鳴かず飛ばずだった商品が徐々に売上を拡大し、年間億単位を売り上げるまでに変貌を遂げる。観光地で見かける、その地の名産品を使った土産物の多くはその時限りの記念品で、繰り返し購入したいと思えるものはまれだが、かき醤油は藤井社長が直感したように、会社の柱となる商品力を持っていた。
他社コラボでひっぱりだこ。業務用でもポテンシャルを発揮
売れるにつれ販売先も増え、認知度もあがっていったかき醤油。すると、様々な大手メーカーから、かき醤油を使った商品開発をしたいと声がかかるようになる。
大手ビール企業が6缶パックのビールに「かき醤油を使ったビールにあうレシピ」と共にかき醤油のサンプルをつける、大手製菓企業が主力商品のスナック菓子などでかき醤油味の限定品を出す、その他冷凍うどんのつゆ、キムチの材料等といった多種多様な用途にかき醤油が選ばれるようになっていった。
コラボ商品の多くは「アサムラサキのかき醤油使用」とうたい、アサムラサキの商品ラベル、黄色バックに朱の鳥居の図案を掲げる。同社のかき醤油を使うことが、商品のアピールポイントになっていた。
また、かき醤油使用を標榜しない業務用でも、大手コンビニエンスストアの弁当やおにぎりで扱われたり、期間限定で全国チェーンの牛丼店などでも使われたこともある。かけ醤油としても使え、だしつゆとしても使える使い勝手の良さが、採用の決め手になったのだ。
かき醤油は今や大手調味料メーカーも参入するひとつのカテゴリとなり、アサムラサキはそのパイオニアとなった。
「他社競合品は脅威」としながらも、アサムラサキは今でも地元の特産をアピールしたいという強い思いと老舗醤油メーカーの誇りで、かつおぶしや昆布、乾ししいたけそのものを使ってだしをとり、かえしとあわせる伝統的な製造方法を守り続けている。
株式会社アサムラサキ
本社:広島県福山市東深津町5-20-38 代表:代表取締役社長 藤井直彦
事業内容:醤油・つゆ類・たれ類・ドレッシング・その他調味料の製造・販売
お話:営業部部長小林秀則さん 公式HP:https://www.asamurasaki.co.jp/