「もし、新制度が導入されても、権利化が認められるのは大手飲食チェーンなどの『模倣によって多くの人がオリジナルと勘違いしてしまう、社会的影響が大きいもの』に限られる可能性もあります。ある程度の規模感がないと保護する必要性がないと判断されるかもしれないからです。すべての店を守る制度を作るのは難しく、今後も議論を重ねていく必要があるでしょう」
自由競争が業界の活気を生む。安易なパクリではなく独自の工夫を
現時点でも、フルサービス型喫茶店の例のとおり、大手チェーンであれば不競法による保護の可能性はあるし、企業規模を問わず、店舗名やロゴなどを商標登録すれば、商標法で模倣の予防や競合に対抗できる可能性はある。
とはいえ、何からなにまで模倣を禁じては業界そのものの活気も失う。料理の盛りつけやレシピに保護制度がない理由も、自由競争の範囲という扱いだからだ。ひとつの流行の中、多くの店が同ジャンルの料理で切磋琢磨することでブームは進化し、また新たなブームを生んでいく。
「ブームの先行者にとっても、競合が参入してきてジャンルを盛り上げるのはプラスになるはずです。一時期流行していくつもできた店の中から、安易なものは淘汰され、いい店が定番として残っていきます。
参考にする側にとっては、繁盛店の良い部分に独自の工夫をプラスするのは問題ないでしょう。もし、店舗名やメニューの名称が類似か否か気になることがあれば、弁理士などの専門家に相談することをおすすめします」
社会的な模倣に対する意識の変化もあり、今後はよりトレードドレスを保護する方向へ舵はきられていくだろう。今流行っているから、話題だからというだけの安易な便乗ではなく、10年、20年と続いていく店舗開発をめざしてほしい。