飲食店の防災対策はどうする?地震・火災の備えや対応まとめ

飲食・宿泊2024.03.27

飲食店の防災対策はどうする?地震・火災の備えや対応まとめ

2024.03.27

飲食店の防災対策はどうする?地震・火災の備えや対応まとめ

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地震や火災は、いつ起こるかは分からない。首都直下型地震は今後30年以内に70%の確率で起こると予想されている。特に飲食店は常に火を使っているため、災害対策を行っておく必要があるといえる。しかし、どのような対策を行えばいいか分からない・災害発生時にどのような対応を取ればいいか分からない方もいるだろう。

本記事では、飲食店でしておくべき災害対策や災害発生時・発生後の対応などについて消防庁などの資料をもとに解説する。

目次

飲食店でしておきたい地震・火災による災害対策

災害による被害を最小限にするために、事前にしっかりと対策を行っておく必要がある。飲食店で地震や火災が起こったときの災害対策には、以下のようなものがある。

店内の安全な場所・周辺環境の確認

災害時にお客様を安全な場所にただちに案内できるよう、テーブルの下やガラス・家具から離れたスペースなど、店内で一時避難する場所を決めておくことが重要だ。

そして、どこが避難場所になるかを確認しておこう。避難場所は、各市町村が用意する「防災情報マップ」で確認できる。地震が起こると、土砂災害や津波、火事などの二次災害が発生する恐れもある。

自然災害による被害を予測した「ハザードマップ」を確認し、近隣でどのような災害が起こりうるのかも把握しておこう。

避難ルートの確認・確保

避難ルートも合わせてチェックしておくことが大切だ。災害時にスムーズに避難できるよう、お客様の見えるところに非常口の場所を示しておくこと。ビル内であれば、各フロアで複数の避難ルートを設けておくといいだろう。

また、非常口付近に障害物があると、地震時に非難が妨げられる恐れがあるため、ものを置かないようにしておく必要がある。

店内設備の安全確認

店内の商品が頭上から落下しないよう、家具や什器を固定しておこう。落下したら危険なものは、高い場所に置かないようにする。

また、非常灯や懐中電灯、消火器などの設備を適切な場所に配置すること。電池の本体には使用推奨期限が印字されているため、期限が切れていないかを半年に1度を目安にチェックするといいだろう。

防災グッズの準備

帰宅困難時に備え、飲料水や食料、救急セット、簡易トイレなどの防災グッズを常備しておこう。飲料水や食料のように、賞味期限のあるものは1年に1回を目安に定期的にチェックし、期限切れのものは新しいものと入れ替えるなどの対応も必要だ。

防災マニュアルの準備・従業員への防災意識の共有

避難ルートや避難場所、災害が発生したときどのように対応すればいいのかなどを記載した防災マニュアルを作成しておこう。マニュアルを作成したら従業員に共有し、防災への意識づけを行うことも欠かせない。

また、救護や手当、消火活動など、担当者をあらかじめ決めておくと災害時にスムーズな対応が可能になる。

地震・火災による災害発生時の対応

地震・火災が発生したとき、どのように動けばいいのかを把握していなければ、いざというときに慌ててしまう。ここでは、地震、火災それぞれに分けて、災害発生時にどのような対応をすればいいのかを解説する。

地震発生時の対応

地震発生時、発生後の対応は、以下の通り。

  1. 安全な場所への誘導
  2. ドアを開ける
  3. ガスの元栓を閉める・消火活動を行う
  4. 安否確認・救出活動を行う
  5. ブレーカーを落とす
  6. 情報収集により、店内待機・もしくは避難かを判断する

順番に解説する。

安全な場所へ誘導

地震が発生したら、店内のあらかじめ決めた安全な場所にお客様を誘導しよう。また、体を低くし、カバンなどで頭を守るよう声掛けする。

出入口のドア・非常口を開ける

ドアや非常口を開けておこう。まず出入口を確保し、店舗にいる人たちが安全に避難できるルートを確保することが大事だ。

ガスの元栓を閉める・消火活動を行う

料理中など火がついている状態の場合は、すぐに火を消し、ガスの元栓を閉めよう。万が一、火が上がっていたら、消火活動を行う。119番に通報するのはもちろん、周囲に火災を知らせることを忘れないようにしよう。

安否確認・救出活動を行う

従業員とお客様の安否確認を行う。この際、トイレや個室も忘れずにチェックしよう。挟まれたり閉じ込められている人がいる場合は、自身の安全を優先しながら救出活動を行う。ケガをしている人がいる場合は、手当を行うか、救急車を要請しよう。

