知っておくべきスキレットのメンテナンス
鋳鉄製の素材は、一般的なフライパンに比べてメンテナンスが大変そうなイメージも抱いてしまうが、そのあたりはどうなのか。
「市販されているもののほとんどがシーズニング(油で表面をコーティングし、サビ止めすること)済みです。使用前は水洗いしてから空焼きしてください。空の状態で強火にかけ、煙が出るまで熱するんです。使用後もシーズニングが必要なので、水気を拭き取って火にかけ、食用油を塗ります。錆びてしまっても、水でサッと洗い流して火にかけて油を塗れば問題なく使えます」
ただし、これだけはやってはいけないという扱う上でのNGポイントも。
「一番いけないのは、熱々のスキレットを水につけること。間違いなく割れてしまいますので、ある程度冷ましてからぬるま湯で洗うようにしてください。また、洗う際は、どれだけ油が気になっても洗剤を使わないこと。シーズニングが洗剤によって剥げてしまうので。金タワシでゴシゴシやるのもNGですね。ぬるま湯と亀の子タワシで洗うだけで十分です」
洗剤が使えないといっても、食材の残り香などは使う前の空焼きでしっかり焼き切ってしまうので心配は不要だ。岸田さんの経験上、ニンニク料理の後にお菓子を作っても大丈夫だったという。
SNSへ投稿されやすいスキレットメニューの盛り付け
スキレットの取扱いは分かった。では、飲食店のメニューとしてSNSに投稿されるには、どのような点を抑えるべきなのか。岸田さんによると、スキレットの真っ黒で無骨な見た目が活きる、差し色食材がポイントになるようだ。
「ハンバーグやステーキ、餃子などは、差し色食材としてカラフルなサラダの付け合わせが有効です。スキレットに乗せきれない場合は別盛りでもかまいません。スイーツメニューでは、特にカラフルなフルーツがいいですね」
また、最近の流行りである真俯瞰撮影にスキレットはぴったりだとも。
「特に取っ手があるスキレットは、真上からの撮影に適しています。今の時代はスマホで様々な角度から撮影してお客様に見られるようになりました。盛り付けは食べる人の目線でするのが普通ですが、真上からでもおいしそうに見えるのがいいですね」
メニューによって、サイズや形を使い分ける
日本にスキレットを浸透させたニトリの商品は6.5インチ。しかし飲食店で提供するメニューとなると、使い勝手の良いサイズは一般の家庭料理とは違ってくる。そこで、選ぶ際のポイントなどを聞いてみた。
「スキレットを料理提供用の器として使うだけの店舗も多いと思いますが、おいしく調理できる能力を活用しないともったいないです。アヒージョなど小さいものなら、5インチ程度がおすすめです。食材とオイルのバランスが良くておいしく仕上がりますよ。その他のサイズでは、8~9インチくらいのものをオススメします」
9インチといえば約23センチ。インスタグラムなどに投稿されているものに比べると、随分と大きく感じてしまう。それでも写真映えするのだろうか。
「例えば、ハンバーグやステーキ。5~6インチではハンバーグ1個で一杯になって、付け合せが乗りません。色目を良くする付け合せがないとお肉も美味しそうに見えないし、写真映えもしません。餃子でも、5インチだと5個ぐらいしか乗りませんから量感も出ません」
さらに大きなサイズで、ボリューム感を出した大皿料理として提供するという手もある。
「そのまま大皿料理として出すのであれば、10インチ程度をオススメします。このサイズになるとハンドルの反対側に取っ手が付いているものがあり、両手で持てるから楽です。野菜とお肉のグリルなどは大きいサイズで作ると見た目もよくなるので、お店のメニューにも向いていると思います」