調査結果サマリ
- インボイス制度に「対応できている」は約6割
- インボイス制度により、発行で2割以上、受け取りで3割以上が「処理時間が増えた」
- インボイス制度の開始後、一番苦労していることは「発行する適格請求書の記載要件チェック」
- 紙でのやり取りが多い業界別で見ると、フード業界は「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」、建設業界は「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」に苦心
- インボイス制度開始後、電子でやり取りする請求書は発行で5割以上、受け取りでは約8割が「増えた」
調査結果
インボイス制度に「対応できている」は約6割
2023年10月に開始されたインボイス制度への対応状況を聞いたところ(n=6,915)、「対応できている」と回答した割合は60.5%でした。「概ね対応できている」との回答と合わせると9割を超え、多くの企業で対応が進んだことが分かりました。
インボイス制度により、発行で2割以上、受け取りで3割以上が「処理時間が増えた」
インボイス制度の開始後における請求書関連業務の処理時間の変化について聞いてみると、「処理時間が増えた」と回答したのは、発行で26.2%(n=3,554)、受け取りで32.3%(n=5,370)となり、特に受領業務の処理に時間がかかっていることが分かりました。
具体的な業務を聞いたところ、発行側では「請求書の紙への印刷や、データのアップロード」、受け取り側では「発行事業者登録番号の登録作業や、データの紙や指定された場所への保存作業」等によって業務負担が増えていることが明らかになりました。
一方で、「データで届くので到着が早まった」「Web上の請求書データを取りに行くだけなので業務が楽になった」等、業務のデジタル化によるメリットを享受する声も寄せられました。
インボイス制度の開始後、一番苦労していることは「発行する適格請求書の記載要件チェック」
インボイス制度の開始後、一番苦労していることを聞いたところ(n=6,915)、一番多かったのは「発行する適格請求書の記載要件チェック」で13.6%でした。次いで、「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」が13.3%、「不備があった場合の修正対応」が13.0%と続きました。
紙でのやり取りが多い業界別で見ると、フード業界は「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」、建設業界は「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」に苦心
紙でのやり取りが多いフード業界と建設業界に絞って、一番苦労していることを聞いたところ(フード業n=260、建設業n=1,352)、フード業界では「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」が21.2%、建設業では「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」が17.5%と割合が高くなりました。この結果から、各業界での商習慣等によって、インボイス制度に関して手間がかかるポイントが異なることが分かりました。
インボイス制度開始後、電子でやり取りする請求書は発行で5割以上、受け取りでは約8割が「増えた」
インボイス制度開始後、電子で発行(n=3,554)・受け取る(n=5,370)請求書が増えたか聞いたところ、「増えた」または「少し増えた」と回答した割合は発行側が51.9%、受け取り側が79.2%でした。発行・受け取り、いずれも2023年12月に調査した結果と比較すると増加しており、インボイス制度の開始によって、確実に請求業務のデジタル化が進んでいるといえます。
まとめ
インボイス制度が導入されて1年。今回の調査結果から、全体としてインボイス制度への対応の結果として一定のデジタル化は進みつつも、まだまだ紙の請求書が残っており、請求書の発行やシステムに取り込む際も「紙に出力して」チェック・回覧しているのが現状で、それによって担当者の苦労が増えていることも明らかになりました。
こうした状況を打破するには、電子請求書サービス等のITツールの上手な活用が大切です。例えば、請求書をPDFにしてメールやクラウドで送ったり、紙で受け取った請求書をAI-OCR等でデータ化し処理を行ったりするのではなく、請求書等のデータ入力から送信、受け取りから処理、保管までをデジタルデータで行う「Data to Data」方式が有効です。「Data to Data型」へのシフト後は、煩雑な作業や保管時の手間も不要になるため、業務効率化の実現が期待できます。
一方で、事業運営に関わるコストマネジメント(コスト管理)の観点では、電子請求書システムの導入によって毎月かかる費用の対策も必要です。当社では、今回のインボイス制度に関する調査とは別に、電子請求書システムを有料でご利用中の方限定で、自社で使用している電子請求書システムの月額利用料金に関するインターネット調査を実施しました(n=331)。
「Data to Data型」、「PDF型」、「AI-OCR型」で比較を行い、「Data to Data型」を1とした相対的な値で比べた結果、「PDF型」が1.4、「AI-OCR型」が2.4となり、「Data to Data型」の月額利用料金が最も低いことがわかりました。
社会全体でDXが進む中、業務効率化・コストマネジメントの2つの観点からも、すべての工程がデジタルデータで完了する「Data to Data型」へのシフトは有効であるといえるでしょう。
当社は、今後も「BtoBプラットフォーム 請求書」の提供を通じて請求業務のデジタル化やコスト削減、ペーパーレス化、バックオフィス業務の効率化をサポートし、社会全体のDX実現に貢献してまいります。
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