カリフォルニアの生活スタイルをまるごと提供するサンドイッチ店
【Q】起業のきっかけを教えてください。
東京の世田谷公園沿いに、オリジナルサンドイッチの専門店「FUNGO(ファンゴー)」をオープンさせたのは1995年、28歳の時です。
高校卒業後に、海外への興味や憧れからアメリカへ留学して、6年間過ごしました。大学卒業後は帰国して経営コンサルティング会社に勤めていましたが、学生時代を過ごしたバークレー(カリフォルニア州)の食事や生活スタイルが忘れられず、同時にこれはビジネスチャンスではないかとも思ったのが、サンドイッチ専門店を立ち上げたきっかけのひとつです。
というのも、私が2年間を過ごしたバークレーという場所は、今も昔も様々な文化の発祥・発信の地であり、食文化への意識も高いエリアでした。たとえば、シアトル系エスプレッソやサードウェーブといわれるコーヒーの源流になった店の一号店もありますし、オーガニックや地産地消につながるカリフォルニアキュイジーヌが生まれた場所でもあります。
そんな地で出会ったサンドイッチは、パンやチーズの種類も選べ、フィリング(具材)も多彩で、今まで食べたことがないものでした。元々和食党なのですが、そんなサンドイッチを毎日のように食べていたんです。
当時の日本はバブル景気がはじけた後で、海外文化に触れる機会も増え、関心も高まっていましたが、サンドイッチはコンビニやスーパーで、パッケージされたものが売られている程度でした。
食事だけではありません。犬と一緒にレストランにいってテラス席で過ごしたり、サンドイッチとコーヒーをテイクアウトし、喧騒を離れた公園の芝生でのんびり過ごしたりといった、ちょっとした優雅な時間の過ごし方というものも日本にはなかったんです。
ファストフードではない、テイクアウトもできてフィリング(具材)も選べるようなグルメとしてのサンドイッチを、生活スタイルそのものとあわせて提供したいと考えて始めたのが「ファンゴー」でした。
【Q】オープン後、評判はいかがでしたか?
やるからには最初からたくさんのお客様に来ていただきたいと思ったので、壁も目立つようにブルーにして、改装中の現場にも大きな張り紙を掲げ、こだわりのサンドイッチを売ることを開店前から伝えていました。
その効果もあってか、開店初日から行列ができて飛ぶように売れました。当時28歳でしたし、年上の方々がこんなに並んでくれるのかと驚きました。