製品化が可能な技術を3年ほど前に知り、わさびにも適用できるか、本格的に試作を重ねていったんです」
わさビーズの作り方は企業秘密だが、同じ技術を利用し、オイルやアルコールを包んだ商品が海外にあるという。わさびに応用させるべく試作を重ねる中で、その美しさから「何かに練りこむより、トッピングとして、お皿にちりばめるような形の方が新しいのでは」と方向性が定まる。
「わさビーズに着色料は一切使っていません。静岡県産のわさびの色素のみで翡翠のように輝いていたので、既存の購買層ではない、若い女性に喜ばれるのではないかと考えたのです。
方向性が決まってからは、お皿の上での見栄えを追求し、透明感を重視しました。苦労したのは辛味のバランスです。辛味の感じ方は個人差が大きいので、見た目も考慮し“寿司1貫につき3粒程度”を目安に、調整していきました」
また、大きさや形状はイクラを意識した。
「開発で目指したのは、“ありそうでなかった”商品です。世の中にまったく存在しないと想像がつかず、消費者に受け入れられるのは難しくなります。イクラのような見た目でわさびの味という、まさに想像ができて、ありそうでなかったところで注目していただけたかなと思います」
わさビーズでフォトジェニックな一皿に。SNSの拡散が1万回超え
2018年10月の発売当初、まずはレストランなどで使ってもらおうと展示会などで試食を行っていたが、どこの展示会で提供しても小売の商品化を勧められたという。
そこで、時期的にも近かったクリスマスに間に合わせるため、急ピッチで一般流通用の小瓶タイプを商品化。販売予告をツイッターに投稿したところ、大きな注目を集める。リツイートは1.2万以上、『いいね!』は1.5万以上と大反響で、小売商品の発売以来、品薄状態が続くこととなった。
「ちりばめるだけで料理が華やかになり、写真にとってアップしたいSNSユーザーと非常に相性が良かったと思います。正直、ここまで注目していただけるとは想定外でした。製造量も限られますので売り切れ状態が続き、ご迷惑をおかけしてしまいました。今は増産体制が整い、従来の1.8倍の製造が可能となっています。品薄状態も解消していく予定です」
小売商品は静岡県内の直売所をはじめ、空港やターミナル、百貨店等でお土産用途として人気だという。