「主力商品のわさび漬の主な購買層は、これまで50代の方でした。直売所では、わさビーズを求めて20~30代のお客様もお越しになり、弊社が目指していた購買層の若年化につながりました。また、一緒にわさび漬もお求めになるケースが多いので、相対的に直売店のわさび漬の売上もあがっています。わさビーズをきっかけに、わさび漬の知名度もあげることができました」
増産が可能になったことで、業務用の販路もさらに広がっている。寿司などの和食だけでなく、ローストビーフやカルパッチョといった洋食にも使い勝手がよい。また、ドレッシングなどのように、料理全体にわさび味が混ざることもない。これまでにない食感と味覚でメニュー開発の幅が広がると好評を得ている。
「リピートで購入してくださる方もけっこう多く、浸透してきているのかなと感じます。現在は小売の売上比率が8割近くを占める状態ですが、一時のブームで終わらせないためには、業務用の比率を高めて定番化することが必要です。今後も展示会に出展したり、場合によっては直接レストランに出向いて商談したりすることも考えています」
新時代のわさびとして定番化を目指す
料理の端に添えるものだったわさびに“飾る”という役割を与え、これまでにない楽しみ方を提案した、わさビーズ。わさび業界全体にとっても画期的な新発明といえるだろう。田丸屋本店では今後もより改良を重ね、第2弾、第3弾とバリエーションも増やしていきたいとする。
「やはり定番化のためにはリピートしていただくことが必要です。今は、機械がフル稼働でなかなか試作に取り組めないのですが(笑)、新たなフレーバーも開発してシリーズ化し、リピートにつなげていきたいです。
老舗でよくチャレンジしたねとよく言われるのですが、老舗だからこそチャレンジが必要なんです。もちろん失敗もあるものの、新商品への挑戦は社内も応援してくれています。そんな中での成功例がわさビーズで、わさび商品としては異例のヒットとなりました。田丸屋本店の長い歴史の中でも、エポックメイキングかもしれません。
今のお客様を大事にしながら、今後も老舗の看板頼みではない、結果として『これって田丸屋が作っていたんだ』という商品に、思い切って挑戦していきたいですね」
株式会社田丸屋本店
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町6番7号 電話:054-254-1681
お話:R&D 部開発課 松永悠佑氏
事業内容:わさび・わさび漬各商品の製造販売
公式HP:http://www.tamaruya.co.jp/