飲食店の廃業率が過去最多のペース。ローリスクで始められる週末起業とは?

飲食・宿泊2024.11.07

飲食店の廃業率が過去最多のペース。ローリスクで始められる週末起業とは?

2024.11.07

飲食店の廃業率が過去最多のペース。ローリスクで始められる週末起業とは?

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物価上昇や賃金増加の影響で、飲食業界は厳しい状況が続いている。コロナ禍を経て飲食店の倒産が増える現在、ローリスクで始められる週末起業が注目されつつある。飲食店を開業したいと考える人は依然として多いが、いわゆる脱サラや独立をするのはリスクが高い。そこで週末起業についてのメリットや運営形態を詳しく解説していく。

目次

飲食店の廃業率が過去最多ペース

引用:帝国データバンク「「飲食店」倒産動向 2024.10.08」を元に作成

2024年、飲食業界はかつてない厳しい状況に直面している。物価の上昇や人手不足、後継者難などが原因で、多くの飲食店が廃業を余儀なくされた。

帝国データバンクの『「飲食店」倒産動向(2024.10.08)』によると、2024年1~9月の倒産件数は650件となり、過去最多を上回るペースで推移していることが明らかとなった。個人経営の小規模店舗ではその影響が顕著で、経営者たちは増大するコストや人材確保・維持のための賃上げなどに苦しんでいる状況だ。

また老舗の飲食店も例外ではなく、創業400年の老舗そば店などもコロナ禍を経て影響で売り上げが落ち込み、同年9月に倒産した。このような状況下において、飲食業界における生存競争が激化し、経営戦略やコスト管理の重要性がかつてないほど高まっている。

その一方で、飲食業に挑戦したいという熱意を持つ人々は依然として多い。ここでは、新たな方法でこの業界に挑む動きに注目していく。

飲食店の週末起業とは?

この厳しい状況下で飲食店をローリスクで始めるための手段として、週末起業が注目を集めている。平日は本業に専念し、週末を活用して新たな事業を始めるというスタイルだ。一見すると週末起業と副業は似ているように見えるが、両者には明確な違いがある。副業は一般的に、日常の空いた時間を使って収入を補完する活動を指し、時間や場所に制約が少ない場合が多い。しかし、週末起業は、より事業としての意識が強く、本格的な経営活動に近いものである。

週末起業として飲食店を経営する場合、メニュー開発や仕入れ、店舗の準備といった具体的な経営活動を通じて、ビジネス全体を管理するスキルが求められる。単なる副業やアルバイトとは異なり、将来の独立を見据えた準備期間としての役割を果たす。

週末起業で飲食店を運営するメリット

週末起業で飲食店を運営する主なメリットは以下のとおりである。

  • 実店舗を持たないためローリスクで始められる
  • 市場でのテストの機会が得られる
  • 効率的に経営スキルが習得できる

実店舗を持たないためローリスクで始められる

週末起業として飲食業を始める場合、実店舗を持たない形でスタートするのが一般的である。キッチンカーやデリバリー専門の形態を選べば、初期費用や家賃、内装工事といった大きな投資を避けられる。そのため、万が一うまくいかなかった場合でも、金銭的なダメージを最小限に抑えることが可能だ。

週末起業では、必要に応じて短期間で事業の方向性も変えられる。試行錯誤を繰り返しながら、自分に合ったビジネスモデルを見つけられることも大きなメリットである。

市場でのテストの機会が得られる

週末だけの飲食店経営は、新しいメニューやコンセプトを試すための実験場としても活用できる。週末に限定された営業だからこそ、市場の反応を見ながら柔軟に改良を加えられるため、本格的に事業化する前に顧客のニーズや市場動向を見極めることが可能だ。

顧客からのフィードバックを直接得られるため、それを基にメニューやサービスを向上させることで、より満足度を高めるための工夫を考えることができる。

効率的に経営スキルが習得できる

週末からの段階的なアプローチで経営スキルを習得することで、リスクを抑えながら事業の成功を目指すことが可能だ。効率的な在庫管理やコスト削減のノウハウを学び、無駄を減らしながら収益性の向上にもつなげられる。