ブレーカーを落とす

地震により停電になった場合、ブレーカーが上がったままになっていると、電気の復旧時に火災が起きる恐れがある。ブレーカーを落としてから避難しよう。

情報収集により、店内待機・もしくは避難かを判断する

スマホやテレビなどで、地震の情報を収集し、店舗に待機するか避難するかを判断する。避難する場合は、お客様を店外や避難場所に誘導しよう。

火災発生時の対応

地震発生時、発生後の対応は、以下の通り。

  1. 出火場所・状況の確認
  2. 通報と初期消火の対応
  3. 近隣に火災発生を知らせる
  4. 避難誘導

出火場所・状況の確認

まずは、火災の発生場所と状況を確認しよう。何が燃えているか、どこが燃えているかをしっかり確認する。

通報と初期消火の対応

119番に通報し、消防車がスムーズに建物を特定できるよう情報を伝える。合わせて、初期消火を行う。消火器による消火限界の目安は、炎が天井に達するまでといわれている。すでに火災が大きく広がっている場合は、迅速に避難することが大切だ。

初期消火のポイントは以下の通り。

  • 消火できなくなったときのことを考え、後ろに逃げ口があるところで消火する
  • 風上から消火する
  • ほうきで掃くように消火器を動かす 

近隣に火災発生を知らせる

近隣の人たちに火災が発生したことを知らせよう。ビルに防災センターがある場合は、連絡を入れることで、建物内全体に火災発生を連絡してくれる。

避難誘導

火が燃え広がらないようにするため、窓やドアを閉めたうえで、お客様や従業員の避難誘導を行う。誘導する際は、「低い姿勢を保ち、ハンカチなどで鼻と口を覆いながら移動してください」と伝えよう。

地震・火災発生時のそれぞれへの対応

地震・火災発生時に、店舗・従業員はどのように対応したらいいのかを解説する。

店舗(店長・マネージャー)としての対応

災害が発生したときは、消防署への通報はもちろん、お客様や従業員の避難誘導を率先して行うことが大切だ。店舗の状況確認だけでなく、避難か待機かの判断も必要になる。情報を収集し、適切な判断を行おう。

従業員の対応

お客様の身の安全を守るため、避難誘導を行う。避難誘導を行う場合は、お客様が見失わないよう、目立つ服装または目印になるものを持つといいだろう。

消火活動を行う、ドアを開ける・閉めるなど、マニュアルに合わせた対応を取る。スムーズに役割分担できるよう、事前にそれぞれの担当者を決めておくことをおすすめする。

お客様へのケア

お客様が倒れた家具に挟まっている・ケガを負っているなどした場合には、救出活動・応急手当を行おう。待機の必要があり、店舗で一夜を過ごさなければならない場合には、水や毛布、ホッカイロなどを渡すなどの対応を行うことが大切だ。

地震・火災発生後に想定される被害と対応

地震や火災が発生したあとは、来客数が減少する恐れがある。営業が継続できない状態になってしまった場合は、休業せざるを得ないだろう。建物に問題ないように思えても、目視だけでは判断できない被害が発生している場合もあるため、専門家に調査を依頼することも大切だ。

店舗の状況を確認し、時間短縮で営業するのか、休業するのかの判断が必要となる。すぐに営業できない場合は、復旧・回復スケジュールを作成する。

災害により休業になった場合は、「店舗休業保険」の利用が可能だ。また、火災保険も利用できる。店舗休業保険・火災保険の補償範囲は、保険会社や保険によって異なるため、あらかじめ確認しておくといいだろう。

被害が少ない場合の対応

被害が少ない場合に営業するためにできることには、以下が挙げられる。

  • 人員を他店舗から派遣してもらう
  • 屋外やテントなどで食事を提供する
  • 弁当販売・デリバリーなど、無店舗営業を行う
  • 食材を別業者から仕入れることを検討する
  • 在庫食材を使ったメニューに変更する

災害の影響を少なくするために、工夫しながらできることを実行していこう。

従業員への対応

災害後は、従業員とのコミュニケーションも欠かせない。営業再開のスケジュールや取り組みが決まったら、全従業員に内容を説明する。それぞれの役割分担を決め、必要な準備を指示する。従業員のアイデアを積極的に取り入れ、全員で協力し営業再開するのだという意識を持ってもらうことが大切だ。

お客様への対応

営業再開の予定が決まったら、お客様に営業再開の旨を発信しよう。ウェブサイトはもちろん、LINEやメルマガなどに登録しているお客様がいる場合には、メールを発信するなどして情報を伝えよう。

万が一、災害の発生により予約をキャンセルしたお客様がいる場合は、営業再開の旨と再予約を促すことで、安心感を持ってもらえるだろう。

飲食店がすべき防災の備え

地震や火災が発生した際に、慌てず対応する・被害を少なくするためには、災害対策を行うことが欠かせない。地震が発生した場合、それが原因による二次災害が起こる恐れもある。普段から防災意識を持ち、従業員にも徹底することが大切だ。

定期的なチェックをするためにはオペレーション管理ができるツールを導入するのもひとつの手だ。防災マニュアルの作成はもちろん、定期的なタスクチェックを行うためにもこのようなツールを活用しよう。

[参考]
東京消防庁「見て、知って地域で実践!!初期消火マニュアル」(PDF)
東京商工会議所新宿支部編「地震だ!地震時初動対応マニュアル」(PDF)
観光危機管理・事業継続力強化研究会「飲食事業者 用 BCP 作成ガイド」(PDF) 

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