食中毒対策は、徹底した衛生管理に尽きる
外食産業のリスクと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか? 反射的に「食中毒」を連想した方も多いのではないでしょうか。厚生労働省の調べによると、 平成24年の全国の食中毒患者は26,699人で死者11人、平成25年は患者が20,802人で死者1人となっています。これには家庭での食事が原因で 発生した分も含まれていますが、毎年相当な数に達していることがわかります。
食中毒の原因として、細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などがあり、その予防には調理担当者の手洗い・手指の消毒を中心とした徹底した衛生管理 に尽きるといえるでしょう。厚生労働省からは『大量調理施設衛生管理マニュアル』が出され、同省のホームページで確認できます。これに沿って一度お店の衛 生管理を再確認してみてはどうでしょう。
大きなダメージにつながる調達リスク
外食産業のリスクとして近年特に重みを増してきたのが、調達に伴うリスクです。
特に中国から期限切れ肉を調達したことによって批判を浴び、顧客離れを招いてしまった事件は、大きなインパクトを残しました。「中国製イコール危険」というイメージが一般的に植え付けられてしまったことは、外食産業全体にとって大きなダメージとなったといえるでしょう。
ただ、一方でコストの安さや品切れの懸念から、どうしても中国調達をやめられないというケースも多くあります。
また、悪意を持って行われる食材の偽装に巻き込まれるというリスクとも無縁ではありません。産地の偽装などは、ごく身近なものと認識してもいいでしょう。
こうしたリスクを回避するには、まず信用できる調達パートナーを見つけることが最も重要です。また、品目・数量・産地など仕入の情報をできる限り詳しく記録しておくことも、大切でしょう。この点でIT化は非常に有効な手段です。
ネットのリスクにも十分な注意を
さて、もう一つの新しいリスクがSNSリスク。いわゆる「バイトテロ」と呼ばれるもので、一時、大きな話題となりました。
アルバイト店員が(悪気の有無は別として)、調理場でふざけたり、食材を乱暴に扱ったりといった写真をツイッターなどにアップし、いわゆる“炎上”するというケースです。
ネット上の口コミの破壊力は非常に大きく、中にはこれがきっかけで閉店に追い込まれたケースもありました。
防止するにはアルバイトの良心に頼るしかなく、それではいささか心許ないのも事実です。やはりアルバイトとのコミュニケーションを深め、店舗に対するロイヤリティ、仕事に対するモチベーションを上げていくよう、指導することが重要でしょう。
なお、「バイトテロ」ではなくて、オーナーや責任者がツイッターで何気なく漏らした一言が“炎上”につながるケースもあります。ネットのマイナスの側面も理解し、安易な投稿は慎むようにしたいものです。