-●御社で製造されている生パスタの特徴をお教えください。
基本的には食べた方が歯で噛み切る瞬間まで、モチモチプリプリの食感を感じられるよう粉を配合しています。元々日本人は、頻繁に食べている乾燥スパゲッティ特有のプリプリした食感を好む方が多いのです。だから、ただモチっとした食感だけじゃなく、プリッと弾ける食感も楽しんでいただけるよう製造しています。ただ、粉の配合により食感は自在にかえることができます。
-●取引先の要望にあわせてオリジナルパスタも作られているのですか?
はい。各レストランによってシェフも違えば、パスタに合わせるソースも違う。だからこそ、そのシェフ専用のオリジナルパスタが必要になります。
注文をいただくシェフ全員がイタリアで修行したとしても、イタリアでも地域により特色が違いますし、さらにその修行した先のレストランが伝統的か革新的かという点や、どのような料理を得意としているかによって使用するパスタも異なるのです。
また、日本のレストランのシェフはイタリア各地で修行をして日本で開店するので、無限にオリジナルのパスタができてしまいます。イタリアでは各地域でいくつもパスタの製麺所があるため、トリノ県ピエモンテ州の製麺所であれば、ピエモンテのパスタだけを作ればいい。しかし、日本でパスタ専門に製麺するということは、各地域のパスタやレストランも含めた、膨大な知識と技術が必要になります。
-●粉の配合のこだわりについてお教えください。
麺の硬さや食感に区別をつけるため、タンパク質の含有量が異なる強力粉、中力粉、薄力粉の三種類を使いわけ、硬さを調節していきます。特に弊社の場合はパスタのおいしさを作り出すと言われているセモリナ粉(デュラム小麦)は二種類用意し、ご注文いただいたシェフの要望により配合を変えていきます。
また、国産小麦はイタリア産に比べてタンパク質の含有量が少なく、柔らかい食感になる傾向にあります。パスタの種類によってイタリア産と国産を使いわけているのもポイントです。
しかも、パスタ作りは温度や湿度とも関係が深いため、季節や天候にあわせて配合を変えています。夏という季節で一括りにするのではなく、同じ夏でも雨が三日続いた次の日と、晴れが三日続いた次の日の湿度が違うように、常に判断したうえで、最適な食感のパスタに仕上げています。
-●小麦以外の原料にもこだわられているのですね。
卵は地元の契約養鶏場から毎朝仕入れています。産みたての新鮮な卵を使用することで、甘味の強いおいしいパスタができあがります。また、パスタ本来の小麦や卵の自然の甘さと香りを感じて欲しいという気持ちから、添加物を一切使っていません。