また、本店は海外からのお客様が多く、ハラールに関するお問い合わせも増えてきました。ハラールも厳密に対応しようとするとハードルが高いのですが、たとえば禁忌であるアルコールを調理過程で使っていなければOKとするお客様もいらっしゃいます。
そこで2017年に商品規格書(※)情報を収集するシステム『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入して、本部の食品部で一括管理するようにしました。
(※)商品規格書:食品のアレルギーや原料産地などの情報をまとめた仕様書。
アレルギーやハラールに関していただくご質問は、ある程度決まっていますし、メニューは全店舗ほぼ同一です。そこで仕入の管轄である食品部で、このメニューにはこの原材料が使われているという一覧表を作成して、各店舗に持たせています。何かあってからでは遅いので、あらかじめすべてを明らかにしておくよう心がけています。
『BtoBプラットフォーム規格書』をお使いの取引先は多く、クリックひとつで情報を集めることができて大変便利です。全国各地にある41店舗で扱う食材の情報すべてとなると膨大な量ですので、システムがなければ正確な管理は難しいでしょう。
【Q】アレルギーやハラールの問い合わせにはどうご対応されていますか?
特定の原材料を抜くなど、できるかぎりお客様のご要望にお応えします。どうしても味が変わってしまう、クオリティが保てないとなれば違った形にいたしますが、それはレアケースです。
カニは調味料で味付けを変えたり足したりしていくよりも、素材をシンプルに味わっていただく方がお客様も喜ばれます。お客様の「カニを食べた」という気持ちを大事にしたいと思っています。
また、食の安心・安全という意味では、アレルギー情報の管理だけでなく食品事故を防ぐことも必要です。特にカニは熱の影響を非常に受けやすい食材です。流通の過程で一度解凍されてしまうと、再び冷凍しても味が落ちてしまいます。
また、その他の食材も適切な温度帯や保存方法はそれぞれ違います。すべてを正確に追求するのは難しいのですが、万が一お客様からクレームをいただいた時、対応するのは店長です。正確な管理を把握しておく必要がありますし、そのためにも食品部が仕入れ情報を集め、蓄積してバックアップできるように備えています。
【Q】今後の展望をお聞かせください。
まずは、カニの品質を絶対に落とさないのが大前提です。その上で仕入の視点で申しますと、海外企業との仕入れ競争が増してカニは年々高騰しており、苦しいところです。価格をお客様にご納得いただけるよう、そしてさらなるご満足をいただけるよう、付加価値も提供していければと思っています。
たとえば、海外のお客様なら着物に着替えて和室で日本の文化を感じていただくという楽しみ方もあるでしょう。ただそれも、カニ料理のクオリティにご満足いただけなければ、結局続きません。
かに道楽にとっては、お客様にカニの美味しさを知り、喜んでいただくことが生命線です。そのためにも、いかに高品質のカニを選び、どう調理してお出しするか、さらなる追求を続けていきたいと思っています。
株式会社かに道楽
事業内容:かに料理専門レストランの経営
代表者:代表取締役社長 今津 博之
住所:大阪府大阪市中央区西心斎橋2-9-16 網元別館5階
公式サイト:https://douraku.co.jp/