消費者への訴求は「フレッシュ」「ヘルシー」「低カロリー」
米国は人口3.1億人に対して肥満人口が1.1億人(36.5%)と、肥満が社会問題にもなっています。このため大手飲食店を回るとフレッシュ、ヘルシーという健康志向の表示が多用されていました。中でもサンドイッチを主商品とする「サブウェイ」やメキシカン料理の「チポトレ・メキシカングリル」などが、野菜豊富なファーストフード店として人気を集めていました。
また“グルテンフリー”や“500キロカロリー以下”など、低カロリー志向のメニュープログラムを設けている飲食店も多くありました。カロリー制限のメニュー開発は、キッズ向けはもちろん高齢者向けに訴求している店舗もあります。カロリーの表示はファーストフード、ファミレス、居酒屋などの業態やチェーン店で実施されており、広く浸透している印象を受けました。
個人的に気に入ったのが「ジャンバ・ジュース」というスムージーのチェーン店です。フレッシュ・ヘルシーをコンセプトとしたメニューラインアップや店舗づくりで韓国やフィリピン、カナダに進出しています。日本にもあれば流行るのではないかと思うお店でした。
栄養成分情報の冊子を設置・閲覧可能に
大手飲食チェーンでは栄養成分を掲載した冊子を店内に設置し、客が求めれば閲覧できるようになっています。「Do you have a book of nutrition facts?(栄養成分表はありますか?)」と尋ねると、多くの飲食店で冊子を提供していただけました。またWEBのサービスとしてメニューやトッピングの組み合わせによる栄養成分を自動計算するサービスを提供している企業もあります。
■米国の大手飲食店がWEBサイトで提供している情報(2013年12月時点)
順位 | 飲食店 | 売上高 (百万ドル) | キッズ メニュー | 栄養成分 | アレルギー | 原材料 | カロリー 計算 |
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1 | McDonald's(マクドナルド) | 35,592 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
2 | Subway(サブウェイ) | 12,123 | ─ | ○ | ○ | ○ | ○ |
3 | Starbucks(スターバックス) | 9,276 | ○ | ○ | △ フードのみ | ─ | ─ |
4 | Burger King(バーガーキング) | 8,585 | ○ | ○ | ○ | ─ | ○ |
5 | Wendy's(ウェンディーズ) | 8,215 | ○ | ○ | ○ | ─ | ○ |
6 | Taco Bell(タコベル) | 7,500 | ─ | ○ | ○ | ○ | ─ |
7 | Dunkin' Donuts(ダンキンドーナツ) | 6,264 | ─ | ○ | ○ | ○ | ○ |
8 | Pizza Hut(ピザハット) | 5,700 | ─ | ○ | ○ | ─ | ─ |
9 | Chick-fil-A(チックフィレイ) | 4,560 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
10 | Applebee's Neighborhood Grill & Bar (アップルビーズ) | 4,503 | ○ | ○ | ○ | ─ | ─ |
日本より圧倒的に多い情報量
米国の栄養成分表示の施策は、日本より進んでいるように感じられました。多様な人種が集まるので、食へのニーズも多岐にわたるためと考えられます。日本の飲食店では店舗のスタッフがお客様におすすめのメニューを提案することがよくありますが、米国の飲食店はお客様自身で適したものを選択させるという考えだと伺えます。
日本では最近公布された食品表示法により、加工食品に栄養表示を義務付けられることが決定しています。米国のような幅広い情報開示の施策は、将来的に日本の外食産業にも適用されるであろうと強く感じました。