飲食店のリピート率とは?
飲食店の「リピーター」の定義は曖昧な部分もある。一般的には、2回以上来店してくれるお客様、もしくは月に1回以上来店してくれるお客様のことを指す場合が多い。
リピート率とは、どれくらいの新規顧客が再来店(リピート)してくれるかの割合である。そして飲食店のリピート率は、77.5%という調査結果が出ている(ホットペッパーグルメ外食総研「飲食店リピート実態&要因調査」)。
ただし業態によって利用頻度が異なるため、自店舗に見合ったリピート率を目標に設定することが重要だ。例えば以下の業態はリピート率90%以上と高い。
・ファーストフード
・牛丼、カレーなど、一品もの専売業態
・立ち食いのラーメン、うどん・そば業態
・ファミリーレストラン、回転すしなど
一方で「アジアン料理」「フレンチ・イタリアン料理店」といった業態では、50%以下のリピート利用率となっている。このことから、安価で立ち寄りやすい店舗の方がリピート率も高い傾向にあると言える。
リピート率の計算方法
自店舗のお客様のリピート率を求める場合、以下のような計算式を当てはめる。
リピート率(%)=2回目以降の来店客数×これまでの初回来店客数×100
例えば、開店から新規顧客が100人でそのうちの20人が再来店した場合、リピート率は20%となる。
3回目以降の来店客をリピーターと定義する場合、「2回目以降の来店客数」を「3回目以降の来店客数」に置き換えれば求めることが可能だ。ただし注意すべき点が、リピート率とリピーター率の混同である。
リピート率とリピーター率の違いについて
リピーター率は、特定期間に訪れた来店客数のうち、どの程度リピーター(既存顧客)がいるかを示す割合となる。
リピーター率(%)=特定期間の既存顧客数÷特定期間の来店客数×100
例えば、11月の来店客数が200人でそのうち50人がリピーターの場合、25%がリピーター率だ。
リピーター率は、あくまで既存顧客の割合を求めているもxのだ。そのため、リピーター率よりもリピート率(どれくらい新規顧客が再来店してくれているか)がより重要である。新たなリピーターを獲得できなければ集客が安定しているとは言い難く、いくら常連客がいても次第に客数や売上が減ってしまいかねない。
ではリピーターを獲得するにはどのような取り組みを実施したら良いのか、方法を5つ解説していく。
飲食店でリピート率を上げる方法5選
飲食店ができる集客の中でも、新規顧客の獲得には多大なコストが掛かる。例えば、チラシやグルメサイトへの広告などで宣伝を行い、店舗の認知度を高める方法が一般的だ。しかしそれらの施策は、費用面での負担が大きくなりやすい。
特にコロナ禍以降はリモートワークの普及や外出自粛による宴会需要の減少など、消費者の足が遠のく要因がいくつも挙げられる。いくら新規顧客を呼び込んでも定着しなければ、費用対効果に見合わない結果となってしまう。
コストを抑えつつ安定的な経営を行うには、定期的に足を運んでくれるリピーターの獲得が重要になる。そのためには、顧客のファン化や繋がりを強めることを意識しておきたい。
下記のコロナ禍での飲食店集客に関するインタビュー記事も、ぜひ参考にしてほしい。
関連記事:「これマネ理事、山川博史氏が解説!ポストコロナの飲食店集客・ファンづくり方法」
コミュニケーションの機会を増やす
飲食店では、お客様にとって気持ちの良い接客を心がけることがリピート率アップに繋がる。具体的には入店時や退店時の声かけ、丁寧な接客態度などがあると、その体験とお店をセットで覚えてもらいやすい。
ただメニュー表を渡すだけでなく、本日のおすすめや限定メニューなどがあれば説明するなどのコミュニケーションも効果が期待できる。もちろんお客様によっては、あまり声をかけられたくない方もいるため、簡潔に伝えるなどの配慮も行うと良い。
また従業員によって接客の差が出てしまうと、それが不満やクレームに繋がってしまいかねない。安定した接客を行えるよう、マニュアルの作成も合わせて行うべきだろう。
