沖縄の飲食店・ホテル・量販店に米穀を配送
【Q】御社のこだわりについて教えてください。
当社の主な業務は米穀や食料品の販売業のほか、国産玄米の品質検査などです。沖縄県石垣市に本店を構えており、沖縄県内の量販店や飲食店、ホテルを中心にお米の卸売をしています。商品のお米は、国産はもちろん外国産の銘柄も多数取り揃えており、品揃えの豊富さが特徴です。
また、当社では農業生産法人を持ち、現在は石垣島産の3品種のお米を栽培して、日本一早い新米をお届けしています。
私は東京でシステムエンジニアをしていたのですが、島に戻って家業の米屋に入り、ひたすらお米に向き合うようになりました。(常務取締役 宮城智一氏、以下同)
【Q】米穀業界に入って感じたことはありますか?
20年前と比べると、お米の消費量が大きく落ち込んでいるのが現状です。当社が拠点を構えている沖縄に限らず、全国的にコメ余りの状況にあるのが課題といえます。
また、コメ余りだけでなく業界全体で従来から安価な商品をたくさん販売する薄利多売のモデルが続いていました。しかし、これからは地産地消やSDGsの観点からも、価値のある商品が売れるモデルに転換する必要があり、当社も仕組みづくりを試みている状況です。
事務作業の負担が本来の営業活動を圧迫
【Q】付加価値をつける取り組みでは、何が課題となっていますか?
当社は自社で生産したお米を中心に、飲食店様やホテル様へ営業活動を行っています。しかし、沖縄の外食産業は低価格・大容量という文化がありまして、お米は特に安い商品が選ばれやすいのです。こういった課題に対しては、取引先様と相対している際に営業提案して普及できればと考えています。
ただし、営業担当者も人数が限られますし、飲食店様は忙しいので提案する時間もなかなか作れません。そのほかに困っていたのが、事務作業の負担です。
事務作業とは、たとえば商品の受注対応です。取引先様の注文方法は、9割が電話で、営業担当者に直接電話がかかってきます。担当者が配送も兼ねているため運転していることが多く、お取引先様のご要望をメモするため、一時的に配送業務がストップしてしまいます。その他、店頭販売で接客中の事務員も店舗の電話が鳴ると接客が中断してしまう課題もあります。お客様へのご案内の時間や機会も少なくなりますし、営業所の受付時間を過ぎても電話が鳴るため、実質的な残業が発生します。
LINEやインターネットでも注文を受け付けていますが、担当者が注文内容を手作業で販売管理システムに転記する必要があり、これも負担になっていました。こういった業務の課題を改善するため、取引先様がLINEで受発注するシステム『TANOMU』を導入しました。
受発注システム導入で営業活動の中断を削減
【Q】取引先の反応はいかがでしたか?
受発注システムをご利用いただいている飲食店のスタッフ様からは、すごくいいねという感想を頂いております。 LINEの画面を開いて、ショッピングカートに商品を入れて注文するという操作が直感的なのでしょう。特に20代、30代の方はスムーズにお使いいただいています。
飲食店様の中には、仕事用にプライベートのスマートフォンを使いたくないという方もいらっしゃいます。その場合、会社のPCやタブレットからメールアドレスを登録すれば、『TANOMU』の受発注機能を利用できます。
当社もシステムで受注した分は1件あたり3分ほど受注時間が削減でき、他の作業を中断する必要がなくなりました。発注内容は自動的に営業担当、配送担当に送信されるので、助かります。
こういったシステムは、より多くの取引先様にご利用いただけるかが重要です。取引先様も現行の電話からLINEを使った注文に変えることで、いつ、どの商品を、いくらで、どのくらい注文したか履歴をすぐに確認できるようになります。こういったメリットが大きい点をアピールしていきたいです。
【Q】今後の展望をお聞かせください。
私のエンジニア時代の経験を活かしてIT化を進めていきたいですね。そうすることで、今よりもさらに取引先様に寄り添った提案ができる環境整備を考えています。
また、配送と営業を兼ねた担当者は5名いるのですが、業務負担が大きくなっている状況です。既存の取引先様の深耕に手が回らず、新規開拓する時間もありません。手が空いたら、こういった対応にも着手していきたいです。
みやぎ米屋株式会社
設立:昭和53年4月21日
事業内容:米穀の販売業・食料品の販売業・国内産玄米の品位等検査業務
住所:沖縄県石垣市登野城726
代表者:代表取締役 宮城 隆
公式サイト:http://miyagikomeya.co.jp/