日本にはない市販のヨーグルトドレッシングを作る
2012年、岩泉乳業の山下社長はモンドセレクションの授賞式に出席するため、1週間ほどギリシャに滞在した。
「ギリシャではヨーグルトのドレッシングが一般的です。山下は滞在期間中に何度となくそのドレッシングでサラダを食べ、非常に美味しかったと感動して帰ってきました。そして、『あのおいしいヨーグルトドレッシングをうちでも作りたい』という思いから、慣れないドレッシング作りが始まったのです」
とはいえ、乳業一筋でやってきた岩泉乳業にドレッシング作りのノウハウがあるはずもなく、パートナー探しをしたところ、とてもいい相手に巡り合った。
「相棒探しをしているうちに、うちと同じく地元素材にこだわって、しかも新しい技術を取り入れている岩手県の会社を見つけたのです。ただし、相手はドレッシングメーカーではなく、浅沼醤油店という盛岡の老舗醤油屋さんでした」
ここから浅沼醤油と協力して試行錯誤がスタートする。当時、全国からあらゆるドレッシングを取り寄せはしたものの、ヨーグルトドレッシングはなかったという。
「家庭で作るヨーグルトドレッシングのレシピはありましたが、我々が探した限りでは市販品はありませんでした。しかも、参考のため取り寄せたドレッシング の多くは、油が多かったり香料が強かったりと、野菜本来の味が楽しめないのではないかと思いました。サラダの主役は野菜です。ドレッシングはあくまでサポート役という開発コンセプトを軸に、試作品をいくつも作りました」
そして、半年後に国内初となる市販のヨーグルトドレッシングが完成する。それは、野菜本来の味を引き出してくれるとても優しい風味の「助演女優賞モノ」のドレッシングに仕上がっていた。