基本は総額表示だが、税抜表示も可能
4月1日から消費税率が5%から8%に引き上げられました。食材やメニューの価格表示は、商品の本体価格に消費税分を含めた「総額表示」が義務づけられています。
しかし昨年10月に施行された「消費税転嫁対策特別措置法」によって「税抜価格表示」も認められようになったため、現在大きく分けて二つの価格表示が混在しています。店頭やチラシ、ウェブではすでに食材やメニューの表示は更新されていますが、措置法で禁止された価格表示もたまに見受けられます。違法な宣伝広告を行なった事業者は、政府機関による、指導・助言、勧告・公表などの取り締まりが行われます。
事業者にとって違反行為が公表されれば、企業イメージは一気に失墜するので細心の注意が必要。そこで、法律で定められた「禁止される価格表示」と「問題のない価格表示」を紹介しましょう。
消費税と関連づけた価格表示は禁止
消費税転嫁対策特別措置法で禁止されている価格表示にあたるかどうかは、事業者が行なう宣伝や広告の表示全体から判断されます。たとえば、チラシやウェブで「3%値引き」や「3%OFF」と記載するのは問題ありません。「消費税」という文言を含まない表現は認められているのです。
しかし、その画面やチラシに小さく「消費税率がアップしましたが、当店は引き上げ分の値引きでお客様の生活を応援します」と記載すれば、消費税分を値引きする表示と見なされ、禁止されています。具体例を参考にして正しい価格表示を心がけてください。
総額表示の例
10,800円(税込)
10,800円(税抜価格10,000円)
10,800円(うち消費税額800円)
↓ ↓ ↓
店内メニュー、ウェブ、チラシ、看板などにおいて「税抜価格」のみで表示する場合、価格の値ごろ感を出すために次のような表示もできます。
特例その1:外税表示
10,000円(税抜)
10,000円+税
10,000円+800円(税)
特例その2:税抜き価格の強調表示
10,000円(税込10,800円)
※特例措置の適応期限は2017年3月31日まで
禁止される3つの表示群
1.取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
例)
「消費税還元」
「消費税は転嫁しません」
「消費税は当店が負担しています」など
2.取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全額または一部を対価の額から減じる旨の表示で、消費税との関連を明示しているもの
例)
「消費税率上昇分を値引きします」
「消費税の引き上げ分をレジにて値引きします」
「消費税8%還元セール」
3.消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示
例)
「消費税相当分の商品券をプレゼントします」
「消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します」
「消費税相当分をあとでキャッシュバックします」
禁止されない表示
1.消費税との関連がはっきりしないもの
例)
「春の生活応援セール」、「新生活応援セール」
2.たまたま消費税率の引き上げ幅と一致するだけのもの
例)
「3%値下げ」、「3%還元」、「3%ポイント還元」
3.たまたま消費税率と一致するだけのもの
例)
「8%還元セール」、「8%ポイント進呈」