「もうひとつのメリットは、取引先が自治体ということです。事業者に発注し、支払いをするのは自治体ですから、お金が払われないということは、まず考えられません。確実にお金が入ってくるという安心感は大きいですね」
他にも、ウェブサイト上での商品の紹介ページ作成や管理、クレジット決済など、面倒な手続きを自治体が行ってくれるというメリットもある。
ではどうすれば参画できるのだろうか。
「自治体によって、事業者の募集方法は様々です。募集しているのに、その告知がわかりづらいこともよくあります。ですから、まずは一度、自治体のふるさと納税担当に問い合わせをするのがいいと思います。そこで、『商品を出したい』と伝えるのが第一歩でしょう。
ただし、参入障壁が低い分、競合にとっても参加しやすいという面もあります。他のものに埋もれないように商品の魅力を打ち出していかなければいけません」
魅力を打ち出すには、どのような方法があるのだろうか。
「ふるさと納税への利用者の感覚は、インターネット通販に非常に近いものがあります。インターネットで商品を選び、そのままクレジットカードで寄附を決済する方法が一般的だからです。ですから、サイトのなかでどれだけ存在感を出し、魅力的に見せられるかがポイントになります。商品写真の良し悪しや、PRの文章でしっかりと商品を説明することも大切です。
また、いかにオリジナリティを出せるかも重要です。食品がたくさん並ぶなかで、単に牛肉を単品で出すのではなく、別の肉とセットにしたり、タレなどと焼肉セットにするなど、商品の出し方を工夫することも大切になってきますね。加えて、オリジナリティある商品であっても、“どういう所が良いのか”を理由とともにしっかりPRすることも重要になります」
高額品が規制されたことで、特産品への注目度が高まるとみられるふるさと納税制度。食品事業者としては、参加を検討しない手はなさそうだ。
取材協力:株式会社サイネックス