喫煙専用室設置の費用とスケジュール
日本たばこ産業(JT)のたばこ事業本部 マーケティング&セールスグループのCRM推進担当課長・藤本耕太郎氏に聞いた。
「どのような対応パターンを取るにしても、喫煙室の設置には費用がかかります。また、どの規模の喫煙室を作るのかによって、費用は変わってきます」
現状、努力義務とされている喫煙室要件の指標となる厚労省の分煙効果判定基準に基づいて、喫煙室の整備を実施する場合、数十万円から数百万円の費用がかかる。店舗の設備状況や必要な機器、備品によって、費用は大きく異なる。
2020年4月1日以降、 飲食店の屋内に喫煙室を設置する場合には、喫煙室から施設の屋内にたばこの煙が流出しないように、以下の基準を満たした措置を講じる必要がある。
喫煙室外への煙の流出防止措置(技術的基準)
1 | 出入口 喫煙室の外側から内側に流入する空気の気流が、0.2m/秒以上であること |
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2 | 壁・天井 たばこの煙(加熱式たばこの蒸気を含む)が喫煙室の中から施設の屋内に流出しないよう、壁・天井等によって区画されていること |
3 | 排気 たばこの煙が施設の屋外に排気されていること |
<補足事項>
・施設内が複数の階に分かれている場合、壁・天井等で区画した上で、上階を喫煙フロアとする取扱いも可能。(=フロア分煙可)
・屋内全部を喫煙可能室とする店舗(=喫煙可能店)は、2(壁・天井)の要件のみを満たす必要がある。
・法及び条例の全面施行時に既に存在している建物で、管理者の責任でない理由で上記の基準を満たすことができない場合、一定の経過措置が設けられている。
分煙や喫煙専用席導入による影響と対策
全国展開するある居酒屋チェーンでは、従業員の受動喫煙防止や顧客満足度向上、新規顧客獲得といった狙いもあり、法令への対応を検討している状況だ。JTにも飲食チェーンから、分煙対策や国の助成制度への問い合わせが増えているという。
「JTでは、分煙についての専門知識を持つ分煙コンサルタントが、飲食店様などからの分煙についての相談に対して無償でアドバイスをしています。ニーズや予算をお聞きしたうえで、最適な分煙方法やスケジュールの提案を行っています」
助成金制度についても詳しく、こうしたサービスを利用するのも、1つの方法だろう。
全国に広がりつつある、地方自治体の受動喫煙防止条例
ここまで国と都の規制対象となる飲食店について見てきたが、東京都のみならず多くの自治体で、受動喫煙対策についての議論が進められている。神奈川県や兵庫県などすでに独自の条例を施行している自治体もある。地区町村レベルでも条例制定の波が全国的に広がっており、中には各自治体のルールが異なる場合もある。混乱をきたさぬよう、今一度確認しておくべきだろう。
受動喫煙対策では、どうしても飲食店での客離れに議論が集中しがちだ。しかし、目指すべきは喫煙者・非喫煙者に関わらず、どちらの利用客にとっても喜ばれる店舗運営であり、その実現方法を考えることが求められている。
取材協力:日本たばこ産業マンガでわかる分煙対策!