2025年の崖とは?食品卸が必要な対策を解説

卸・メーカー2024.09.02

2025年の崖とは?食品卸が必要な対策を解説

2024.09.02

2025年の崖とは?食品卸が必要な対策を解説

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2025年の崖という言葉をご存知だろうか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される現代において、2025年には多くの業界で壁に直面することが予想されている。食品卸においても、導入しているシステムの更新やそれに関連する課題を解決する必要がある。

本記事では、2025年の崖について解説するとともに、食品卸の取るべき対策も解説する。

目次

2025年の崖とは?

2025年の崖とは、経済産業省が公表したDXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~で提言された言葉で、企業が直面するITシステムの大規模な更新や対応に関する課題を指す。

レポートではDXが進む昨今において、2025年はこうしたシステムや人材面で大きな変革が起き、対応が遅れることで経済的にも損失が出ることが予想されている。さらに、2030年までの経済的損失は12兆円にも登ると試算されている。

関連記事:【分かりやすく解説】DXとは?食品卸の課題と解決方法

2025年の崖による課題は?

2025年には既存のITシステムの老朽化やサポート終了が進むと同時に、IT人材の不足とコストの高騰が深刻化する。企業はシステム更新や人材の確保において重大な課題に直面することになる。

この項では、その2つの課題について解説する。

既存システムの老朽化やサポート終了

2025年に向けて、多くの企業が直面する課題の一つが、基幹システムの老朽化とサポート終了である。

多くの企業が使用しているシステムは、導入から数十年が経過しており、技術的に時代遅れとなりつつある。古いシステムを使い続けるとサポートの終了により修正や更新が行えなくなり、システムの維持管理が困難となる。例えば、近年Microsoft社は2014年にXPを、2020年にWindows7のサポートを打ち切った。また、PSTNという固定電話通信網も2024年に終了することがNTTから発表されている。

このようにITシステムでは老朽化によるサポート終了と新しいシステムへの移行が行われており、対応していかなければ、システム障害やデータ損失のリスクが高まり、業務運営に深刻な影響を及ぼす可能性があるのだ。

新たなシステムへの移行は各企業が取り組むべき必須事項であり、その準備が急務となる。しかし、新たなシステムの導入や移行はすぐにはできないため、経営的な判断が必要となる。

IT人材の不足、コストの高騰

もう1つが、2025年に向けたIT人材の不足と関連コストの高騰だ。

DXの推進により、新技術やシステムの導入が必要な一方で、これらの技術に対応できる人材は依然として足りていない。経済産業省が公表したIT人材需要の変化では、2030年までに40~80万人の規模でIT人材不足が生じると試算されている。

特に高度な専門知識や経験を持つ人材の育成や確保は短期的では困難なため、今から対策を取っていく必要がある。

2025年の崖による食品卸の課題と対策

食品卸の企業も漏れることなく「2025年の崖」に直面することになる。特に、使用している販売管理システムや在庫管理システムが古くなり、サポートの終了やメンテナンス管理の難しさが顕在化することもありえる。この問題によりシステムの維持管理が困難となり、業務の効率化が阻害される可能性も出てくる。

また、先程紹介したIT人材不足やコスト高騰も加わるため、業務の効率化と技術革新を進めるためには以下の3つが重要となる。

  • DX推進指標を基に行動計画を作成する
  • 人がやる業務、やらない業務を振り分ける
  • DXを進めるために補助金などの活用も検討

DXを進めるための対策として順番に解説する。

DX推進指標を基に行動計画を作成する

DXの推進には、明確な指標に基づいた行動計画の策定が不可欠となる。経済産業省が示すDX推進指標は、企業がDXを効果的に進めるための基本的な指針を示している。

この指標では、業務のデジタル化、データ活用の強化、システムの更新や統合など要素をまとめて、具体的な行動計画を作成することを求めている。まずは現状の業務を見直し、デジタル化が可能な領域を特定する。次に必要な技術やリソースを整え、段階的にシステムの刷新やデータ活用を進め、業務効率化を実現させる。

指標に基づいて企業にあった行動計画を作成することで、DX推進の道筋が立てられる。

人がやる業務、やらない業務を振り分ける

業務の効率化を進めるためには、人が担当する業務はシステムを活用して効率化する業務を適切に振り分けることが重要である。これにより、業務の最適化と労働力の有効活用が実現可能だ。

現状の業務プロセスを見直し、定型的な作業や繰り返しの多い業務は自動化やシステム化を進め、人が対応する必要がある業務に集中できるようにする。また業務の見直しにあたっては、現行のやり方からの変化に対する抵抗を減らすための環境づくりが欠かせない。変革に対する理解と協力を促進するためにも、十分な説明と教育を行い、従業員の不安を軽減することが成功の鍵となる。

行動計画を緻密に練り、DX推進による業務の効率化が実現すれば、企業全体の生産性が向上できる。

DXを進めるために補助金などの活用も検討

DXを推進するための補助金や助成金の活用も検討しよう。政府や地方自治体では企業のDXを支援するために様々な補助金や助成金のプログラムを提供しており、活用することで初期投資の負担が軽減できる。

例えば、IT導入補助金や中小企業向けの技術革新支援制度などがあり、これらの活用でシステム導入や技術改良のコストの一部を賄うことが可能になる。

自社で今現在使用できる補助金や助成金を調べて活用することは、DXの推進への近道となるだろう。

まとめ

「2025年の崖」が目前に迫る今、食品卸企業では古くなった販売管理システムや在庫管理システムの見直しが必要であり、これに対応するためにはDX推進指標に基づいた行動計画の策定が求められる。

さらに対策としてデジタル化を進めるためには、人のやるべき業務を見極め、変革に対する抵抗を減らす環境づくりが重要になる。自社のDX推進によって従業員の環境の改善、さらには業界の発展につながるため、少しずつでもしっかりと対応していこう。

参照:
経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
独立行政法人情報処理推進機構「DX推進指標

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