飲食店の原価率とは?原価率の計算方法と利益率改善策も解説

飲食・宿泊2021.03.10更新:2023.06.02

飲食店の原価率とは?原価率の計算方法と利益率改善策も解説

2021.03.10更新:2023.06.02

原価率の改善はレシピの原価計算表の作成から

原価率を改善するには、本来あるべき原価と実際の原価がどれだけ違うか知ることで、どの食材がロスになっているか探る必要がある。まずは食材の仕入れ値をもとに、メニューごとの原価計算表を作成してみよう。

メニューごとのレシピを元に原価の計算表を作成する

原価率の計算表を作成するには、メニューにどんな食材が使われており、どの程度の金額になるかを知ることから始めよう。1品ごとにレシピ表を作成し、それぞれの材料費が一目で分かるようにすることで、原価や原価率を計算しやすくなる。

例えば、ハンバーグなら主な材料は合挽肉や卵、玉ねぎなど。簡単な表にすると、

材料名数量金額
合挽肉100g100円
1個20円
玉ねぎ1/2個30円
合計150円

この場合、ハンバーグ1個あたりの原価は150円。これを500円で販売すれば、原価率は30%となる。

 

原価率(%)=150円 ÷ 500円 × 100

 

 

レシピによって使用する食材の量や値段も変わってくるため、メニューごとに表を作るのが重要だ。材料費は変動するので、レシピ管理や原価を自動計算できるサービスを活用することで管理がしやすくなる。エクセルでもよいが、計算式が間違っていたりスタッフによって入力方法が違ったり新旧の区別がわからなくなったりすることもあるので、管理を徹底して余計な手間をかけないようにしたい。

原価率を抑えるための工夫

食材の原価率は、様々な方法で抑えられる。最も直接的な方法が仕入れ食材の見直しやポーションの見直しなどだ。例えば料理に使用する食材の量を減らしたり、より単価の安い材料で代用したりすることなどが挙げられる。

ただし料理の味を落としたことが原因で顧客が減っては意味がないため、品質と価格の調整は慎重に行わなければならない。中には、大量仕入れなどで材料の仕入れ単価を抑えている企業もあるので、工夫を凝らせばメニューの品質を落とさずに価格を下げることも可能だ。

また、食材ロスを減らすことも重要となる。材料として利用できる部分が増えれば、当然原価が変わらずメニュー提供数も増やせるからだ。そして食材の痛みや消費期限切れなどで無駄な廃棄を出さないためにも、適切な在庫管理を行う必要があるだろう。 

また、在庫ロスを軽減するためにも、定期的に棚卸をして食材ごとの仕入れ量と消費量を管理することも重要だ。食材や店舗が多く管理がたいへんなら、全店の仕入れ状況を管理できる受発注システムを導入するのもおすすめだ。

メニューごとに原価率を調整して利益を出す

原価率が高いメニューばかりが並んでしまうと全体の原価率も上がってしまい、利益率が下がってしまう。各メニューの原価率を計算し、原価率の高いメニューと低いメニューの仕入れ方法を調整したり、調理スタッフの技術を向上したりして全体の原価率を下げる取り組みをしよう。

季節ごとに原価率の低い集客メニューの提供を

飲食店では、季節に応じて売れるメニューが変動しやすい。冬場なら鍋料理やおでんなどの体が温まるもの、夏場なら冷やし中華や枝豆などのメニューが一例に挙げられる。

特にサイドメニューであれば、原価率を抑えながらも集客用のメニューとして提供できるものも多い。例えばドリンクメニューは、フードメニューに比べて原価率が低い傾向だ。作る際の手間も少ないので、人員のリソースを抑えられるというメリットもある。

少し前だとタピオカドリンクがブームとなり、様々な飲食店でメニューとして追加された。その勢いは、回転寿司などでも提供されているほどとなっている。さらにドリンクメニューは、ホットやアイスなど季節感にマッチしたメニューを出しやすいのもポイント。

このように季節ごとに原価率が低く、かつ集客を図れるメニューを用意しておくことも、店舗の利益を確保する上で重要となるだろう。

原価率が高いメニューと低いメニューの組み合わせがポイント

原価率を抑えるとはいっても、すべてのメニューを30%以下に止める必要は全くない。メニューの全体構成の中で原価率の異なるメニューを上手く組み合わせることも飲食店経営の戦略のひとつだ。例えば、ファーストフード店の目玉商品となりやすいハンバーガーは、原価率40~70%ほどで提供していることが多い。

これだけだとあまり利益を見込めないが、ソフトドリンクやポテトの原価率を10%以下にしている。つまりセットメニューとして売り出すことで、集客に活用しつつ、トータルの原価率を抑えて利益につなげているのだ。

他にも、カフェや喫茶店では、フードメニューの原価率を高くしドリンクメニューを低く抑えたり、居酒屋ではビールや目玉フードの原価を高くする代わりに、他のアルコールドリンクの原価を抑えるなどの工夫を行なったりしている。飲食店によって、売れ筋のメニューと原価率の組み合わせは変わってくるので、自店舗に合ったバランスを考えるべきだろう。

飲食店の利益を上げるために原価率を管理する

会社全体の売上と原価が分かれば、大まかな原価率を計算することはできるが、実際に改善するためにはメニュー単位での見直しをする必要がある。そのためには、食材の仕入れ値をもとにしたレシピごとの原価計算表を作成し、原価管理を日ごろから行うとが理想だ。

しかし多店舗展開や多くのメニューを提供している飲食店では、1品ごとに材料や仕入れ値、使用量などを打ち込まなくてはならない。スムーズに原価率の計算から管理までを行うには原価計算を自動化するレシピ管理システムを導入するのもひとつの手だ。原材料の価格高騰が続く今だからこそ、原価率を見直し、管理をしてみてはいかがだろうか。

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