「開発にあたって、原材料は国産にこだわりました。人の体は食べたものからしか作られません。食品は健康にむすびつくものでなければならないというのが弊社の考え方です。
そのため、農林水産省の定める、農薬や化学肥料の使用量を半分以下に抑えた『特別栽培』という希少な原材料を採用しました。ただ、どんなに良い品でも高価だと、商品は一部の人のものになってしまいます。ですから、農家と直接契約するなど、一定の品質のものを安定して調達できるようにして、手ごろな価格(希望小売132円・税抜)を実現させています」
おいしさ・栄養・利便性で訴求
『おいしい蒸し豆シリーズ』の主な販路は、スーパーなどの小売店だ。発売当初は、まず、ジャンル自体が存在しなかった蒸し豆という商品の、認知度を高めることがミッションだった。
そのため、社員は全国のスーパーに出向き積極的に店頭販売を行った。その数は、現在までの累計で約5000店舗におよぶという。
「栄養面やうまみが水煮豆よりすぐれているのが蒸し豆の強みです。さらに、水煮豆だと袋から出したらいったん水気を切らなければなりませんが、蒸し豆はパッケージから出してすぐに使えます。
そのまま食べてもいいし、下ごしらえの手間をかけずに多彩な豆料理ができる利便性を、健康を意識する消費者向けにアピールしていきました」
世の中の健康志向の高まりに、蒸し豆はエビデンス(科学的根拠)でもって応えた。大豆の成分が体に良いことは、以前から知られている。マルヤナギが店頭でキャンペーンをする一方で、健康をテーマにする雑誌やテレビメディアも、新たな大豆の食べ方に注目していた。
大豆の栄養成分や食物繊維をまるごと摂るには、蒸す調理法は理想的だと取り上げられる機会が、次第に増えていったという。
豆を水に浸して戻したり蒸したりする必要がない『おいしい蒸し豆』は、手軽さが受けて大きく売上を伸ばした。
「メディアに取り上げられるようになった2014年以降、蒸し豆市場は毎年3~4割の成長を続けています。一時のブームでおわらず、定番商品となってリピートしていただけていることを実感します。