
写真:移動式レンダリング装置全景(2025年2月5日 株式会社JET 撮影)
1. 背景|迅速・安全な処理が課題 特定家畜伝染病発生時の畜体処理
特定家畜伝染病発生時に殺処分された畜体は、原則として埋却または焼却処理が規定されていますが、土地の確保、近隣住民の理解、地下水汚染、悪臭・害虫発生、さらには死亡畜体の運搬中の感染拡大リスクなど多くの課題を抱えています。それらの課題解決に向けて、より迅速で安全な処理を担うのが「移動式レンダリング装置」です。設置場所へ出動し、その場で加熱処理を行い、畜体の体積を減少します。移動式レンダリング装置は、全国の動物検疫所に4台配備されていますが、感染拡大や連続発生などに備え、新たに一台追加配備されることになりました。
2. 試験結果|2時間でスラリー化、加熱処理性能を確認
今回の確認試験では、装置の組立て、畜体の投入、加熱、取り出し、分注、装置の洗浄までの一連の工程を行いました。用意した牛の畜体は10トン。切断せずにまるごと一頭ずつ装置に連投し、2時間でスラリー化。畜体投入後の本体装置(ERS)の缶体内は80~99度に到達し、動物検疫所が定める感染性の除去機能、処理能力、安全性など、すべての要求条件を十分に満たしていることが確認されました。なお、試験の様子は、下記URLより動画をご視聴いただけます。

https://youtu.be/A9eN1sWQpMs
動画(5分20秒):畜体(牛)の処理(2025年2月)
3. 技術|JETのERSの技術が「移動式レンダリング装置」として貢献
JETは急速発酵乾燥資源化装置「ERS(Environmental Recycling System)」を開発したプラントベンチャーです。特許技術で微生物(主に装置設置場所付近の土着菌)を活性化させた「発酵・乾燥」により、悪臭や排水を出さずに高速で安全に処理を行い、処理後はバイオマス燃料や100%有機肥料などの資源として再利用することが可能です。これまでも民間の畜産農場に導入し、家畜の糞尿や卵、卵殻などから燃料、肥料、堆肥、敷料、飼料を生成する「循環型資源化システム」の構築に尽力してきました。今回の確認試験でバッチ式での攪拌で80度~99度まで加熱できることが確認され、この高い加熱処理能力により、「ERS」が移動式レンダリング装置として活用できることが証明されました。今回納品したJETの移動式レンダリング装置は、特定家畜伝染病が発生した場合、国からの要請により設置場所に出動し、畜体を加熱処理します。
4. 今後の展開
ERSには「発酵・乾燥」機能があり、その乾燥度合いを機械的にコントロールできることが特長です。今回納品した移動式レンダリング装置においては付属機能として「発酵・乾燥」機能が位置づけられていますが、約4時間の発酵・乾燥処理を行い、含水率28.9%の生成物が得られたことも確認されました。水分の低減は、生成物の減容化・減量化に直結します。また、発酵させることで生成物の臭い問題を軽減することも期待できます。ERS独自の発酵・乾燥技術により「埋めやすい・燃やしやすい・運びやすい」を実現することで、最終処理場への運搬作業の軽減、焼却炉の負担軽減など、多角的な貢献ができるとJETは考えています。そしてERS技術を通して、牛・豚、家きんの特定家畜伝染病処理の迅速化、感染防止に向けて新しい選択肢を提案いたします。

5. 会社概要
会社名: 株式会社JET
所在地: 東京都千代田区一番町19 全国農業共済会館 4階
代表者: 片山 智之
設立: 平成25年8月
資本金: 50,000,000円
事業内容: 急速土着菌増殖乾燥システムERSに関する以下の事業
-開発・製造・販売・輸出入・管理
-適用・導入に関するコンサルティング
-原料の輸出入
Webサイト:https://jet-e.jp/