全国44カ所、4万枚以上の請求書処理の集約で効率化を目指す
【Q】事業概要と、所属部署の業務を教えてください。
経営企画室長 兼 システム部長(以下、システム部長):弊社は本社を大阪に置き、北海道から沖縄まで全国44カ所の販売拠点を展開する食品総合商社です。多種多様な業態の飲食店や宿泊施設が主要な取引先ですが、近年は、弁当や総菜といった中食分野や、オフィス、工場の社員食堂などの産業給食にも力を入れています。また病院や高齢者施設向けヘルスケアフードなど、お客様のニーズにマッチしたプライベートブランド商品の開発も進めてきました。
経営企画室は、実は先日兼務で配属になったばかりで、私自身は入社以来ずっと、システム部に所属しています。弊社は基幹システムや販売管理システムをすべて自社で開発しており、その開発やサーバーの管理等、社内インフラの整備を担っている部署です。
業務統括部 業務課長(以下、業務課長):業務統括部は、受注センターと業務課というふたつの組織からなる部署です。業務課では、買掛金のとりまとめや社内の商品コードの作成、規格書の管理など、全社の事務業務を集約しています。私はデータで受領した買掛金に対する、仕入先とのやりとりや登録に加え、電子化の推進も担っています。
業務統括部は、2019年10月からはじまった業務改革を進めるプロジェクトで新設された部署です。これまで全国44カ所の事業拠点でそれぞれ処理してきた事務を集約して各事業拠点の負担を減らし、効率化する狙いがあります。『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入もその一環です。仕入先から届く請求書の受領をシステム化し、支払通知書を発行することで、これまで課題となっていた請求書の照合にかかる時間と手間の削減を目指しました。
【Q】請求書システム導入前は、どのような課題があったのでしょうか。
業務課長:事業所の規模にもよりますが、仕入先のメーカーから一カ所で月に約1,000通の請求書を受け取ります。届いた請求書を一通ずつ開封し、仕入先コードを書き込み、コード順に並べ直してから内容の照合を行っていました。弊社では納品日ベースで支払金額を算出していますが、仕入先によっては発送日ベースの金額で請求書が届き、差異が発生するケースがあります。基本的には弊社が出した金額を正として支払通知書をメールで送って、差額は翌月の支払で調整しており、その確認やお問い合わせの対応はかなりの負担になっていました。
照合用のツールはありましたが、1件ずつ金額を入力する必要があり、差異があった場合は大量の明細の中から探し出さなければならないのでどうしても時間がかかり、どの事業所も照合には1日、場合によっては2日かかっていました。
システム部長:44カ所分の請求書は単純計算でも4万4,000件におよび、この紙ベースの業務フローのまま集約しても、効率化にはつながりません。システム導入によるデータ化は必然でした。
弊社では2006年より、お得意先からの受注の一部を『BtoBプラットフォーム 受発注』でデジタル化しています。業界の中でも先駆的な取り組みで、ペーパーレス化と業務効率化を実現してきました。同シリーズの『BtoBプラットフォーム 請求書』は発行も受取もデジタル化できると以前から提案を受けていたので、業務統括部の新設にあわせて改めて検討しました。
受領した請求書をOCRで読み取るといった他社サービスの提案も受けましたが、データを紙に印刷して郵送し、その紙からまたデータ化するのも手間のかかる話です。それなら最初からデータでやりとりしたほうがいいなと思っていました。
請求書を仕入先から発行してもらうのではなく、こちらから支払通知書を送付できる点も大きなポイントです。仕入先は内容を確認して、間違いがなければそのまま返送するだけです。仕入先からの請求書では合計金額しか確認できないものもありましたが、支払通知書はこちらから伝票番号や商品コードを入れた状態で発行できるので、明細単位でのチェックが可能です。
現在は全体で1,200社あまり、全取引の94%ほどを『BtoBプラットフォーム 請求書』でデジタル化しています。生鮮品など単価が変わりやすく、データでのやりとりが難しい60件程度の取引が紙で残っている状態です。
支払通知書の自動発行で、請求書受領業務の負担を大幅に軽減
【Q】導入効果はいかがですか?
業務課長:支払通知書は、基幹システムからCSVでデータをダウンロードし、FTPを利用して仕入先の締め日にあわせて『BtoBプラットフォーム 請求書』から自動発行しています。仕入先から届く請求書の開封やコードの記入、並べ替えといった作業がほぼなくなりました。
請求書として戻ってきたデータを取得し、差異があるかどうかの自動判定もできますし、そのまま会計システムに取り込めるので、残っているのは差額が出た場合の確認と、紙で届く請求書の処理だけです。差がある部分も以前のように1件ずつ突き合わせる必要はなく、明細データで何月何日のこの商品と一目でわかります。全体で月あたり430時間あまりの作業時間を削減できました。
システム部長:この作業に充てていた時間が、営業補佐などの別の業務に使えるようになったといえます。
業務課長:支払通知書の内容に相違がなければ、1週間以内に請求書として返送していただくようにお願いしています。内容の修正がなければ支払通知書発行から2時間後ぐらいで戻ってくるところもあります。一方で、単価が違ったり運賃が計上されていなかったりと差額が発生している場合は、仕入先側で修正してもらうため、しばらく時間がかかることもあります。
仕入先の作業が増えてしまうので、事業所で正しく計上する心がけが必要ですが、膨大な発注を間違っていないかチェックするのも手作業では限界があります。請求書の発行・受取だけでなく、その前の段階の発注業務も『BtoBプラットフォーム 受発注』などでデータ化して請求内容と連動させていくべきだと痛感しています。正しく計上されてさえいれば、仕入先にとっても楽になる仕組みです。精度が高まるほど満足度も高まるので、データ化を進めてお互いの満足度を高めていきたいです。
積極的なデジタル化でペーパーレス化を推進したい
【Q】今後の展望をお聞かせください。
システム部長:業界内でも先駆的にシステム化に取り組んできた弊社ですが、2023年6月27日付で新社長が就任するトップ人事で、新体制に入りました。今後もデジタルによる業務改革をよりいっそう、積極的に進めていきたいです。
特に、ペーパーレス化は推進していきたい課題です。買掛業務のペーパーレス化は進みましたが、受注業務はまだまだ紙が残っています。受注センターに集約された受注に関してはデータ化されているものの、各事業所での受注はやはり紙やFAX中心ですし、納品の際は月あたり300万枚の納品伝票を発行しています。紙代も高騰していますし、環境負荷低減の観点からも紙を減らし、社会と食文化の発展に貢献していければと考えています。
尾家産業株式会社
本社所在地:大阪市北区豊崎6-11-27
代表者 :代表取締役 社長執行役員 尾家健太郎
事業内容 :業務用食品卸売業、食品小売業
企業サイト:https://www.oie.co.jp/