卸・メーカー2014.11.20

倉庫の無駄なスペースを削減すれば、出荷効率はあがる ~すぐできる物流改善 保管・出荷編

2014.11.20

吉川 国之(茨城乳配株式会社)画像が見つからない

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前回はすぐできる物流改善として輸配送についてお話いたしました。
今回は引き続きすぐできる物流改善の「保管・出荷編」をお話いたします。

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前回はすぐできる物流改善として輸配送についてお話いたしました。
今回は引き続きすぐできる物流改善の「保管・出荷編」をお話いたします。

目次

1.レイアウト・ロケーションの重要性

保管・出荷部門で即効性のあるコスト対策を考えた場合、スペースの効率化が真っ先に浮かびます。倉庫を坪借りするならば単純に狭いほうが安いですし、同じ広さならばより多くの業務を取り込むことがコストダウンに繋がります。また、大きすぎるスペースには無駄な人の移動や、不要な管理コストが発生してしまいます。

まずはレイアウトとロケーションの改善に目を向けてみましょう。
レイアウトとは、倉庫内の棚やラックの配置のことです。住宅で言うところの区画整理と考えていただければ良いと思います。そして、ロケーションとは、その区画の中のどこにどんな商品を配置するか、いわば物の住所を決める作業だと考えてください。

保管・出荷の改善ポイントは3つです。
1.作業スタッフの人数
2.歩く距離
3.時間
が大切になります。

基本的にこれらが少なければ少ないほどコストを削減でき、ミスやトラブルの発生も防ぐことができます。レイアウトやロケーションはその達成のためにとても重要なものなのです。例えば、頻繁にピッキングされる商品ほど手前に配置することや一筆書きのように作業スタッフが回れるように棚を配置できれば、スタッフの歩く時間と距離を短縮することができます。

特に食品の場合は、
・季節や気温で物量が左右されること
・商品ごとに繁忙期と閑散期が違うこと
・商品のリニューアルが頻繁なこと
・アイテム数がとても多いこと
・1日の納品先が多いこと

などの特徴があることから、頻繁にレイアウトやロケーションの見直しを行い、アイテムの整理や探すムダを探していくことで大きな効果が見込めるでしょう。また、保管エリアと仕分けエリアを区別することやフリースペースを時間帯ごとにレイアウト管理することも検討してみると良いと思います。

レイアウトに注意したいもうひとつの理由

倉庫というものは、占有する床面積と実際に運用できる床面積にどうしても違いが出てきます。通路や資材置き場、仮置きスペースなどを設置することで、導線管理から有効スペースは狭められてしまうからです。例えば、300坪の有効スペースが必要な場合、効率の悪いレイアウトによって有効スペースが60%しか確保できないと500坪の倉庫が必要になってしまいますが、レイアウトの効率が上がればもっと小さい倉庫で済み、空いたスペースを他の業務に活用できます。特に冷凍・冷蔵倉庫などは坪単価が高いため、この差はとても大きなものになります。

2 在庫管理の基本

在庫が倉庫内の無駄の90%を占めると言い切る物流関係者もいるくらい、在庫はコストに大きく反映します。在庫は資産であり武器でもありますが、過剰な在庫は無駄なスペース使用や管理でコストがかかり、キャッシュフローにも影響するため、管理には慎重さが求められます。

在庫管理の肝は棚卸です。棚卸は、帳簿上の在庫と実在庫が一致しない在庫差異を確認することが大きな目的ですが、不良在庫や不動在庫の発見もできるため、ロケーションの見直しにも効果を発揮します。ですから、棚卸の精度を上げることがコスト削減の近道になります。

例えば全商品を毎月末に棚卸している場合、出荷変動が大きい商品やいつも差異が発生してしまう商品に限って月に複数回の棚卸を行ってみるのも一つの手です。

変動が大きい商品ほどロスや間違いが大きいものです。こうすることで間違いやロスを早期に見つけることが可能になり、損出を最小限に抑え、全体の棚卸にかかる時間も削減できるようになります。また、繁忙期が過ぎて不動在庫化した商品が、センターの効率を落としている光景もよく見かけます。

差異の有無をチェックするだけではなく、権限のある職位の方が先頭に立って効率の悪い商品や不良在庫をその都度期限を決めて改善していくことがコスト改善への近道と言えるでしょう。

いかがでしたでしょうか。保管や出荷は、一度改善を加えるとそれに安心してしまいその後の効率の悪化になかなか気が付けません。商流も日々変化しているわけですから、保管や出荷についても絶えず変化していると考えて、短いスパンでのチェックを根気よく継続し小さな改善点を拾い出していく“クセ”付けをしていきましょう。

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