「第2回 海の産直サミット」パルシステム水産産直産地が集結

掲載日: 2026年03月11日 /提供:パルシステム生活協同組合連合会

逆風をチャンスに、魚食文化を未来へつなぐ

パルシステム生活協同組合連合会(本部:新宿区大久保、理事長: 渋澤温之)は2月28日(土)、東京・新宿区の本部事務所で、全国から水産産直産地・メーカーらを招き「第2回 海の産直サミット」を開催し、会場とオンラインを合わせて約300人が参加しました。


水産産直産地・メーカー(5団体)からの報告とパネルディスカッションが行われました


試食交流会では生産者・メーカーと会話しながら海の幸を味わいました

冒頭では、パルシステム連合会専務理事の辻正一があいさつし「積極的な消費、資源回復の取り組みなど持続可能な漁業をめざす仲間同士、思いを確認する場にしましょう」、パルシステム連合会産直委員会委員長の古家滋子(パルシステム山梨長野理事長)は、気候変動の影響や食卓の魚離れなどに触れ「資源保全、魚食文化の承継など、未来へ続く水産業への展望を分かち合う機会にしましょう」と呼びかけました。

続けて、策定以来16年ぶりに改定された「水産方針」について、参加者へポイントを解説しました。改定によって、水産業をめぐる環境変化に応じ、水産資源を有効活用した消費や資源回復による持続可能な漁業の維持発展を目指します。
全国から集まる危機感と挑戦
第1部は、全国5つの産直提携産地が報告しました。
恩納村漁業協同組合(沖縄県恩納村、金城治樹代表理事組合長)は、 仲村英樹参事がもずく養殖に必要なサンゴの保全活動を中心に報告しました。2024年夏には、歴史的な高水温から「サンゴの大白化」が発生し約8割が死滅する甚大な被害を受けました。漁協では生き残ったサンゴの保護をしながら気候変動への対策を研究しています。仲村さんは「もずくを食べてくれることで地域がつながり、豊かな海になっていきます」と強い決意を語りました。

北海道漁業協同組合連合会(北海道札幌市、阿部国雄代表理事会長)からは山野寺健一参事が、サケやサンマなど主力魚種の深刻な不漁について報告しました。北海道では30年以上にわたり、豊かな海づくりを目的とした「森づくり(植樹)」や、漁網のアップサイクルなどの活動を多角的に進めています。植樹は「100年かけて100年前の自然の浜へ」を合言葉に120万本が植えられました。山野寺さんは「水産物の安定供給を進めるためにも環境保全と漁業の両立は不可欠です」と語りました。

邑久町(おくちょう)漁業協同組合(岡山県瀬戸内市、松本正樹組合長)は、松本組合長が2025年秋のカキ不漁と環境に配慮した「MSC認証」の取得について紹介しました。カキ不漁は、高水温と降水量不足による海水塩分濃度が高まったことが原因とみられ、なかには9割におよぶ大量死の被害がありました。「いかだを出すタイミングや場所など、いろんな工夫をしています。生産者を守りながらいいカキを作っていけるよう努力するので、力を貸してください」と呼びかけました。

試食交流会では水産産直産自慢の商品が勢ぞろい

兵庫県漁業協同組合連合会(兵庫県明石市、田沼政男代表理事会長)は、渡部恭広常務理事が豊かな海の取り組みについて報告しました。瀬戸内海は「海がきれいになりすぎた」ことで窒素などの栄養が不足し、イカナゴなどの深刻な不漁が続いています。そのため海底の泥をかき混ぜて栄養分を循環させる「海底耕うん」や発酵鶏ふんの施肥など、漁場環境に合わせ対策しています。発酵鶏ふん施肥には「研究者や行政とも連携して4年間かけて基準を作成し、丁寧に説明したことで反対の声は寄せられませんでした」と述べました。

石川県漁業協同組合(石川県金沢市、中田亨代表理事組合長)は、島本卓参事が能登半島地震被害からの復興について報告しました。県内では81の漁港のうち72箇所で被害があり、地盤隆起などで漁ができない状態から、少しずつ再開を進めています。「単なる復旧では時間も費用も足りません。将来にわたり安心して漁業を継続できるよう『選択と集中』による再編整備で水産業の創造的復興に取り組んでいきます」と決意を語りました。

第2部では漁業者と消費者によるパネルディスカッション

環境変化は漁獲にも影響
パネルディスカッションでは「逆風はチャンスか。私たちができること」をテーマに、産地、加工メーカー、組合員代表から8人が討論しました。

生産現場からは、地球温暖化による深刻な影響が次々と報告されました。 野付漁業協同組合(北海道別海町、楠浩代表理事組合長)の内藤智明専務理事は「かつて北海道全体で18万tあった秋サケの漁獲量が、昨年は1.4万tまで激減しました」と話し、ホタテなども海外需要や円安の影響を受け価格が変動している現状を語りました。

千葉県漁業協同組合連合会(千葉県千葉市、坂本雅信代表理事会長)の宮地直一管理役も「海水温が下がらず、冬場におとなしくなるはずのクロダイがアサリを食べてしまう食害が起きています」と述べたほか、イカやサンマ、サバなどの大衆魚も漁獲量が減少している状況を説明しました。

もずくなどの加工を手掛ける(株)井ゲタ竹内(鳥取県境港市、竹内隆一郎代表取締役)の竹内周常務は、サンゴの減少など海の環境悪化に触れつつ「物価は上がっているのに、水産物の生産者への買取単価は上がらない構造的な問題がある」と生産現場の厳しさを代弁しました。
簡単・便利を求める食卓
消費者の立場からはパルシステム連合会商品委員会の高橋由美子委員長(パルシステム千葉理事長)が「物価高で食費が削られ、魚を食べる頻度が下がっています。秋にサンマを焼く匂いがしなくなるなど、季節感が薄れました」と食卓の状況を報告。カタログ制作を担当するパルシステム職員は「丸ごとの魚より、切り身や骨取りの魚などが支持されています。レシピの提案も喜ばれます」と調理の手間を省きたいニーズが紹介されました。

これに対し竹内さんは「『価格』でなく、商品を使って生活が少し豊かになるという『価値』を生産者と消費者が感じられれば」と期待しました。大隅地区養まん漁業協同組合(鹿児島県鹿屋市、大和治仁代表理事組合長) の奥園久人販売部部長は、ウナギ資源を保全するため10年前から川に「石倉カゴ」を設置している活動を紹介し「一緒に守りながら食べるという繋がりがありがたいです」と述べました。

宮地さんは「工場見学に来た子どもたちは本当は魚が好きでした。これからは未利用魚なども含めて、食べて応援してもらえたら」、富栄海運(有)(長崎県長崎市、竹内隆治代表取締役社長)唐津営業所シーボーン昭徳の西木孝明部長も「魚には当たり年も外れ年もあります。正直に状況を伝え、食べ方を発信し、魚食普及につなげたいです」と続けました。

閉会にあたりパルシステム連合会環境委員会の西内良子委員長(パルシステム埼玉理事長)は「商品を選ぶことが、環境の保全や産地の皆さんを応援することに繋がっています。みなさんの思いや商品の価値をしっかり理解して、一緒に盛り上げていきましょう」と締めくくりました。

パルシステムではこれからも、利用者と産地をつなぎ、豊かな海とおいしい魚食文化を次世代へ引き継ぐための活動を進めていきます。



【関連リンク】
- サステナブルな水産
- 海の恵みを守る
- 水産方針
- お魚食べよう

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