人材に選ばれない危機を乗り越える!採用・定着率向上のための意識改革と戦略転換~い印グループ・萩原会長

セミナー・イベントレポート2025.11.25

人材に選ばれない危機を乗り越える!採用・定着率向上のための意識改革と戦略転換~い印グループ・萩原会長

2025.11.25

人材に選ばれない危機を乗り越える!採用・定着率向上のための意識改革と戦略転換~い印グループ・萩原会長

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茨城で青果卸をするい印グループ・萩原会長と農経新聞社・宮澤社長が青果卸業界の構造的課題と改革の方向性を語った。人手不足が深刻化する中、経営者の意識改革と現場の業務標準化とが急務となっている。

目次

人材確保の課題と採用方針の転換

【Q】卸業界全体で人手不足が続く中、地方はさらに深刻です。

い印グループ 会長 萩原 節夫 氏
い印グループ
会長 萩原 節夫 氏

い印グループ・萩原会長:当社は茨城県石岡市を拠点に、地場の青果を中心に取り扱う地方卸売市場の石岡中央青果、飲食店や病院などに青果を配送するアイ・エフ・シー、全国から仕入れた青果物を量販店に配送するあづま綜合青果、青果物の集荷やパッケージ加工のほか資材販売をするドリーム・デリバリー、そして各社の総務・経理部門を担うい印の5社で事業を構成しています。

卸業界では、人手不足は本当に深刻です。当社でも人を選ぶ余裕がなく、人員の確保だけでたいへんな状況です。その分、業務を効率よく、きちんと回す仕組みづくりをしなければ、この仕事を担う人がさらに減り、事業の継続が難しくなります。当社も年齢や性別を問わない採用をしていますが、中途応募のみで新卒応募はありません。

農経新聞社・宮澤社長:以前の卸業界では、大手の仲卸の中には経験者は他社の色がついているということで中途採用を避けていたこともありました。しかし、数年前から方針を転換し中途採用も積極化しています。また、業界最大手の卸売企業では、以前は新卒30人を採用し、とてもきびしい教育で3年後に半数程度まで絞るという方針を取っていました。これも、現在は定着率向上のため中途と新卒を半々にし、さらに接し方や評価制度も転換しています。

なんとか採用ができている企業は、比較的大手に多い状況です。一方、地方都市では、60代の次が30代というように年齢層に空白がある事業者も存在します。中小の事業者ほど採用に余裕がないのが現状です。

青果卸業界の構造的問題と市場機能の再定義

【Q】卸売市場が抱える課題は何でしょうか?

い印グループ・萩原会長:土浦に公設卸売市場ができた際、土地や建物は税金で用意され、毎年補助や助成が出ています。一方、民営市場には支援がありません。市場法で手数料率をはじめ様々な規制を同様に受ける中、この制度は構造的な問題があります。

その公設市場も現在は経営が困難になり、集約化が進んでいます。茨城県には中央市場がありませんが、県内で中央市場的な役割を担うような流通機能・体制を考える必要があります。これは1社だけでなく業界全体の取り組みです。

株式会社農経新聞社 代表取締役社長 宮澤 信一 氏
株式会社農経新聞社
代表取締役社長 宮澤 信一 氏

農経新聞社・宮澤社長:卸売市場と青果流通業者の役割は今後も変わりません。野菜や果物を国民に届ける機能は必要です。ただし、それを継続するには、事業者の経営体質改善が必須でしょう。同様に、大規模産地や大口顧客への特別な便宜やバックマージンを無理に続けることを見直さなければ、中小の経営体質は改善できません。実際に、大手チェーンのスーパーから納入量の50%以下の返品を受け入れるという取引条件を受け入れて、倒産した企業があります。

ひとつの手段として、経営統合による規模の拡大があります。事業者数は昔より減少したものの、まだ多い状況です。他社との統合に抵抗感を持つ事業者も多いですが、影響力を持つには検討してよいでしょう。

また、現場の業務体制も見直しが必要でしょう。例えば、取引を朝に限定する必要があるのかという点です。韓国で最も大きい可楽洞市場では24時間取引を品目別に実施しており、夕方から始まる取引もあります。この市場では、朝早く働く人よりも、夕方や午後から働く人が多いという状況が見られます。

さらに、多品目を取り扱う必要があるのかという点も検討課題です。野菜専門、果物専門、もっというとみかん専門という事業者があってもよいのではないでしょうか。経営を継続するには、無理なことは手を引く、事業を縮小する判断も必要です。

【Q】現状の原材料高騰問題には、どう対応されていますか?

い印グループ・萩原会長:本来、市場経由率が80%、90%と高ければ、極端な価格変動は抑えられると考えています。しかし、現状では農家さんとの直接契約などで、市場経由率が低下し市場に回る商品が少ない状態が続いているため、この残った市場機能の中で価格変動はますます激しくなるのです。

契約栽培が市場外で拡大すると、例えばキャベツの生産量が100の予定で、そのうち50数%以上が契約で抑えられている場合、天候不順で全体生産量が2割減となると、市場にはわずかな量しか回りません。その結果、市場では2割減の相場ではなく4割減の相場になり、価格変動が拡大します。このように、契約栽培が広がれば広がるほど、市場での価格変動は激しくなるのです。

市場が農家さんと契約栽培を結んで、数量と価格を決めた上で量販店や加工業者に供給すれば価格安定化につながりますが、実現には課題が多いでしょう。

農経新聞社・宮澤社長:野菜や果物の価格は一昔前より2割~3割上昇しています。特に果物は1個350円程度が標準的な価格帯となり、150円や200円を切ると安いと感じる状況です。生産者にとっては良いですが、この価格で消費が継続するかは疑問であり、心配になります。

現在は他に選択肢がないため消費者も購入していますが、適正な価格水準に近づける流通体制を生産と消費の双方で検討しなければ、特に果物の消費は減少する懸念があります。

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