターの獲得につながるチャンスが生まれている。より多様なニーズに応えるために、アルコールを摂取しない人でも楽しめるメニュー提供を検討してみてはいかがだろうか。

<参照>
東京都保健医療局「Dr.瀧村に聞く!カラダもココロもよろこぶ “オトナの飲み方”
国税庁課税部酒税課「酒のしおり」令和5(2023)年6月
 

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