飲食店でよくあるお客様同士のトラブルとは?原因と対処法をご紹介

飲食・宿泊2024.06.06

飲食店でよくあるお客様同士のトラブルとは?原因と対処法をご紹介

2024.06.06

飲食店でよくあるお客様同士のトラブルとは?原因と対処法をご紹介

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飲食店でのお客様間のトラブルは、運営者や経営者を悩ませている原因のひとつだろう。十分な知識がないまま誤った対応をしてしまうと、過大なクレームへ発展したり、売り上げに影響したりすることもある。

本記事では、飲食店でよくあるトラブルの事例とともに、対応方法や予防方法について紹介する。

目次

飲食店での一般的なお客様同士のトラブル原因

飲食店でのお客様同士のトラブルを防ぐためには、トラブルの原因を把握し、正しい対応策を取ることが求められる。ここでは、どのような原因でお客様同士のトラブルに発展するのか、考えられるシチュエーションとともに紹介する。

騒音が原因のトラブル

お客様同士のトラブルで一般的なのが、ほかのお客様の話し声などによる騒音だ。特にお酒を出す飲食店やレストランに多く、団体客の飲み会などがあると、泥酔したお客様の声のボリュームが大きくなることがある。大きな笑い声もほかのお客様の迷惑になり、クレームの原因になりえるだろう。

座席間隔の問題から生じるトラブル

レストランや飲食店内が狭いと、座席スペースも狭くなりがち。隣のお客様がプライベートな会話をしているのが聞こえてしまったり、自分たちの会話も聞かれるのではないかという懸念から居心地が悪くなってしまったりするだろう。また、ソファ席で十分なスペースが確保できていないと、隣のお客様の荷物に当たってしまうケースも。

喫煙や匂いに関するトラブル

喫煙席を設けている飲食店では、店内でのタバコの匂いに関するトラブルに対しても留意するべきだ。喫煙席に近い禁煙席にいたため、タバコの煙が自分たちの席にまで漂い、服などに匂いがついてしまった、などのクレームが考えられる。

子どもの行動に起因するトラブル

小さなお子様が、隣の席に食べ物や飲み物をこぼすような物理的なトラブルや、赤ちゃんの泣き声に対するクレームを受ける場合もある。その他にも、ベビーチェアーを使っていた家族連れのお客様と席が隣になったお客様が、十分なスペースを確保できず落ち着かなかったという事例もある。

物の損害

お客様同士の接触により、所持品や衣類が破損したり汚れたりしてしまったことで、口論や喧嘩に発展するというトラブルが挙げられる。謝罪することでトラブルが収まれば良いが、まれに、被害にあったお客様側が相手に弁償を求めるなど、第三者が必要になるケースも起こりえる。

トラブル発生時の対処と解決方法

お客様同士のトラブルに対してはさまざまな解決方法が考えられるが、重要なのは、原因に合った対処を取ることだ。ここでは、上記のようなトラブルが起こった場合、どのような対応が望ましいか、対処法を解説する。

トラブルの対処法

以下、飲食店でお客様同士のトラブルが起きた場合の対処法について、留意しておきたいポイントを解説する。

介入するタイミング

介入するタイミングは、お客様間でのトラブルが発生してすぐに対応することが重要だ。早い段階であればあるほど、その場で問題を解決できる確率が高くなるためだ。まずはお客様の話をしっかり聞き、状況を把握したうえで、不快な気持ちにさせてしまったことに対してお店側の責任として謝罪する。そのうえで、トラブルの解決法を提案することが重要である。

静かにするよう注意を促す方法

お客様の騒音や話し声が大きい場合、静かにしてもらうようお声がけをする。その際、「ほかのお客様のご迷惑になりますので、もう少しお静かに願えますでしょうか」と、事実と理由を伝えることが大切だ。対応してもらったら丁寧にお礼を伝え、それでも状況が良くならない場合は、静かにしてほしいお客様に対して、席を移動してもらうよう提案する。その際、お客様同士の喧嘩に発展しないよう、どのお客様がクレームを出したのかは絶対に知られないようにすることが大切だ。

直接話し合うメリットと注意点

お客様同士でトラブルがあった場合、当事者のお客様間で直接話し合ってもらうことも、トラブルの肥大化防止には効果的だ。直接話すことで、お互いの言い分を理解し合えるとともに、「自分のせいで迷惑がかかっている」と、冷静さを取り戻せる可能性があるからだ。ただし、お酒が入っているお客様同士だと平常心を保つのが難しいことがあるため、喧嘩になりそうな場合は従業員が仲介をすることも考えよう。

事前のルール設定

社員やスタッフの入れ替わりが激しいのも、飲食業界の特徴と言える。そのため、トラブルに対しての基本的な対応ルールを設定し、従業員に共有できるようにしておくことが理想だ。下記は、あくまでも一例として参考にしていただきたい。

 ● まずは注意喚起を試みる
 ● お客様同士を物理的に離す(席の移動)
 ● 事が収まりそうもない場合の連絡系統の確認(スタッフ→マネージャー→店長など)
 ● お店の責任者が不在の場合の対応(緊急連絡先の共有など)
 ● お客様が泥酔して暴れている場合は警察に通報

器物損害トラブルが起きた場合、破損されたものを撮影して証拠を残すなど、証拠保全のルールを設定するのもあり。また、万が一トラブルを起こした加害者が逃げてしまった場合などに備えて、飲食店向けの保険加入を義務化するなども考慮すべきだろう。

