『零の雫』について
-●まずは、『零の雫』の開発のきっかけを教えていただけますか?
弊社が日本酒業界初となる吟醸酒風味飲料 『宴会気分』(アルコール0.2%)を発売したのは2002年のことです。ちょうど道路交通法改正によって飲酒運転への取締りが厳しくなった時期で、おか げさまで生産が追いつかないほど話題となりました。しかし、『宴会気分』は香料などを使っておりましたので、無添加でおいしいノンアルコール飲料を作れな いか、と発売後も10年近く研究・開発を続けておりました。今回ようやく納得のいくものが完成したため、名前も新たに『零の雫』として2012年12月に 発売しました。
-●確かに原材料が、「米」と「米麹」だけで驚きました。
ええ。『零の雫』では香料、着色料、保存料、甘味料などの添加物は一切使用しておりません。日本酒と同じ「米」と「麹」を原料に、弊社が独自に開発した方法で、日本酒に近い味を再現いたしました。
-●『零の雫』の作り方を理解するためにも、日本酒づくりの基本を教えていただけますか。
日 本酒に限らず、お酒は酵母が「糖」を「アルコール発酵」することで生成されています。例えばワインの原料となるブドウには、もともと糖が含まれているた め、そこへ酵母を入れることでアルコールが作られます。しかし、お米には糖がありませんので、まずはでんぷんを糖に変えなければいけません。
そ こで使われているのが「米麹」です。米麹がまずでんぷんを糖へと分解し、そして、酵母がその糖をもとにアルコール発酵させます。日本酒づくりでは、仕込み の段階でこの2つのことが同時に行われているのです。『零の雫』はほとんど日本酒のつくり方と同じですが、酵母によるアルコール発酵をさせていないという ことです。
-●現在、国内で唯一の日本酒テイスト飲料ということですが・・・
今のところ私ど もが把握している限りではそうです。『宴会気分』のときには、他にもノンアルコールの日本酒テイスト飲料を発売されたメーカーさんがいらっしゃいました が、すべて販売は終了されています。また、ここ数年のノンアルコールブームで、ビールやワインが次々と発売された中で、日本酒や焼酎がなかなかでてきませ んでした。
その大きな理由として、実はアルコール自体に“辛み”があり、度数が高いお酒はそれ自体が特徴となっている、ということがあり ます。日本酒のガツンとくる感じや辛みは、アルコール(度数)があるからこそで、なければどうしてもお米のでんぷんの甘さが際立ってしまいます。そこをノ ンアルコールでどこまで近づけるのかが大変難しい問題でした。
そこで、弊社では3つの微生物「麹菌」「乳酸菌」「酵母」を使って、「糖化発酵」 「アミノ酸発酵」「乳酸発酵」をさせることで、ただ甘いだけでなく、お米が本来持っているうまみやふくらみ、酸味をもたせることに成功したのです。これを 弊社では「トリプルゼロ発酵」とよんでおります。詳細は企業秘密ということでご勘弁いただきたいのですが(笑)。
-●実際にいただいてみると「甘酒」にうまみや酸味が加わったような印象を受けました。
『零 の雫』はほとんど甘酒と同じ作り方なので、そう感じられる方もいらっしゃると思います。また、味だけでなく、甘酒と同じで『零の雫』にはアミノ酸がたくさ ん含まれています。甘酒は「飲む点滴」といわれるほど栄養が豊富で、夏バテしているときに飲むと元気になるとされ、夏の季語にもなっています。このように 美容や健康に期待できるというイメージがあるからかもしれませんが、弊社が運営しているネット通販では、『零の雫』も甘酒もいつも売上げ上位に入り、女性 のお客様が圧倒的に多くなっています。