卸・メーカー2014.12.12

その運賃値上げ待った。今すぐ発注条件や支払い条件の見直しを ~すぐできる物流改善 取引条件編

2014.12.12

吉川 国之(茨城乳配株式会社)画像が見つからない

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前回は保管・出荷についての物流改善についてお話いたしました。今回はすぐできる物流改善として「取引条件」の改善についてお話いたします。
取引条件には、大きく2つの種類が存在します。

  • bnr_tanomu_300.png 売り手
  • bnr_aiocr_300.png(売り手)

前回は保管・出荷についての物流改善についてお話いたしました。今回はすぐできる物流改善として「取引条件」の改善についてお話いたします。
取引条件には、大きく2つの種類が存在します。

目次

1.荷主企業と納品先企業で交わされるもの

納品時間、納品方法、発注時間、発注ロッド、陳列の有無、検品方法、返品ルールなど。

2.荷主企業と物流企業で交わされるもの

経理面では、支払期日、支払方法、破損などの天引き方法。実務面では、納品方法、納品時間、検品の有無、陳列の有無、稼働日、などがあります。共通して言えるのは一度取引条件が設定されると変更されることは少なく、その見直しの少なさがコストダウンの足かせになるということです。今回は、取引条件を見直すことで物流の改善に繋がった例を2つご紹介します。

1.発注条件や納品条件を見直す

納品先企業は、荷主企業のお客様です。できる限り発注や納品の希望を叶えることはもちろん大切です。しかし、この発注や納品の条件を厳しくすればするほど、物流企業のコストや手間も膨れ上がってしまい結果的に荷主企業のコスト増につながってしまうのも事実です。

例えば発注時間。納品先の企業にとって、発注時間の締め切りは遅ければ遅いほど良いといえます。なぜなら余剰や売り切れが発生しないように、商品の売れ行きをギリギリまで見てから発注できるからです。一方で、発注締め切りと納品時間の間隔が狭くなればなるほど、物流企業のセンター内作業や配送業務が慌ただしくなります。

かつてはそうした納品先の希望にいかに応えられるかが重要視された時代もありましたが、現在では物流コストを横目で見ながら、納品先企業と荷主企業、双方の発注条件を検討する時代になってきています。また、発注条件の見直しの際には、物流企業の意見も取り入れることで、早い段階でより現実的な条件を導き出すことができると思います。

また、配送時の納品条件で見直しが必要なこともあります。配送業務というのは、1回の配送でなるべく大量の荷物を効率的に納品することでコストを削減しています。そのために短距離かつ短時間で効率よく回れるルートを決めて回るのですが、例えば納品可能な時間が納品先の営業時間内に限られてしまうと、非効率なルートでしか回れないということがあるのです。

この納品時間帯の指定は、主に外食企業や小売店舗が納品先の場合に採用されていることが多く、例えば営業時間内であってもお昼時などの繁忙時間帯を納品不可に設定されてしまったり、パート・アルバイトの時間に余裕がある時に立ち会い検品を依頼されたりということがあるようです。また、小売の店舗(コンビニやスーパーなど)であえて忙しい時間帯に納品依頼があり、納品時に陳列まで手伝うことになってしまったなどのケースもあるようです。

そして荷主のコストを考えると、日中の納品もよい条件とは言えません。例えば、夜間の納品であれば車や歩行者が少ない状態での配送が可能になり、配送が効率的になります。また駐車エリアも日中は駐車禁止であっても、夜間であれば対象時間外になっているところも多く、違反駐車のリスクが減り、配送先にも最短距離で移動できるなど、夜間納品の方がメリット多いといえるでしょう。

さらに、検品について、出荷側が責任を持つルールを確立し、店舗の鍵を預かって無人の店舗に納品することで、物流の納品作業をもう1段階効率化することができます。まずは無人検品について納品先企業に相談してみると良いでしょう。

2.支払サイトや支払方法の変更

次は少し視点を変えて、「経理」の取引条件も検討してみましょう。荷主企業と物流企業の間で経理的な条件として設定されているものに、支払条件というものがあります。例えば、業務の対価をいつ支払うかを決めた「支払期日」や支払いを「現金」にするか「手形」にするかといった取り決めです。

支払期日は、通常は末締めの30日支払や40日支払というように設定されています。支払期日が短いほど物流企業に取っての資金繰りが楽になります。特に、車両や施設の調達になどの先行投資が負担になりやすい中小の物流企業にとっては、サイトの短縮は運賃や保管入出庫料がアップするよりもプラスになることもあるほどです。

そして、物流費を現金で支払うのか手形で支払うのかという条件も、手形となると、現金化までの期間がリスクになったり、手形を割ることで現金化をするとしても割引手数料が発生してしまいます。

支払に関する条件は、これまで荷主企業側の都合で決めることが多かったようですが、昨今の車両や人財の不足、また軽油価格の上昇もあり、物流企業側の発言力も上がっており支払い条件の変更や物流費の値上げを依頼されることが増えているようです。

荷主企業は資金繰りに余裕があるのであれば、支払いサイトの短縮や現金での支払いといった条件変更を物流企業に打診し、現状の物流コストで継続できないかを考えてもらうことも有効だと思います。今後も、人材不足から物流企業からの運賃値上げ要請が続いていくと考えられます。変えられる条件は変え、譲れる条件は譲る。物流企業にとってメリットになる条件を提示しながら上手な交渉をしていきたいものですね。

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