これらのスキルを身につけておけば、将来フルタイムで経営に挑む際にも、スムーズにスタートを切れるだろう。

週末起業でできる飲食店の主な運営形態4選

週末起業で飲食店を始める際には、いくつかの運営形態を選べる。それぞれの形態には異なるメリットがあり、自分に合ったスタイルを選ぶことが重要だ。

シェアレストラン・シェアキッチン

シェアレストランは、店舗スペースを間借りして運営する形態である。これにより、固定費を抑えつつ、本格的な飲食店の運営に挑戦できる。既に設備が整っている店舗を利用するため、初期投資も少なく済む点が魅力であり、初心者が始めやすい選択肢となっている。

直近では吉野家ホールディングスがお店を間貸ししたいレストランと間借りしたい開業希望者をマッチングするサービスを開始するなど、よりシェアレストランを使用したい人へのハードルは下がり始めている。

また、シェアキッチンという複数の経営者で飲食店のキッチンを所有する方法もある。この利点は、リスクと初期投資を分散できるだけでなく、他のシェフや経営者との相互交流を通じて、自身のスキルや知識を向上させる機会が得られる点がある。

異なるバックグラウンドを持つ人々と協力することで、料理のアイデアやサービス向上のヒントを得られ、顧客に対する提供価値を高められるだろう。

週末・ランチだけ

週末やランチタイムだけに限定して営業する形態もある。このように特定の時間帯にターゲットを絞ることで、効率的に集客し、短時間で最大限の収益を上げることが可能だ。

住宅地やオフィス街に店舗を構える場合、ランチタイムの需要を狙うことで、短時間の営業でも十分な売上が期待できる。特定の時間帯に注力することで、食材の無駄を減らし、コストを抑えた運営も可能になる。

週末やランチのみの営業は、顧客に特別なイベントや期間限定メニューを提供する機会にもなる。週末にしか味わえない特別な料理やデザートを提供することで、顧客の期待感も高まり、リピーターの獲得にもつながる。こうした限定的な提供が話題となり、口コミやSNSでの拡散につながることも期待できるのだ。

キッチンカー

キッチンカーの利用は初期投資を抑えつつ、移動販売を行うことができる点だ。イベントやフェス、観光地など、集客が見込める場所を選んで営業することで、効率的に売上を伸ばすことが可能となる。自由に移動できるため、季節や天候、イベントに応じて営業場所を柔軟に変えられる点も大きなメリットだ。

キッチンカーの営業スタイルは、特に若年層の顧客に支持されやすく、トレンドを取り入れたメニューで差別化を図りやすい。SNSを活用して営業場所やメニューを告知し、効率的に集客することも可能なため、移動販売を通じてさまざまな地域にアクセスし、多様な顧客層と接することで、ビジネスの可能性を広げることもできるだろう。

ゴーストレストラン、デリバリー

ゴーストレストランは実店舗を持たず、デリバリー専門で運営する形態である。コロナ禍以降、デリバリーは事業スタイルとして定着しており、初期投資を抑えたい人にとって魅力的な選択肢となっている。先にご紹介したシェアキッチンやクラウドキッチンを利用することで、店舗賃料や内装費などのコストを大幅に削減し、リスクを抑えつつ飲食店経営に挑戦できる。

ゴーストレストランは複数のブランドを同じキッチンで運営することも可能なため、異なるニーズに対応して多様なメニューを提供できる。時間帯やターゲットに応じた柔軟に対応できることから、昼は健康志向のランチメニュー、夜は豪華なディナーの提供と分けることや、複数の業態を試したい場合には良い選択だろう。

デリバリー専用のビジネスモデルは、顧客との直接的な接点を持たずに運営でき、サービス効率の向上やコストの削減を図れる点も魅力である。

週末起業で飲食店にローリスクでチャレンジ

飲食業界は依然として厳しい状況にあるが、それでも飲食店で独立・開業したい方には、週末起業というリスクを抑えて飲食業に挑戦する方法は心強い選択肢となる。
週末起業は、シェアレストランやキッチンカー、ゴーストレストランなど、多様な運営形態があるため、自分のライフスタイルや目標に合った形で飲食業に挑戦できるだけでなく、将来的なフルタイム経営へのステップとして活用できるだろう。

週末起業は、自分の夢を実現するための第一歩として非常に有効な手段となり、自分自身の可能性を広げる絶好のチャンスとなる。まずは、自分に合った飲食店の始め方を探していこう。

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