さらに、作り方の中で注目したいのが、衛生面だ。ラップの上に広げた材料を包むので、ご飯はもちろん海苔にも触れることなく作ることができる。手の平でギュッと握るおにぎりと比べると、衛生的だといえるだろう。
コストをかけない新メニュー開発の救世主となるか
ここまでくると飲食店がおにぎらずをメニューに活用するのは、さほど難しいことではないことはおわかりいただけると思う。たとえば、店の看板メニューを具材にしてラインナップの幅を広げたり、ご飯の量を減らして野菜中心のヘルシーな〆メニューにしたり、客の好みにあわせて具材を変えることで特別感を演出したり…。アレンジしやすいうえに、新たなコストをかけずに取り入れられそうなものも多い。
先述したファミリーマートの「サンドおむすび」では、具の量が同社比で2倍に増えたことに加え、「ベーコンエッグ味」「ツナチーズ味」という他にはない個性的な具材で差別化を図り、コンビニのおにぎりとしては高価格な210円で売り出している。飲食店でも独自のアレンジで攻められれば、客単価のアップも難しくない。
さらに飲食店の場合、提供の仕方でも新たな価値を創出することができる。オープンキッチンの対面型カウンターがある店なら、お客の目の前で手際よく作って見せるのも一手だろう。また、海苔とご飯、選べる具材をセットで提供し、手巻き寿司感覚でお客自らが包んで仕上げる「セルフおにぎらず」なんていうメニューも考えられる。
飲食店でもアイデア次第で可能性が広がる「おにぎらず」。忙しい主婦の味方としてだけでなく、忙しいシェフの味方としても活躍してくれそうだ。