ReLaboの挑戦とグローバル需要の獲得
青森駅ビルに展開する『ReLabo(リラボ)』は、JR東日本様との連携によって誕生した次世代型のウェルネスホテルです。このプロジェクトにおいて、私はビジネスホテルという選択肢を明確に否定しました。周辺の競合が7,000円前後の価格帯で競う中、あえてスパ、クリニック、ヨガ、カウンセリングを統合した形態を選んだのです。
『Re(自分を取り戻す)+Labo(研究)』というコンセプトは世界的な注目を集め、現在では米国やイスラエルなど46カ国から顧客が訪れています。実に宿泊客の70%を海外勢が占めるまでになりました。
館内のレストランではガストロノミーを追求し、最新機器を用いて青森産の食材の旨味を凝縮させた料理を提供しています。コース価格は1万6,800円と、市内の平均を大きく上回りますが、世界中の旅行者から高い評価を得ています。地域の資源を『ウェルネス』という文脈で編集し直せば、グローバルに通じるビジネスへと昇華できるのです。
採用難を突破するウェルネス・インクルーシブ
飲食・宿泊業界の最大の悩みである採用についても、ウェルネス戦略は劇的な効果を発揮しています。現在、ReLaboでは約100名の従業員を、ほぼ直接採用またはリファラル(紹介)のみで確保しています。
通常、紹介会社を利用すれば年収の20~40%の手数料が発生しますが、私たちはこのコストをゼロに抑え、その分を従業員の給与アップや環境改善へと還元しています。さらに、従業員自身が施設内のヨガや温泉を無料で利用できる『ウェルネス・インクルーシブ』という仕組みを導入しました。
従業員が心身ともに健康で、自社のサービスに誇りを持てる環境が整えば、自ずと良い人材が集まるという好循環が生まれます。特に20代を中心とした次世代は、自分らしい働き方や環境を重視します。清掃業務などを内製化することで、コストを抑えながら高いサービス品質を維持することも可能になりました。
ウェルネス戦略とは、単なる福利厚生や流行のメニュー作りではありません。人口減少という課題に対し、いかに顧客単価を高め、採用コストを抑えて持続可能な組織を作るかという、極めて合理的なビジネスロジックです。
私自身の実践をもとにした取り組みが示すように、ウェルネスというフィルターを通して自社のリソースを見つめ直せば、そこにはまだ見ぬ高い付加価値が眠っています。青森での挑戦が、全国の地方都市で苦闘する宿泊事業者にとって、次世代経営のご参考になれば幸いです。









