卸・メーカー2013.08.06

小田原産 手作り干物~干物(山市湯川商店)

2013.08.06

安定供給のために海外原料を使用した干物が多い昨今。そんな中でも、地元小田原漁港で水揚げされる旬の魚で干物を製造し、飲食店や小売店から高い評価を受けている有限会社山市湯川商店様。今回は、8月中旬から旬を迎えるカマスの干物や、他社ではあまり作られていない珍しい魚を使用した干物の商品開発について、お話を伺いました。

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安定供給のために海外原料を使用した干物が多い昨今。そんな中でも、地元小田原漁港で水揚げされる旬の魚で干物を製造し、飲食店や小売店から高い評価を受けている有限会社山市湯川商店様。今回は、8月中旬から旬を迎えるカマスの干物や、他社ではあまり作られていない珍しい魚を使用した干物の商品開発について、お話を伺いました。

目次

-●この時期のおすすめは、カマスの干物ということですが。
8月中旬から、ちょうど相模湾ではミズカマスの水 揚げが増えます。産卵を終えたばかりの夏前は、身がパサパサしてしまいますが、8月中旬から秋にかけては、じょじょに脂がのり始め、味の濃いカマスへと成 長していくようです。ちょうどアジの旬が終わる頃、ミズカマスの旬がやってきます。続いて赤カマスも旬を迎える。そのため、この時期はアジより断然カマス の需要が高まりますね。

-●小田原港でとれるカマスの特徴についてお聞かせください。
小田原は、昔から相模湾西部の漁業を中心として栄えてきました。カマスだけでなくすべての魚に該当しますが、小田原の魚がおいしいのは、海域が深く関係していると言われています。

海域が急深であり、海域から陸が近いため、他の港と比較すると、水揚げから船が港に戻ってくるまでの時間が速いのです。鮮度が落ちる前に港に運ばれ加工でき るので、必然的においしい干物ができあがります。これらのことから、小田原産がおいしいと言われるようになった由縁かもしれません。

-●カマス以外にも、珍しい魚の干物を開発されていますね。
は い。現在、弊社が一番力を入れているのが、新商品の開発です。相模湾は水揚げされる魚種がとにかく豊富です。しかし、水揚げされる魚の中から、一般的に出 回る魚はほんの一握り。名前も知られていない魚が過半数を占めますが、その中には絶品の干物の原石がたくさんいるんです。小田原以外の地域に住まれている 方は、ご存知ないかもしれませんが、スミヤキという魚は、市内ではアジやサバと同じようにポピュラーな魚の一つです。カマスの一種で、干物はもちろん、塩 焼きなどにして、日常的に食べられています。

また、ヒイラギは体長15cmほどの小さな魚で、その小ささゆえに下処理が大変で、捨てられてしまう ことがほとんどです。でも、丁寧に加工することで、小骨も気にならないおいしい干物へ変身します。弊社のヒイラギの干物は「丸干し」と呼ばれる、昔ながら の製法で仕上げています。そして、これら以外にも、通常干物にしない太刀魚やメバルなど、変わり商品も取り揃えています。

-●珍しい干物を製造してみようと思われたきっかけをお教えください。
数年前、今は亡き私の父であり先代の社長が、家で食べる用にと、ちょうど旬を迎えた太刀魚を安く購入したことがきっかけです。太刀魚は淡白であっさりした味 というイメージが強いかもしれませんが、時期によっては脂のりがよく、身もプリプリで肉厚。大量の太刀魚は家族だけでは食べきれないし、いっそのこと日持 ちする干物にでもしてみようと試してみました。家族で試食したところ、子供たちから大好評だったのです。

干物というと、多くの方はアジを連想されるかと思います。しかし、アジの旬も一年中ではありません。魚編に「参」という漢字の通り、旧暦の三月、現代でいう5月から旬がスタートし、8月には終了してしまいます。そして、アジが獲れなくなったら、巡り巡って別の魚が旬を迎える。一番おいしい状態になる時期に、手頃な価格でお客様へ提供することこそ、自然なことだと気づきました。今では、弊社が最も大切にしていることです。

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