第三者の介入

飲食店の店長や責任者だけでは対処できない際、第三者の助けが必要になる場合も。ここでは、代表的な相談先について解説する。

警察に通報

警察に通報するケースの具体例は以下の通り。

 ● お客様同士の口論がエスカレートし、暴力に発展しそうな場合
 ● 当事者やほかのお客様・従業員が怪我をしてしまった(してしまいそうな)場合
 ● お客様が店舗の物を破壊しようとしている場合
 ● 異性のお客様に対してセクハラ行為をしている場合

上記の事態に対して、実際に通報する前に「警察に通報します」とお客様に伝えるだけでトラブルが終結することも。いづれにしても、お客様や従業員、自分の身に危険を感じたら迷わず警察に通報することだ。

トラブル専門家の活用方法

飲食店のトラブルが起きた際、さまざまな側面からの対応が必要になる場合も少なくない。店舗だけでは判断や解決が難しい場合は、弁護士など専門家に相談することも有効だ。

トラブルを避けるための予防策

飲食店で起こるお客様同士のトラブルは、できることなら最小限に抑えたいもの。ここでは、トラブル回避に役立つ予防策を解説する。

店内環境の工夫と管理

お客様同士のトラブル回避のための重要な役割を担うのが、飲食店内環境の整備だ。お客様が心地よく感じられるかどうかを意識し、店内に流れている音楽や照明にも気を配ろう。

【トラブルを引き起こしにくい店内環境に向けてのポイント】
 ● 解放感のある出入口のレイアウトにする
 ● 店内の照明は明るすぎず暗すぎないように設定
 ● 落ち着いたBGMの選択
 ● 座席やテーブルにべたつきがないよう消毒する
 ● トイレは定期的に清掃を行い、清潔さを保つ
 ● 店外からの騒音がある場合は、必要に応じて防音設備を設ける

空間の広さと客層のチェック

座席と座席の間に空間を持たせることは、お客様同士のトラブル回避に役立つ対応策のひとつ。人間の心理として、狭い空間よりも、広々としてくつろぎやすい空間の方がイライラしにくくなるからだ。適切な座席レイアウトにするためにも、十分なスペースを確保した状態で、何名まで入店を許可できるのかを検討することが大切だ。また、客層によっても必要なスペースが異なるため、受け入れ可能人数をあらかじめ設定することが重要である。

プライバシーが保護される席の選択

トラブル発生のリスクを減らすためには、お客様同士が接触する機会を減らすことが効果的。個室を中心にしたり、座席と座席の間に仕切りを設置したりすることで、物理的にお客さま同士の接触の可能性が低くなる。

従業員のトレーニング

トラブル発生時にできるだけ速やかに対応できるよう、従業員への教育体制も整えておくことが必要だ。ここでは、従業員に対する教育方法について紹介する。

トラブルへの対応マニュアルの作成

お客様同士のトラブルを防ぐためには、予想できる事態をあらかじめ予想し、対応マニュアルを作成すると良いだろう。それぞれのケースに対して対処法を準備し、マニュアルを従業員全員と共有しておくことが重要である。事例をもとに、ケーススタディ形式でマニュアルを作成するのも良案。

顧客対応の心構え

顧客に対してホスピタリティ精神を常に忘れないことも、飲食店で働く人にとっての大切な心構えだ。お客様同士のトラブルに関しても、トラブルが起きた原因や背景を理解し改善策を考えることで、少しでもお客様の不快な気持ちを取り除くことが可能だ。
また、口論や喧嘩などのトラブルに対して、店舗としては絶対に中立の立場を保つことを心がけよう。例えば、店舗側がお客様に注意を促す際は、その人の非を問いただすような姿勢はせず、「ほかのお客様の迷惑になることを避けるため」という理由を明確に伝えることが重要だ。
また、トラブル発生の際のお客様への対応は、現場の責任者が対応するのが基本なので、アルバイトスタッフや従業員に任せるのではなく店長やオーナーなどが行おう。

トラブル発生後のフォローアップと顧客満足度向上の努力

発生してしまったトラブルに対して、反省とフォローアップを必ず行うことが重要だ。ここでは、トラブル後でも顧客満足度向上につなげるための手順を解説する。

関係者への適切な謝罪

トラブルを起こした当事者のお客様だけでなく、店内にいるほかのお客様に謝罪することを忘れないこと。「不快な気持ちにさせてしまったことを深くお詫びします」と、誠意を込めた対応が不可欠だ。

再発防止策の検討と実施

起きてしまったトラブルに対し、再発防止のための対策を検討する必要がある。具体的な対策としては、防犯カメラの設置などが挙げられるだろう。その際、カメラが設置してあることを告知する張り紙などを用いることで、別のトラブルを引き起こす可能性を減らせるだろう。

フィードバックシステムの導入と迅速な対応フロー

 ● お客様の話を真摯に聞いて受け止める
 ● 状況を理解し、不快な思いをさせてしまったことに対して謝罪する
 ● トラブル改善に向けての提案をする
 ● それでもトラブルが悪化しそうなら警察に連絡
 ● トラブルが解決すれば、協力してもらったことに対して感謝の意を伝える

今後同じようなトラブルが起きた場合に備え、従業員の対応へのフィードバックを行うことも重要だ。フィードバックで気付きを共有することにより、従業員同士のコミュニケーション強化にも役立つ。コミュニケーション力が向上すれば、予想外の事態にも迅速に対応できる可能性が高くなるだろう。

まとめ

飲食店を運営していると、日々さまざまなことが起こる。トラブル発生の確率をゼロにするのは難しいものの、リスクを事前に把握し、マニュアル作成や従業員へのトレーニングを密に行うことで、トラブルを未然に防いだり、トラブルを最小限に抑えたりすることが可能だ。当事者のお客様とほかのお客様が不快な気持ちのまま帰ることがないよう、入念な準備とともに最善を尽くすことが重要である。

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