クーポンや割引券を発行する
クーポンや割引券は新規顧客の獲得のみならず、2回目以降の来店に繋げる方法としても活用できる。「次に来店したらお得になる」という再来店の動機付けになり、財布に入ったクーポン券が目につくことでお店のことを思い出してもらえるからだ。
ポイントとしては、
・有効期限を設けるなど忘れられないような工夫をする
・QRコードや管理番号を付けて、集計しやすい仕組みを作る
・来店回数に応じて特典を増やし、複数回の再来店を促す
などが挙げられる。
紙媒体ではなく、店舗アプリを使ってお得な情報を発信するお店も多い。新規の集客には割引クーポン、既存顧客には店舗独自のスタンプやポイントを配布するなどの差別化を図ることで、リピーターへのお得感を強める方法も有効と言える。
SNSやアプリによるダイレクトな情報発信
飲食店からの新メニューやフェアなどの積極的な情報発信は、お客様に興味や関心を持ってもらい、店舗へ足を運んでもらうための重要な手段といえる。
特に現在ではTwitterや公式LINE、店舗アプリなどの様々なプラットフォームがあり選択肢の幅も広い。ターゲット層や目的によって選択しよう。
・TwitterやInstagramなどのSNS:無料での運用、口コミでの拡散も狙える
・LINE公式アカウント:チャット機能による1対1の会話、気軽なお問い合わせが可能
・店舗アプリ、ツール:個別の情報発信やクーポン発券などサービスが充実
「QRコードによる登録」「その場で登録すればドリンク無料」などの導線や特典を作ると、お客様もより利用しやすいだろう。
顧客情報を活用したサービス
お客様情報をサービスの向上に活用しよう。来店履歴や注文内容、アレルギー情報や誕生日などが把握できれば、それぞれの顧客に合わせた情報発信が可能となる。
例えば、
・顧客の好みに合わせておすすめメニューをLINE公式アカウントなどで伝える
・お一人様や少人数向け、宴会などのコース料理の提案
・誕生日の顧客が来店した際にバースデーカードを用意する
などが挙げられる。
顧客情報を集める方法として、代表的なものは以下の通りだ。
・店舗でアンケートの実施
・アプリなどの登録情報
・お客様への聞き取り
・会員カードやスタンプカード
ただし顧客情報は膨大なデータ量になるため、いくら集めても管理しきれなければ有効活用することが難しい。顧客管理システムなどを導入し、効率的に運用できる仕組み作りも検討しておきたい。
近隣店舗のリサーチ
リピーターを獲得するには、自店舗だけでなく出店している地域の特性や競合店の客層などもしっかりとリサーチすることが重要となる。
イメージとしては、地域に根付いた店舗を目指すこと。そのためにはまず、近場で繁盛している競合店がなぜ人気なのかを調べることも重要だ。具体的には、以下のようなものが挙げられる。
・店内の雰囲気や客層
・人気メニューや価格帯
・ぐるなびや食べログなどの口コミ
・チラシや広告などの宣伝方法
・オンラインでのプロモーション
同じ業態や規模の近い飲食店であれば、提供するメニューや宣伝方法などの改善だけでなく、ビジネスモデルとして参考になる点も多く見つかるだろう。
リピート率を上げるには常にサービスを改善し、顧客の興味関心を高める
飲食店で集客するには、様々な観点からのアプローチが必要となる。新規顧客の獲得はもちろん大事だが、売上を頭打ちさせないためにも、常連客などのリピーターを定着させることが経営の安定化に繋がる。そのためにも来店するお客様の側に立って考えることが重要だ。
料理や雰囲気、接客はもちろんのこと、店舗側からのアプローチでお店の存在を思い出してもらうことも、再来店へと繋がるきっかけになる。
季節限定メニューや日替わりメニューなどで飽きない工夫を取り入れたり、クーポンなどのお得な特典を用意したりと、状況に応じて適切な方法を取り入れてリピート率を高めていきたい。