総務省による通知の内容とは
「実は総務省からの通知はこれまでにも行われており、3年連続となります。今回の通知には、今までのものより細かい、複数の指摘が入っています。
まず、商品券などの換金できる返礼品は出してはいけないと定められました。次に、パソコンなどの電子機器やカメラ、ゴルフ用品など、高額で特に資産性の高いものも返礼品としてはいけないと通知されました。また、単に価格が高いものもダメという通知内容もありました」
通知では、さらに寄附額の何割までを返礼品とするかについても制限が設けられた。
「寄附額に対して、返礼品の額が3割を超えてはいけないと定められました。実は多くの自治体にとって、換金性のあるもの、高額なものというのは、あまり関係がありません。というのも、ほとんどの自治体は、地元の特産品を返礼品としており高額ではないからです。むしろ、金額の上限3割の設定に苦慮しています」
今回の総務省の通知によって、ふるさと納税の盛り上がりに歯止めがかかったという見方もあるが、塩野氏はこう分析する。
「寄附をする側としては、寄附額のうち2,000円を除く額が控除されることや返礼品がもらえることには変わりはありません。ふるさと納税に対する注目度は、高いまま続くでしょう」
では、今後の返礼品をめぐる状況はどのようになっていくのだろうか。
「自治体としては、寄附額の3割のなかでどれだけ魅力的な返礼品を用意できるかが重要になってきます。ですから、これまで以上に返礼品を提供する事業者の募集には力を入れていくと思われます。また総務省としても、地場産品の提供については特に制限していませんので、特産品への注目度は、今後さらに高まるでしょう」
特産品を扱う事業者にはチャンスも
事業者にとって、ふるさと納税に参画することにはどのようなメリットがあるのだろうか。
「まず、大きなメリットとしては、寄附をする人、買い手が注目している市場に参入できるということ。食品メーカーが今から自社でECサイトをオープンしても、認知度を上げるのにはノウハウと、相当な労力が必要です。その点、ふるさと納税は制度自体への注目が高く、複数のふるさと納税専門のサイトがあります。そこに商品を掲載してもらえるため、自分たちで認知度をアップさせる必要はありません」
また、返礼品を発送する際に、自社商品のパンフレットを入れることを認めている自治体が多く、気に入った方がリピートで購入してくれたり、おすすめ商品として知り合いに広めてくれる可能性もあるという。